【F1】角田裕毅がレッドブルマシンで初モナコGP ウェットコンディションなら大波乱も十分にあり得る

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2025年05月23日 18:11  webスポルティーバ

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 世界有数の華やかさとは裏腹に、ガードレールに囲まれた狭く曲がりくねった過酷なサーキット。それがモナコGPだ。

 1週間前のイモラでは予選で大きなクラッシュを演じただけに、今週末の角田裕毅(レッドブル)は絶対に同じミスは許されない。

 イモラでは予選に向けてセットアップを大きく変えたにもかかわらず、十分に確認しないままプッシュしたことがクラッシュの原因となってしまった。角田いわく、セットアップ変更によるマシンの変化が思っていた以上に大きく、予想外の挙動を示したのだという。

「イモラ(の予選)でのアプローチは、キャリアを通してずっとやってきたやり方で、イモラから急にやったわけではないんですけど、レッドブルに乗って日が浅い僕が採るべき方法ではなかった。間違っていたと思います。何かを大きく変えた時や新しいものをトライする時には、もう少し慎重に行くべき。それが学習のプロセスというものだと思います」

 イモラでの金曜FP2では、マックス・フェルスタッペンとの差が0.1秒。これまでになく小差で、得意のサーキットだけに手応えがあった。FP3でトライしたセットアップは外したが、フェルスタッペンのセットアップは大正解だったため、予選に向けてはそれをコピー。

 だから、予選ではいい走りができる、いい走りをしなければならないという期待と焦りが入り混じったシチュエーションとなり、ああいった結末になったわけだ。

「(レッドブル昇格からの5戦で)想像以上にうまくいっている部分もあるし、逆の部分もある。マシンへの理解という点で苦労しているのは、セットアップ変更に対する反応が大きいということ。それはつまり、レッドブルのマシンのウインドウが狭いということとも関係している。

 だから、各サーキットでマシンがどう反応するかを理解するのに苦労しています。マシンの限界領域については、思っている以上にまだまだ探れる部分があるんだと思っています」

【予選はアタックのタイミングが重要】

 モナコは全開率が40パーセント台と極端に低く、実質12個のコーナーのうち7つが100km/hを下回るほど速度域が低く、フェアモント・ヘアピンでは1速まで落として50km/hを下回る一方で、300km/hを超える場所も8速に入る場所も1箇所たりともないほど特殊なサーキットだ。

 パワーユニットも、ふだんは使わないような低回転域のドライバビリティが重要になる。そのことに加え、予選ではトラフィックの影響による2周連続アタックや、Q3のように1周に集中したアタックの場合など、シチュエーションに合せたエネルギーマネージメントも重要だ。

 ホンダの折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャーはこう説明する。

「予選で1周フルにディプロイ(エネルギー回生)しても、ほかのサーキットとはケタ違いにエネルギーが余りますので、2周連続でアタックすることも可能です。

 シングルアタックする場合には、Eブースト(MGU-Hのモーターを回してターボをアシストしつつ、ウェイストゲートを開けてエンジン出力を上げる機能)もどんどん入れて、少しでもタイムを上げる方式を採ります。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。
※ウェイストゲート=ターボチャージャーの過給圧を制御するために、タービンに流れる排気ガスの一部を逃がすバルブ。

 トラフィックに引っかかったりで一度アボート(打ち切り)して、翌周そのまま連続でアタックしたい場合には、Eブーストは入れずに2周フルディプロイできるようにする2パターンを用意しています」

 20台が同時に走るQ1ではトラフィックがひどく、クリアラップがなかなか取りづらいため、連続走行しながらアタックするタイミングを見計らう必要がある。

 そして、今年は土曜の午後に雨の予報もあるため、ウェットコンディションとなれば、連続アタックでエネルギーやタイヤの状態をいかにうまく合わせ込むかが非常に重要になってくる。その成否によっては、大波乱の結果も十分にあり得るのだ。

【いつも以上に慎重に焦らないこと】

 イモラでは旧型のノーズとフロントウイングを使うこととなった角田は、今回のモナコでも同様になりそうだ。加えて、前回のクラッシュで新型フロアを壊したため、その差も生じる可能性が高い。

 フェルスタッペンがイモラで大きな改善の手応えを掴んだという最新パッケージを、角田はまだトライできていない状況だが、このモナコでもそれは変わらない。

「僕はまだイモラでも最新マシンのフルパッケージで走っていませんけど(イモラではノーズとフロントウイングが旧型、決勝はフロアも旧型)、彼(フェルスタッペン)が最新型でいい感触を得ているのはいいことだと思います。

 今週末のパーツがどうなるかはわかりませんけど、おそらく今週も最新型のフルパッケージを使うことはできないと思います。それによる差はつきますけど、それは(イモラで壊した)自分のせいでもありますし」

 しかしモナコでは、マシンの差もさることながら、ドライバーの腕の差のほうが重要になってくる。

「イモラでは(予選の最初にクラッシュしたため)ほとんどショートランをやれていませんので、今週はいつも以上に慎重に走り始めることになるかもしれません。レッドブルのマシンがバンピー(なところは苦手)というのもあるので、少しずつゆっくりと自信をビルドアップしていく必要はあると思います。

 そもそも、モナコはランオフエリアがほとんどないので、(慎重さが必要で)ほかのサーキットと同じようにはアプローチできないですしね。重要なのは焦らないこと。徐々にビルドアップしていって、予選ですべてをまとめ上げることが重要です」

 そう自分に言い聞かせるように言った角田が、5年目のモナコでどんな走りを見せるのか。

 これまでミスを犯しては好走で取り戻してきた角田が、イモラの大失敗を取り戻すすばらしいレース週末を、このモナコで見せてくれることを期待したい。

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