警視庁本部=東京都千代田区 匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の取り締まり徹底に向け、発足から22年の歴史を持つ警視庁組織犯罪対策部は刑事部と統合し、組織図から消える。指揮系統を一本化することで、情報の共有と捜査を円滑に進めるのが狙いだ。
統合により、組対部にある5課1隊のうち、暴力団対策課と薬物銃器対策課、犯罪収益対策課、国際犯罪対策課の4課は、刑事部に移る。情報分析などを担っていた組対総務課と組対特別捜査隊の捜査員は、新設されるトクリュウ対策本部や特別捜査課などに再配置される。
組対部は2003年4月、刑事部の暴力団対策課、生活安全部の銃器対策課や薬物対策課を移行、再編するなどして設置された。当時は暴力団や来日外国人グループによる犯罪が深刻化し、両者が連携して銃器、薬物の密輸入を企てるなど手口も巧妙化。これに対応するため、情報収集や捜査を一元化する狙いがあった。
警察当局の取り締まりに加え、暴力団排除の機運や取り組みが一般社会に浸透したこともあり、全国の暴力団構成員と準構成員らは、04年の約8万7000人から毎年減少。24年末には約1万8800人と、20年前から8割近く減り、初めて2万人を下回った。
入れ替わるようにして、近年はトクリュウが台頭し、闇バイトによる詐欺や強盗が相次ぐなどして治安上の脅威になっている。ただ、トクリュウと連携したり、実質的に傘下に収めたりして資金獲得活動をする暴力団も存在するなど、脅威は依然として残る。
警視庁幹部は「組織犯罪対策の重要性が低下したわけではない。トクリュウ対策ではその考え方をさらに発展させていく必要がある」と強調した。