『国宝』公式上映 ©KAZUKO WAKAYAMA吉沢亮、横浜流星、渡辺謙、李相日監督が現地入りしている、第78回カンヌ国際映画祭「監督週間」部門選出の映画『国宝』。現地時間5月18日に公式上映が行われ、6分間に及ぶ拍手と歓声に包まれた。
現地時間5月18日朝8時45分からの上映では、早朝にも関わらず、チケット発売後、早々に完売。世界中から集まる映画関係者らで開場前から行列ができ、期待の高さが伺えた。
また、上映後には李監督がQ&Aに登場。「監督週間」ディレクターのジュリアン・レジ氏の質問のほか、来場者からの質問も受けつけ、本作のキーワードとなる歌舞伎や女形の質問などが多く上がった。
その後、現地時間5月18日16時から行われた公式上映には、吉沢、横浜、渡辺、李監督が参加した。
渡辺謙、吉沢亮&横浜流星の献身に「心から敬意を払う」
「『国宝』はとても面白かったし、個人的にも好きです。作家性と商業性が良いバランスで成立する映画は近年とても珍しいです。このような、伝統的な日本映画も、最近では珍しいです。選んだ後に、この映画が日本ですごく大きな規模で劇場公開されるということを聞きました。素晴らしいことだと思います」とコメントしていた「監督週間」ディレクターのジュリアン・レジ氏。
上映の会場で、そのジュリアン・レジ氏からは「本日は日本の監督をお迎えしまして、我々も非常に気に入った作品を紹介させていただきます。最近ではなかなか見ないメロドラマで、半世紀に及ぶ日本人の歌舞伎役者の半生を描いた作品です。そしてこの作品の特徴といえるのが、歌舞伎役者でもなく女形でもない、日本の映画界のスターの人たちが1年半かけて稽古をし、歌舞伎を再現しつつ、様々な人たちに歌舞伎を理解していただけるような映画になっています」と紹介された本作。
登壇した李監督は「歴史あるカンヌ国際映画祭、そしてとても意義の深い成り立ちであるこの監督週間に選ばれたことを本当に、とてもとても、日本のスタッフも他の役者も全員が光栄に思っております。そして今日は先ほどジュリアン氏が紹介してくれましたけれども、(吉沢たちを見ながら)彼らの献身と努力がなければ歌舞伎の映画に真実味を持たせることはできなかったので、そんな彼らとこの場に立てることを非常に嬉しく思っております。ちょっと長い映画ですが(笑)、どうか最後まで楽しんでください」と挨拶。
吉沢は「映画に携わっている者にとっての憧れの地で、世界中の皆さまに、日本の伝統芸能である歌舞伎を題材とした映画をお届けできることを非常に光栄に思います。僕と流星が1年半かけて歌舞伎というものと向き合って、どうにか完成させた作品です。皆さまがどのようにこの作品を観てくださるのか、非常に不安もありますが、すごく楽しみにしております」と話し、横浜は「映画人としての憧れの地、カンヌに来ることができ、非常に嬉しく思っております。日本の伝統芸能を題材にした人間ドラマが皆さまの心にどう届くのか、非常に楽しみにしております」とコメントした。
渡辺は流ちょうな英語で「皆さん本日はお越しいただきありがとうございます。本日ここに立てたことを本当に光栄に思います。二人の才能ある俳優の努力のたまものであるこの映画は、成功を手に入れるはずです。私は彼らの献身に心から敬意を払います。どうかこの作品をお楽しみください。そして繰り返しますが、この映画は少しだけ長いです(笑)」と挨拶した。
李相日監督「伝わっているという感触がダイレクトにあって」
その後、4人は会場内で820人の観客と一緒に鑑賞。上映が終わると、会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれ、歌舞伎の大向こうさながらに「KIKUO!(吉沢の役名)」との声があがるひと幕も。
約6分にわたる熱狂的なスタンディングオベーションが続き、いつまでもなりやまない拍手と歓声に4人は互いに手をとりあい、高く上げ、満席の観客に感謝を表現した。吉沢と横浜は熱く抱き合い、李監督と渡辺は握手をするなど、お互いを称えあい、喜びを分かち合う一同。
上映後、李監督は「(上映の)最後の最後で、ものすごくちゃんと我々が込めたものがすべて届いている、伝わっているという感触がダイレクトにあって、震えが来る感じがしました」と感動と興奮が入り混じる中、想いをコメント。
吉沢は「我々がこの作品に込めた熱量みたいなものをしっかり受け取ってくださって、これだけの盛り上がりを見せてくださり、すごく胸に来るものがありました」、横浜は「観終わった後の鳴りやまない拍手、あの光景はこれから先も忘れないと思いますし、本当に役者をやっていてよかったなと思える瞬間でした。ありがとうございます」と感謝。
渡辺は「最後に喜久雄が観た風景を僕らみんなで観させてもらった、そんな気がしました。ちょっとやっぱりここ(胸)が震えました」とコメントし、4人全員が涙を滲ませ、感謝の言葉を述べた。
彼らがロビーを去る際にも大きな拍手が起こり、上映後には観客から、「とても美しくて印象に残る映画でした。映像も非常に印象的で、素晴らしかったです。クライマックスのシーン、すべては語りきれませんがコントラストがとても美しかったです。もっともっと続きを観たいと感じさせました」「監督の演出も素晴らしくて、すべてが自分にとっては新しい世界であり、すべての観点が自分にとっては発見でした」「舞台上で何が起こっているのか正確にはわからなかったけれども、キャラクターたちの過去に起こった出来事や心情、また歌舞伎という伝統に思いを馳せることで、感情移入しながら観ることができました」などのコメントが寄せられた。
『国宝』は6月6日(金)より全国東宝系にて公開。
(シネマカフェ編集部)