江藤拓 農林水産相 石破茂首相は20日、「コメは買ったことがない」と発言した江藤拓農林水産相(64)を交代させる方針を固めた。複数の関係者が明らかにした。事実上の引責辞任で、石破政権での閣僚更迭は初めて。首相の任命責任が問われ、政権に打撃となるのは必至だ。
江藤氏は18日、自民党佐賀県連が開いた政治資金パーティーで講演し、支援者からもらうコメが売るほどあり、「コメは買ったことはありません」と発言。与野党から批判を受けた。首相は19日に江藤氏を首相官邸に呼び出し、厳重注意したが、続投させる方針を表明していた。
だが、立憲民主党など野党5党は20日、江藤氏の更迭・辞任を要求することで一致。農水相不信任決議案提出の検討に入ることも確認した。
首相は、少数与党下で不信任案が提出されれば可決される可能性があることを踏まえて判断を一転させた。国民の関心が高いコメ価格に関する発言でもあり、夏の参院選への影響を抑えたいとの思惑もあるとみられる。
江藤氏は衆院宮崎2区選出で当選8回。農林族議員の一人で、2024年11月発足の第2次石破内閣で農水相に就任した。
石破政権が昨年10月に発足して以降、鈴木馨祐法相が中国菓子の月餅を法務省職員に配布した問題が明るみに出たが、この際は首相が厳重注意するにとどまった。首相自身も首相公邸で開いた自民新人議員との懇談の際に一人10万円の商品券を配布した問題が発覚した。