日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ノスフェラトゥ』をレビュー!

0

2025年05月23日 17:10  週プレNEWS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週プレNEWS

写真

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。吸血鬼ホラーの古典が現代によみがえった!

* * *

『ノスフェラトゥ』

評点:★4.5点(5点満点)

細部までこだわった濃厚な怪奇映画

1922年のオリジナル版『吸血鬼ノスフェラトゥ』(F・W・ムルナウ監督)、1979年のヴェルナー・ヘルツォーク監督版、また2023年の再リメイク版(デヴィッド・リー・フィッシャー監督)を経て、ロバート・エガース監督が存分に『ノスフェラトゥ』世界を掘り下げた渾身の一作である。

というのもエガース監督は9歳のときに初めてVHSで観たオリジナル版に魅了され(実はそれ以前に、書籍のスチルで見た吸血鬼ノスフェラトゥの奇怪な容貌に既に夢中だった)、17歳のときには高校でその舞台版を企画・演出しているほど、筋金入りの『ノスフェラトゥ』マニアなのである。

もともと『吸血鬼ノスフェラトゥ』はブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』の翻案で、ストーカー未亡人に著作権問題で訴えられた経緯もあるが、舞台を英国からドイツに移したこと、当時の時代精神と結びついたことで全く異なる独自の世界観を紡ぎ出した。

さらにオリジナル版の製作を手がけたアルビン・グラウは稀代のオカルティストで、魔術との結びつきも強い。今回のエガース版はそのような『ノスフェラトゥ』の起源を徹底的に踏まえ、ディテールに満ちた濃厚な怪奇映画を実現することに成功した。

STORY:不動産業者トーマス・ハッターは、仕事のため異国の城に住む伯爵の元へ出かける。一方で、トーマスの新妻エレンは得体の知れない男の夢に悩まされるようになる。時を同じくして、ふたりや周囲の人々に災いが起こり始める......

監督・脚本:ロバート・エガース
出演:ビル・スカルスガルド、ニコラス・ホルト、リリー=ローズ・デップ、ウィレム・デフォーほか
上映時間:132分

全国公開中

    ニュース設定