大地真央 コシノ三姉妹の母役で映画初主演「コシノアヤコさんの生涯には人生のヒントが詰まっている」『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』【インタビュー】

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2025年05月22日 12:10  エンタメOVO

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大地真央(C)エンタメOVO

 日本のファッション界に革命を起こし、昭和から平成を駆け抜けたコシノ三姉妹(コシノヒロコ、ジュンコ、ミチコ)。その母で、日本のファッションデザイナーの草分けとして活躍したコシノアヤコの生涯を、ユーモアと人情たっぷりに描いた『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』が、5月23日から全国公開となる。

 大正から昭和、平成と波乱の時代を生き抜いた主人公コシノアヤコを人間味豊かに演じるのは、宝塚歌劇団トップスターとして一時代を築き、退団後も『風と共に去りぬ』『マイ・フェア・レディ』『ローマの休日』など、舞台を中心に数々のヒロインを演じてきた大地真央。映画初主演となる本作の舞台裏や、演じる中で感じたコシノアヤコさんの魅力を語ってくれた。




−まず、オファーを受けた時に感じたコシノアヤコさんの印象を教えてください。

 お話をいただき、アヤコさんについて書かれた本をいくつか読んでみました。そこから分かったのは、アヤコさんは持ち前のバイタリティーと明るさで、全てをハッピーにしてしまう方だということ。その上、ものすごく豪快で、怖いもの知らず。でもちょっと乙女チックなところもあり、生きることに前向きで。そんなところがとても魅力的に感じ、ぜひやらせていただきたいと思いました。

−演じるにあたって、どんな準備をされましたか。

 まずは、アヤコさんの生涯に欠かすことのできない足踏みミシンの練習です。実は今回の撮影のため、アヤコさんが実際に使われていたものと同じ型の足踏みミシンを用意してくださったんです。そのおかげか、私はこれまで洋裁とは無縁の人生を送ってきたのに、ご指導いただいた先生から「上手です」と褒めていただき、その気になってしまいました(笑)。

−そのほか、役作りなどで工夫したことがあれば教えてください。

 映画の後半では、お洋服もアヤコさんご本人のものをお直しした上で、着させていただきました。ちょっとしたアドリブなども、アヤコさんのことをよくご存じのコシノさんのスタッフの方にご相談して、「アヤコさんなら、きっとこういうことをおっしゃるはず」と、やりとりしながら作っていきました。

−15歳から92歳までのコシノアヤコさんを演じるということで、年齢にかなり幅があります。難しさはありましたか。

 2時間の物語の中でアヤコさんの波乱万丈の生涯を演じるのは大変でしたが、1人で演じられる幸せをかみ締めながらやらせていただきました。15歳の女学生時代から演じると聞いたときは、「大丈夫かな?」と心配になりましたが、1人の方の人生を1人の役者で、という制作側の考えは納得できましたし、劇中できちんと「これ、無理がないですか?」とツッコミも入るので、ぜひ笑ってご覧ください(笑)。

−劇中では歌ったり、踊ったりするシーンもあり、大地さんははまり役だと感じました。

 そうですか。ありがとうございます。アヤコさんも実際に踊りや歌が大好きで、三味線など何でもできた器用な方だそうなんです。ぜひそんなところも楽しんでください。







−演じてみて、アヤコさんがコシノ三姉妹を育てられた理由を、どのように感じましたか。

 「自分で考え、やりたいことは好きにやりなさい」というアヤコさんの教育が、三姉妹の皆さんの根底にある気がします。「私は何もしていません」とほったらかしているように見えて、実は三姉妹それぞれの個性に合わせた教育をしている。そういう奥深い愛情も感じました。そんなアヤコさんの後ろ姿を見て育ったからこそ、三姉妹の皆さんはあれほどの実績を残せたのではないでしょうか。しかも皆さん、とにかくお元気なんです。80代にもかかわらず、会話や歩くときのテンポなど、全てがお若くて。やっぱり、アヤコさんあっての三姉妹なんだなと。

−アヤコさんは、コシノ三姉妹を育てただけでなく、戦争で夫を亡くされるなど、波乱の人生を歩んできました。その点についてはどんな印象を受けましたか。

 私の祖母も40歳で夫を亡くし、子ども5人を1人で育てましたが、戦争を経験していらっしゃる方は皆さん強いですよね。アヤコさんも、開戦を告げるラジオ報道を聞いても、動じることなく食事をしていたそうですから。おなかの中にミチコさんがいたとはいえ、みんなが手を止めて心配しているのに、「こんなときやからよって、食べやんと」と言って。そんなご苦労を乗り越えた末、「なにかを始めるのに、遅すぎる事なんてあるかいな」と、70代でファッションブランドを立ち上げて。そのバイタリティーとタフさには、驚くばかりです。

−大地さんご自身も初舞台から50年を超えるキャリアをお持ちですが、アヤコさんの人生から刺激を受ける部分はありましたか。

 もちろんです。私の同い年の友人も最近、ジャズダンスとクラシックバレエを始めましたし、私もいろんな挑戦をしてきましたが、これからもアヤコさんを見習い、臆することなく挑戦を続けていきたいと思います。

−アヤコさんは、大地さんのご両親くらいの世代だと思いますが、この作品を通じて、ご家族に思いをはせることはありましたか。

 アヤコさんは大正2年生まれで、私の父が大正3年、母が大正7年生まれなので、ほぼ同世代です。実は今回、アヤコさんのお気に入りの福島の郡山にあるおまんじゅう屋さんが、私の母方の遠縁に当たることが分かったんです。アヤコさんのお誕生日祝いに、特製のおまんじゅうを作ったこともあるらしくて。だから、このお役をやらせていただくことも必然かな、とご縁を感じました。

−それでは最後に、映画の公開を楽しみに待つ観客の皆さんへメッセージをお願いします。

 アヤコさんはまさに「ゴッドマザー」と呼ぶにふさわしい方で、劇中にはお父様が遺された「向こう岸、見ているだけでは渡れない」や、アヤコさんの「なにかを始めるのに、遅すぎる事なんてあるかいな」という名言も登場します。最後までその言葉通りの生き方を貫かれた方なので、アヤコさんの生涯にはさまざまな人生のヒントが詰まっています。ぜひ劇場に足をお運びいただいて、笑って泣いて、いろんなメッセージを受け取ってください。

(取材・文・写真/井上健一)




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