千葉ロッテマリーンズ・小島和哉 (C)ORICON NewS inc. 千葉ロッテマリーンズ協力のもと選手の野球以外の一面、特に音楽について掘り下げる、ORICON NEWSのインタビュー企画。第2回は、3年連続で開幕投手を務めたチームのエース・小島和哉(おじま・かずや)が、登板日に気分を上げるために聴いている“勝負曲”や、ロッカールームで流れている音楽をきっかけに“90年代のアーティスト”が好きになったというエピソードを語った。
【別カット】爽やかな笑顔!お気に入りのアーティストを語った小島和哉 ■登板日のルーティン!球場までの車中でドジャース・フリーマンの登場曲
――普段どんな音楽を聴いているか教えて下さい。
【小島】K-POPが多いですね。曲調っていうか、独特なテンポがあるじゃないですか。ポップなのも好きなんですけどラップ調とかもあったりするので。
――最近の“イチオシ”アーティストは誰ですか?
【小島】K-POPではないんですが、藤井風さんですね。曲はほぼ全部知ってます。3年くらい前から聴いていますね。遠征などの移動で僕がイヤホンをしている時は、ほぼ藤井さんだと思ってもらってもいいくらい。藤井さんが昨年夏に日産スタジアムでライブをやった後、その映像がYouTubeに上がったんです。アップされてからはずっと聴いてました。
――どうやってお気に入りのアーティストを見つけるのでしょうか。
【小島】ウエイトをしてる時などに「いいな」って思ったのがあったら、曲を調べるアプリを使っています。だから誰かの曲というよりかは、曲調とかが好きだったらそれをダウンロードして、そこから「こういう人が歌ってるんだ、ほかにどんな曲歌ってるのかな」ってさらに調べていきます。
だからジャンルはめっちゃバラバラなんですよ。洋楽を聴く時もあります。言葉の意味はあまりわからないですけど、曲調とかが好きだったらダウンロードする。歌詞も見たりします。
――「いいな」と思う曲に共通点はあるのでしょうか。
【小島】テンポと曲調じゃないですかね。ノリのいい曲、ゆったりな曲、どちらも好きなんですよ。
――自分が登板した日の結果によっても聴く曲が変わったりするんでしょうか?
【小島】それはめっちゃあります(笑)。行きのイケイケの時は、まず家の駐車場を出るときに「これから聴く」っていうのがあります。(ドジャースの)フレディ・フリーマンの登場曲(Dayvi, Victor Cardenas「Baila Conmigo ft. Kelly Ruiz」)です。イケイケで運転してます。まずはテンションを上げて。勝ったら帰りもイケイケです。
■KinKi Kidsやglobe、ZARD…ロッカールームで聴いて「いいじゃん!」
――チームメイトから影響を受けることもあるんですか?
【小島】澤村(拓一)さんが(2023年に)メジャーから帰ってきてすぐ、ロッカールームにデカいスピーカーを買ってきてくれたんですよ。あの人の世代くらいの曲を爆音でランダムに流してて、それで「結構いいじゃん!」と思ってダウンロードしました。そこからKinKi Kidsも好きになりました。そこからめちゃくちゃ聴いてますね。
――澤村選手から影響を受けたアーティストはいますか?
【小島】サザンオールスターズ、B'z、globe、GLAY、Do As Infinity、相川七瀬さん、ZARDとか。結構ダウンロードしました。
――90年代のアーティストが多いですね。小島選手のご両親が聴いている曲で影響されたりはしますか?
【小島】親は華原朋美さんとかをずっと流してましたね。最近は僕がお母さんを仕込んでるんで。結構はやりの曲を聞くんですよ。IVEは全曲スマホに入れてます。でもこの間帰った時、お母さんのスマホにロッテの選手の登場曲が全部入ってました(笑)。
――ハマっているという韓国アーティストTOP5を教えて下さい。
【小島】IVE、aespa、ILLIT、(G)I-DLE、LE SSERAFIMですかね。王道ですね。王道なところを。今日も(球場に)来るときはIVEの曲を聴いていました。
――これらのアーティストのどんなところに惹かれますか?
【小島】日本の曲は「タンタンタンタン」っていうテンポで続いてくイメージなんですけど、韓国のアーティストは「タン・タタン」みたいな。その曲調が好きなんですよ。だからMrs. GREEN APPLEも好きなんですよ。
――Mrs. GREEN APPLEもお好きなんですね。お気に入り曲はありますか?
【小島】王道ですけど「私は最強」です。Adoさんの方も好きですけど、Mrs. GREEN APPLEの曲も好きですね。今年はどうにかライブに行きたいです!
■母校の恩師から学んだ“積み重ねることの大切さ”
――人生の思い出に残る曲はありますか?
【小島】曲名は言えませんが、高校生の時に彼女に振られた時の曲はもう聴けません(笑)。それとは別に、浦和学院(埼玉)の森士(もり・おさむ)元監督が好きだった曲が思い出に残っています。行きのバスで監督が流す曲があって、順番も決まってるんですよ。映画『ロッキー4』の「トレーニング・モンタージュ」から入る。これを聴きながら選手に配られる“こしあん”と“オレンジジュース”を食べたり飲んだりしながら試合に向かいます。帰ってくるバスの中ではTUBEの「傷だらけのhero」を全員で歌いながら帰ってきますね。浦学の野球部出身者はみんなこの曲を知ってると思います(笑)。
――これらの曲が印象に残っている理由とは?
【小島】本当に毎日同じことの積み重ね。1回戦、2回戦、3回戦、4回戦、全部同じ曲、同じ順番。新しい曲を聴くのもいいなと思うんですけど、毎回同じ曲を聴くのもいいなと思います。
――これらの曲を聴いたらどんな心境になるんですか?
【小島】今聴いても「戦いに行くぞ」ってなりますね。高校時代からそういう風に体に染み込んでるんで(笑)。
――まさに“人生の思い出”ですね。ちなみにマリーンズの選手同士で曲をおすすめすることもあるんでしょうか?
【小島】お互いにおすすめはしないですね。トレーニング中に沼らせる(ハマらせる)ことはあります。僕がウエイトをする時はノリノリの曲じゃないんですよ。ウエイト場ではしっとり系の曲ばかり流します。その方が気持ちが入るんです。そういう曲を流したら後輩が「eill(エイル)」って歌手にハマりました。
自分の曲をウエイト場で流すのってちょっと恥ずかしいんですよね。シャッフルで流すのも恥ずかしいし、最近の曲を流すのも恥ずかしくてみんな置きにいって、今のランキング1位から流すんですけど、僕はそういうのはしない。「ハマる人にハマれ!」って。しんみりした曲を流して他の選手から「これじゃ上がんねえよ」って言われるんですけど「知らない!」って(笑)。
■思いのこもった登場曲、本音もポロリ「変えづらくなっちゃいました(苦笑)」
――登場曲の「911」(R3HAB × Timmy Trumpet)について。
【小島】トランペットが印象的で聴いてました。僕がプロで初完投した日が2021年“9月11日”だったんですよ。だから「911」がいいなと思ったのもあるし、9月11日の一つ前の登板と、その前の登板がどちらも良くなくて、2回続いたから「多分これはもうファームだな」って自分でもちょっと思ってたんです。
後から聞いたんですけど、(当時コーチだった)吉井(理人)さんが当時の監督に「もう1回チャンスをあげてください」って言ってくれたそうで、「じゃあもう1回だけ」となって先発したのが9月11日でした。その日の楽天戦で僕が初完投できて、そこから9月19日の日本ハム戦で初完封。1試合あいて、10月3日の楽天戦でまた完封した。僕のプロ野球の人生のターニングポイントになりましたね。
その年は最後にギリギリで規定(投球回)にいけたんで、この時に完投できなかったら規定もいけてなかったし、この試合で良くなかったら多分ファームに行ってた。だからこそ「いいじゃん!」と思いました。
――この登場曲は2023年からずっと使用されていますね。長年使うと慣れることはないのでしょうか?
【小島】それがあるんですよ(笑)。登場曲に使い始めた当初は、サビを最初から流してそのまま終わったんですが、途中からサビの盛り上がるところを流して、もう1回そこをDJが上手くつなげてくれた。すごい気に入りましたね。
そこから「ちょっと落ち着いたところもいいな」と思って、4月初旬くらい登板の時に「前みたいに最初から普通にフルで流してください」ってお願いしました。今では「あの曲いいよね」って言ってもらえることが多いので、登場曲を変えづらくなっちゃいました(苦笑)。
■開幕1ヶ月で悟り…“目の前全力投球”誓う
――最後に野球の話になりますが、今季のここまでの成績を踏まえた上での目標を伺えますでしょうか(※取材は4月下旬)。
【小島】最近ちょっと悟りを開いてしまって…あんまり高い目標を立てるのもよくないんじゃないかと。前は立てた方がいいんじゃないかと思ってたんですけどね。
「中6日で1年間投げる」ことは当たり前のようにクリアしないといけないと思ってました。今もその気持ちはゼロではないですけど、結局(自分が先発する)23試合目に(チームが)どうなってるかわからない。だったらちゃんと目の前の1試合に全力で調整していって「そこでダメだったらしゃあない」くらいの気持ちで臨む。あまり先を見ないで、本当に目の前に集中っていう感じで準備をしてます。なので“目の前全力投球”って感じです。そういう周期に入っています(笑)。
開幕する前は「170、180イニングくらいの投球回を目標に」って言ってたんですけど「これは違うな」と。大事な試合で勝てるのも大切な要素だなって思います。そして、その“大事な試合”ってのはいつ来るのかわからない。例えば連敗を止めるのもすごく大事。後半になればなるほど、その重要度が増すと思うんですよ。4連敗か5連敗している時に僕に試合が回ってくるかもしれない。終盤の試合よりも連敗を止める方が大事なんじゃないかって思ったら、いつ来るかわからないその時に向けて全力で準備することの方が大事なんじゃないかなと思ってます。開幕して1ヶ月で(笑)。