「人事の人見」主演・トラジャ松田元太の起用理由と当て書きにした経緯「松田さん以外にいない」【後藤博幸Pインタビュー】

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2025年05月21日 00:04  モデルプレス

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モデルプレス

松田元太「人事の人見」場面写真(C)フジテレビ
【モデルプレス=2025/05/21】Travis Japanの松田元太が主演を務めるフジテレビ系火9ドラマ「人事の人見」(毎週火曜よる9時〜)。本作のプロデューサー・後藤博幸氏にモデルプレスらがインタビューを実施し、作品の着想や、松田を主演・当て書きにした理由などを聞いた。【インタビュー前編】

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◆松田元太主演「人事の人見」

本作は“人事部”に焦点を当てた、痛快オフィスエンターテイメント。古い体質の残る大企業を舞台に、おバカでピュアすぎる松田演じる主人公・人見廉(ひとみ・れん)と、会社を変えたいと願いながら日々奮闘する前田敦子演じるヒロイン・真野直己(まの・なおみ)が、個性豊かな人事部の面々と共に会社の中で巻き起こる社員のさまざまな問題と向き合いながら、「現代人の悩み」に立ち向かっていく。

◆「人事の人見」松田元太にオファーした理由

― 本作制作の着想から教えてください。

後藤:会社の人事部や総務部を舞台にしたものをドラマとして描けるんじゃないかというのは、10年ぐらい前から考えていました。考えている中で、原作ものも検討したのですが、自分なりにやるんだったらオリジナルでやりたいなとここ数年考えていました。また、自分自身が会社で何かあった際、どこに相談していいか分からない時は人事部に行っていたことが多かったんです。こんな体験も踏まえ、総務部より人事部の方がいいのかなと考えました。日本のそれなりの会社の多くには人事部という部署はあると思いますし、日々些細なことから大きなことまでアクシデントやトラブルがあった際は人事部に相談することが多いと取材でも分かり、日本のいろんな方に共感していただけるのではないかなと感じました。そういうところを真面目に正面からやっていたドラマは意外となかったイメージを持っていたこともあり、企画させていただきました。

― 主演に松田さんをオファーした理由は?

後藤:「どなたがベストだろうか」というところから始まった企画で、ここ1年くらいの松田さんのご活躍とそこから醸し出るご本人のキャラクターを踏まえ「松田さんが主人公にいいんじゃないか」というところが発端でした。それで1度お話をさせていただいたら、満場一致で「松田さん以外にいない」となりましたね。

今回ほど堂々と当て書きと言える当て書きドラマはそうそうないんじゃないかと思います。相手のセリフを何度もオウム返ししたり、普通に振り向くのではなくのけぞるような態勢で真後ろを向いたり、松田さんなら次はどうくる?と。人見というキャラクターは、ほとんど松田さんそのものなので、その辺りの感性を松田さんに託しました。「ふざけたい時はふざけてください」「泣きたい時は泣いてください」と。人見廉は松田さんそのもの。もちろん、脚本は我々制作チームで作っていますが、演じる際は「松田さんの感性に託します」というような感じは、僕が以前やってきたドラマではあまりない体験ですね。もちろんこれまでも当て書きでキャスティングした経験はありますが、「松田さんだったらどう振る舞うだろう」みたいなレベルでの当て書きはないと思います。

◆松田元太の才能に「惚れ込んでいます」

― 松田さんの演技をご覧になった印象はいかがですか?

後藤:松田さんとは、脚本を正式に作り始める前に直接お話する機会があって、その時に、本当に“人見そのもの”だとスタッフ一同実感して、当て書きすることになりました。松田さんの持って生まれたその才能に我々は本当に惚れ込んでいますので、基本的には松田さんそのものでやっていただいていいと思っています。

もちろん、松田さんなりに計算はされているんです。明るく暴れてればいいという、それだけでは成立しない役だと思いますので、緩急つけてやってくれています。とあるシーンで、ちょっとおとなし過ぎる?と感じる演技をしていたので、撮影後松田さんに探ったら「逆算して、このシーンはこの程度にするべき。ちょっと抑えるというか、真面目にしておくのがいいと思ったんです」と仰っていて。やはりちゃんと計算していたんだなと。編集で繋げてみると、本当にそれが正解でした。

僕はちょっと大人しいのかなと思ったのですが、そのくらい大人しく真面目にしているくらいで、全体を見るとベストなバランスになっていたということはありましたね。それは回が進むごとにあって、その都度聞くことはしませんが、これは「完全に計算でやっているな」というのは感じます。連ドラはシーン順に撮影できないことが多いので、本当に計算ができてないと主役の方は大変だと思いますが、芝居の設計、計画が素晴らしいなと日々感じています。

― バラエティでは“おバカキャラ”な部分もフィーチャーされることも多いですが、お芝居の部分だと計算力が活きていると感じますか?

後藤:バラエティはちょっと分からないですけど(笑)。松田さんはドラマや映画で演じることも好きだということは仰っていたので、本当に楽しんでやっていただいていると思っています。

◆「人事の人見」視聴者からの反響は?

― これまでで印象に残っている視聴者からの反響はありますか?

後藤:「松田さん演じる人見廉が魅力的」という反響はかなり多いです。そこが我々の狙いだったので、シンプルに嬉しいですね。あとは、5話の放送後はSNSなどで笑って泣けたというご感想を特に多くいただきました。5話は須永圭介(新納慎也)という出世のことしか考えていない男の意外な一面を描いたドタバタ劇で、個人的には1話から5話の中で1番好きな脚本です。今回の企画で挑戦してみたかったことが全て詰まっている回です。あれは初回ではできない作りで、ある程度主要キャラクターが売れてきた上で初めて成立する。しかも、基本ワンシチュエーションもの。人事部長じゃない須永が「俺は人事部長だ」という嘘をつき、バレて、さらに悪あがきする。それに人事部の面々が付き合う。ただのドタバタ劇でとどまることなく「家族」にまつわるほろっとしたオチがあるという意味でもお気に入りの回です。

この企画、基本“くだらない”ということを大事にして作ってきました。「くだらないな〜」というのは最高の褒め言葉だと思っています。「でも笑って泣けるんだよね」と言われるのが1番嬉しいです。実際にそういうご意見をいただいていますし、そういった反響が多かったのは5話でしたね。

― 新卒採用、パワハラ、女性活躍などのトピックに、人見が時代に合った納得感のあるゴールへと持っていくストーリー展開も見どころとなっていますが、物語制作の苦労はありますか?

後藤:本当に日々苦労ですね。まず、“会社”というものを舞台にした時に、“今、日本でどんなことが話題になっているか”を知っておくことは大切だと思っており、日々テレビやネットのニュースなどは意識してチェックしています。例えば「ハラスメント」問題はスタンダードな課題になりすぎているので、少しでも旬なものを題材にしたい。女性が育児を経て復帰困難になる「マミートラック」は8話で扱いますが、「マミートラック」というワードは割と最近注目されるようになったものだと思います。制作チーム1人1人が調べられる範囲で調べて「こんなネタあったけど」とか「今こうなっているらしいよ」というのをみんなで持ち寄って「これでいこう!」みたいな形で詰めています。そこに、人見がどんな変なことをして解決していくのか。人見は変なことをやらなきゃいけないので(笑)。マトモなことだったら思いつきやすいのですが、突拍子もないことをやらなきゃいけないというのが非常に難しかったですね。

◆「人事の人見」撮影現場の雰囲気は「嫉妬するくらい仲がいい」

― 撮影も後半だと思いますが、現場の雰囲気はいかがですか?

後藤:現場の雰囲気はすごくいいですね。主に人事部のセットがメインキャスト全員集合のシーンになりますが、テストが終わったりドライが終わったりしたら、1回そのセットから出ることが多いじゃないですか。でも、今回のキャストの皆さんは、その人事部のセットの中に残ってお話をされています。それはもちろん、お芝居のことを話されている時もあると思うのですが、雑談も多いようで。我々は撮影現場からちょっと離れたモニター前でその様子を眺めているので、具体的に何を話しているかは分からないのですが、頻繁に爆笑が起こるんです。スタンバイ中、笑いが絶えない状態が続いていて、終始盛り上がっていますね。ただ、我々は距離があって会話の内容が聞こえないので、何について盛り上がっているか分からないんです。笑い声だけが聞こえてくるので、非常に嫉妬しています(笑)。そのくらい、皆さん仲がいいです。

★後編では、松田演じる人見の過去やそのほか登場人物へのこだわり、後藤プロデューサーが作品に込めた想いなどについて聞いている。

(modelpress編集部)

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