干し芋で乗り切った樹上生活の役作りを明かした山田裕貴(C)ORICON NewS inc. 沖縄出身の平一紘監督が脚本も手がけた映画『木の上の軍隊』の完成披露試写会が23日、沖縄・那覇市のおもろまちにあるシネマQで開催された。主演を務めた堤真一と山田裕貴が登壇し、ワールドプレミア(世界初上映)を前に舞台あいさつを行った。
【写真】共演に喜び!10年前には遊ぶ仲だった堤真一&山田裕貴 本作は、1945年の沖縄・伊江島で実際に起きた出来事をもとにした物語。終戦を知らずに、約2年間もガジュマルの木の上で潜伏生活を続けた2人の日本兵の姿を描く。原案は作家・井上ひさしさんが手がけた舞台で、今回は全編沖縄ロケを敢行。伊江島に実在するガジュマルの木の上での撮影も行われた。
堤は、宮崎から派遣された厳格な少尉・山下一雄役を、山田は沖縄出身の新兵・安慶名セイジュン役を演じ、極限状態に置かれた兵士たちの“葛藤と滑稽なまでの生への執着”をリアルに表現している。
平監督は「この映画は80年前の沖縄戦が背景ですが、主軸は2人の男の葛藤、生き抜く努力、そして生に対する執着です。観客の皆さんには、木の上で2年間を一緒に過ごすような気持ちで観てほしい」と語り、「水や食料を得ることの大変さを、ぜひポップコーンとコーラ片手に“安全な場所から”実感してもらえたら」とユニークに呼びかけた。
堤は、「普段、自分が出演した作品は冷静に見られないのですが、この映画は一歩引いた視点で観られた。構えずに、そのまま感じたことを大切にしてもらえたら」とコメント。さらに「唯一言えるのは、“ソテツが食べられる”という事実も描かれています(笑)」と、映画に登場する知られざる知識を紹介し、会場を沸かせた。
山田は、戦時中の兵士のリアルさを追求するための役作りについて、「見た目の説得力も大切なので、食事制限を徹底しました。干し芋、豆腐、納豆だけの生活を続けて、沖縄でもソーキそばを我慢しました」と振り返った。
その姿を見て平監督は「日に日に痩せていくのが心配だった」と明かし、堤も「自分も昔、炭水化物を抜いて頭が回らなくなった経験がある。だから今回は無理せず、前の舞台で落とした体重をうまく活かしました」と述懐。
山田はさらに「干し芋は食物繊維が豊富で、便通にも良いんです。だから、“出して”乗り切りました(笑)」と、話が脱線していき、MCからツッコミを受ける一幕も。
山田は最後に、「年齢制限のない映画なので、子どもたちにも観てもらいたい。当たり前に食べられることがどれほど尊いのか、この映画を通じて伝われば」と真剣な表情で語っていた。
映画『木の上の軍隊』は、6月13日より沖縄にて先行公開、7月25日から全国公開される。堤は「沖縄で撮ったこの映画を、沖縄の力で全国に届けたい」と、作品に込めた強い思いを語っていた。