野党「骨抜き法案」で攻勢=石破首相の修正判断が焦点―鬼門の年金、衆院審議入り

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2025年05月21日 07:31  時事通信社

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年金制度改革関連法案が審議入りした衆院本会議=20日午後、国会内
 終盤国会の最大の焦点となる年金制度改革関連法案の審議が20日の衆院本会議で始まった。野党は基礎年金の底上げ策が削除された内容を「骨抜き法案」などと批判し、修正を迫る。自民党政権の「鬼門」となってきた年金問題を巡り、夏の参院選を前に自民内の慎重論を抑えて与野党合意を取りまとめるのか。石破茂首相の判断が焦点となる。

 「骨抜き法案は到底認められない。あんこのないあんパンなど要らない」。立憲民主党の井坂信彦氏は本会議で声を張り上げ、基礎年金底上げ策の復活を求めた。

 急速に進む少子高齢化で、年金・医療・介護制度見直しは待ったなしの課題だ。政府はパートら短時間労働者の厚生年金加入要件緩和などを法案に盛り込むことで、「支え手増」を通じた制度の安定化を図る。

 もう一つの「目玉」とされた厚生年金の積立金を活用した基礎年金底上げ策は、今回見送られた。首相は「関係が分かりづらく国民の理解が得られるか、専門家も意見が分かれていた」と答弁。厚生年金の「流用」批判を意識したことをのぞかせつつ、2029年に行われる次の年金財政検証以降に先送りする方針を示した。

 これに対し立民は、基礎年金の将来的な給付水準が約3割減る可能性があると指摘し、「選挙が怖くて放置するなら政権担当能力はない。『無責任法案』だ」(井坂氏)と追及した。本会議の後には、底上げ案復活を求める修正案の骨子を自民に提示。立民幹部は「自民がのまなければ内閣不信任決議案提出の大義になる」とけん制した。

 年金の「給付増」を主張する野党は、財源確保策を明示する必要にも迫られる。厚生年金の積立金を活用する政府の当初方針を踏襲する立民に対し、「就職氷河期世代」対策で底上げ復活を重視する国民民主党の玉木雄一郎代表は20日の記者会見で、党独自案では「(国民年金保険料)納付期間の延長も含めて検討している」と差別化を図った。

 日本維新の会は、基礎年金の税方式化も視野に抜本改革の必要性をアピールする。梅村聡氏は質疑で、年金の「支給開始年齢引き上げ議論が必要」と指摘し、与野党などによる「社会保障国民会議」の設置を首相に提案した。ただ、野党各党は社会保障財源となっている消費税の減税を軒並み唱えており、政府関係者は「つじつまが合わない」とくぎを刺す。

 衆院で与党が過半数を割り込む中、法案成立には野党の賛成が不可欠だ。07年参院選では「消えた年金」に批判が集まり、第1次安倍政権が大敗した。そもそも自民内には年金法案提出の先送りを主張する声も根強かった。攻勢を強める野党が「政局を仕掛けてくる」(自民幹部)との警戒感も強まっている。

 政府・与党は今国会での成立を目指す方針。「法案を丁寧に説明していく」。首相は審議で野党が求める法案修正について、こう述べるにとどめた。 

衆院本会議で審議入りした年金制度改革関連法案について、野党議員の質問を聞く石破茂首相(中央手前)=20日午後、国会内
衆院本会議で審議入りした年金制度改革関連法案について、野党議員の質問を聞く石破茂首相(中央手前)=20日午後、国会内

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  • 現役世代が支える高齢者所得補償の「保険」制度なのだから、30万円以上の給与をうける年金受給年齢のシニアは受給なしでいいでしょ。貯蓄制度では無いのだから。
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