自民党税制調査会の会合で発言する後藤茂之小委員長(左)。中央は宮沢洋一会長=23日午後、東京・永田町の同党本部 自民党は23日、所属する国会議員を対象に、消費税に関する税制調査会の「勉強会」を党本部で開いた。執行部は参院選に向けた経済対策としての消費減税を見送る方針を固めており、減税派の「ガス抜き」を図る狙いがありそうだ。実際、減税を求める意見が相次いだものの、会議自体は紛糾せず約1時間20分で終了した。
森山裕幹事長、宮沢洋一税調会長を含め約50人の議員が出席。冒頭、税調の後藤茂之小委員長が「もし税率を引き下げれば多くの事業者らの(事務)負担になる。互いの理解、認識を深め、責任与党としてしっかりとした議論をしたい」と述べ、減税派をけん制した。
これに対し、高市早苗・前経済安全保障担当相は「物価高で国民は困っている」と指摘。食料品について「生活する上で絶対に必要なものなので、税率を8%から0%に下げるべきだ」と減税を訴えた。
積極財政派の中村裕之衆院議員も参院選に向け、食料品の税率を恒久的にゼロにする政策を打ち出すべきだと求めた。中村氏によると、このほか複数の議員から減税を求める声があったという。
財務省の担当者は、税率を引き下げる場合、事業者のレジや会計システムの改修など実務上の課題があると説明した。これについて、減税派の議員は「減税しないことを正当化するための理屈だ」と批判した。
一方、減税慎重派は「短期間で税率を変更すると経済取引を混乱させる」「消費税は地方の財源として重要だ」などと主張した。減税ではなく、国民への現金給付を求める指摘もあった。
野党各党が減税で足並みをそろえる中、自民内でも税率引き下げを求める声が根強いことから、執行部が勉強会の開催を決めた。想定していた1時間半よりも早く終わった。党幹部は「減税を求める議員は赤字国債発行に頼るだけで、財源について考えていない」と不快感を表明。税調幹部は「消費減税の広がりはない」と述べ、減税論は沈静化するとの見方を示した。