AI飛行カメラ「HOVERAir X1 PRO/PROMAX」発売、8K撮影や時速42キロの追従が可能に 「航空法」適用で注意点も

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2025年05月20日 16:41  ITmedia Mobile

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HOVERAir X1 PRO

 ZERO ZERO ROBOTICSは、次世代AI飛行カメラ「HOVERAir X1 PRO」および「HOVERAir X1 PROMAX」の先行予約販売を5月20日より公式サイトにて開始する。一般販売は5月27日に開始する。


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 スマホアプリと連携し、手軽に飛ばせるドローンだが、2024年発売の「HOVERAir X1 Smart」と異なり100g超の重量となったため、航空法の規制対象となる点に注意が必要だ。


 価格は基本セットで「HOVERAir X1 PRO」が7万9980円、「HOVERAir X1 PROMAX」が10万9980円(いずれも税込み)。


 先行予約特典として、5月20日〜26日に予約した場合、専用バッテリー1個(約1万円相当)が無償提供される。


 販売は公式オンラインストアと蔦屋家電など一部小売店で行われる。同社広報担当者によると、前回のX1 Smartで行ったようなクラウドファンディングは今回は実施しないという。一方でドローンスクール向けの販売を強化していく方針という。


●進化したAI飛行カメラ 12種類以上のAIフライング撮影モードを搭載


 新機種はX1 PROおよびPROMAX、「プロのカメラマンが撮影したような映像を1人で手軽に撮影できる」というX1シリーズのコンセプトをさらに進化させた上位モデルだ。高性能プロセッサを搭載し、X1 Smartと比較して演算処理能力が約5倍に向上。4K/8K映像処理と高精度な被写体追跡を実現している。 


 5月20日の日本向け発表会にはZERO ZERO ROBOTICS創業者兼CEOのMeng Qiu Wang(メン・チウ・ワン)氏が登壇した。Wang氏は製品の位置付けについて「X1 PROは飛行アクションカメラとして設計した」と説明。「X1 Smartは日常での使用が多く、旅行に持って行って思い出を作成するために使われるが、PROはさらに進化したプロ向けの撮影ができる。そしてPROMAXはさらに進化しており、コンテンツクリエイターやYouTuberなどがプロ級の映像をキャプチャーできる」と各モデルの特徴を述べた。


 スマートフォンアプリ「Hover X1」との連携も強化され、12種類以上のAIフライング撮影モードから選択できる。


 AIフライング撮影モードとは、機体がAIによって自動的に被写体を認識・追跡し、特定のカメラワークで撮影する機能のこと。基本的なモードには、被写体の周りを自動で円を描くように飛行する「オービット」、その場でホバリングしながら被写体を追う「ホバリング」、徐々に高度を上げながら引いていく「ズームアウト」などがある。PRO/PROMAXには「サイクリングモード」や「スキーモード」など、アウトドアスポーツに特化したモードが搭載されている。


 これらのモードは全て、アプリ上で選択するだけで専門的な操縦技術がなくても実行でき、手ブレ補正やAI追尾技術により安定した映像が撮影できる。


 HOVERAirは競技者との提携も行っている。プロスポーツの世界では米国スノーボード連盟の公式カメラとして採用され、25人以上の代表選手が使用している。4月には全米自転車連盟とも提携。高速移動する被写体の追従と障害物回避能力が評価されているという。


●8K映像を107度の広視野角で撮影、時速42キロでの高速追従が可能


 「HOVERAir X1 PRO」は4K/60fpsの高品質映像を104度の広視野角で撮影可能。一方、上位モデルの「HOVERAir X1 PROMAX」は1/1.3型CMOSセンサーと独自設計の7層レンズを搭載し、8Kの超高解像度映像を107度の広視野角で撮影できる。


 両モデルともカーボンファイバーベースの高弾性素材(HEM)を使用したプロペラ保護フレームを採用。折りたたみ式のコンパクト設計ながら高い耐久性を実現している。


 重量はX1 PROが191.5g、X1 PROMAXが192.5g。1個のバッテリー(1,920mAh)で最大16分間の連続飛行が可能で、風力階級5(10.7m/s)の環境下でも安定飛行できる。


 水面、雪原、崖上など多様な環境での撮影を可能にする「全地形型飛行モードシステム」を搭載。「Thermo Smart Battery」(耐寒バッテリー)は−20℃の極寒環境でも動作し、ウインタースポーツでの使用に対応する。


 追従性能も大幅に向上し、最高時速42キロでの追従が可能。瞬間的には時速60キロの最高速度に到達する。強化されたチップと高度な追尾アルゴリズムにより、高速アクティビティー中でも被写体を正確に捉え続ける。


●新アクセサリーで操作性が向上、従来モデルにも使える


 同時に新アクセサリー「BEACON&JOYSTICK」(税込み3万5980円)も発売するビーコンは最大500mの伝送範囲を持ち、日本の電波法に対応した専用設計となっている。


 ジョイスティックはモジュール式設計で、ビーコン本体と右ジョイスティックを組み合わせて片手操作が可能。さらにスマートフォンを左ジョイスティックに装着することで、両手による本格的なドローン操作も実現できる。既存のHOVERAir X1 Smartとも互換性があり、アクセサリーを追加するだけで操作性が向上する。


●航空法上の規制により、国土交通省への登録が必要に


 X1 PROおよびPROMAXは重量が100gを超えるため、航空法上の「無人航空機(ドローン)」となり、より厳しい規制が適用される。


 Wang氏は100gを超える機体を発売する理由について「アメリカでの発売後、日本のユーザーからも『絶対に欲しい』という声を多数いただいた。ドローン登録やライセンス取得などの手続きをしてでも使いたいというご要望が強かったため、重量は100gを超えているが、日本でもPROとPROMAXをリリースすることを決断した」と説明している。


 適用される規制は以下の通りだ。


1. 機体登録が必須:国土交通省の「ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)」で機体登録を行い、発行される登録記号を機体に表示する必要がある。登録手数料はオンライン申請で数百円程度で、有効期間は3年間。


2. リモートID機能の搭載:飛行中に機体情報を電波で発信する「リモートID」機能が必要。X1 PRO/PROMAXはこの機能を内蔵しており、アプリと接続すると製造番号が表示される。この番号を国交省システムに登録することでリモートID対応が完了する。


3. 特定飛行には許可・承認が必要:以下の飛行は「特定飛行」に該当し、事前に国交省の許可・承認が必要になる。


5. 目視外飛行:背面フォローモードなど、操縦者から見えない場所で飛行する機能


6. 人口集中地区上空の飛行:市街地など人家が密集する区域での飛行


7. 夜間飛行:日没から日出までの間の飛行


8. 第三者に30m以内で接近する飛行


 特に注意すべきは、AI機能を活用した「フォローモード」のうち、操縦者から見えない方向に機体が飛行する場合(背面追従など)は「目視外飛行」として特定飛行に該当する点だ。一方、「フロントフォローモード」のように常に機体が視界内にある場合は申請不要だ。


 ZERO ZERO ROBOTICSの広報担当者は「X1 Smartからのアップグレードユーザーにとって、航空法上の扱いが大きく変わる点は理解しづらいかもしれません」と話し、アプリや公式サイトを通じて法令順守のための情報提供を強化すると強調した。


 実際の運用では、郊外の人のいない場所での昼間の目視内飛行であれば、機体登録とリモートID対応を済ませていれば特別な許可申請なしで飛行可能。しかし市街地や夜間、操縦者から見えない位置での撮影を行う場合は、DIPS2.0上で事前に飛行許可・承認を取得する必要がある。



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