話題の“タトゥーだらけの25歳女将”が語る、祖父の店で働くと決意したワケ。ガラガラだった店は現在“2時間待ち”になることも

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2025年05月24日 09:21  日刊SPA!

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「まぐろ加一」で女将として働くトチョニカペペさん 
写真/セールス森田
 今年の1月頃からSNSでバズっている「タトゥーの女将が切り盛りする飲食店」をご存知だろうか。話題となっているのは、創業約80年、栃木県足利市にある地元で人気の飲食店『まぐろ加一』。
 おしゃれなネイルにツートンカラーの髪、そして大胆なタトゥー。そんなビジュアルの女性が調理を行う動画がバズり、わずか半年足らずで一気に有名店となった。

 この動画に登場しているのは、この店の創業者のひ孫であるトチョニカペペさん(25歳、以下ペペさん)。

 SNSのコメントのなかには「そんな見た目で調理をするな」「タトゥーで料理なんて不潔」といった、タトゥーが入った女性が調理することに抵抗を抱くアンチコメントが多数届いているという。

 そんな彼女に、タトゥーを入れた経緯や、SNSでバズったことによる生活の変化などの話を伺った。

◆祖父が倒れて店で働くことを決意

『まぐろ加一』の創業者は、ペペさんの曽祖父。80年前の当初はリヤカーで野菜や魚の販売をしていたようだ。

 そこから長年、地元のスーパーとして営業していたが、時代の移り変わりもあって売り上げが減少。約25年前にペペさんの祖父が、飲食店に業態を変更したという。

 ペペさんが生まれたときと同時期に飲食店となった『まぐろ加一』は、約20年ものあいだ順調に営業を続けてきたのだが、コロナ禍で状況が一変……。

 当時はまだ地元のタピオカ屋でアルバイトをしていたというペペさんは、コロナの影響で客足が遠のいてしまった実家の店の状況、そして祖父の体調不良により、ひとつの決心をすることになる。

「加一のお客さんは年配の方が多かったこともあって、コロナで一気にお客さんが来なくなってしまいました。売上は半分以下。トータル130人くらい入るような中途半端に規模が大きい店だから、補助金だけじゃ全然足りなかったようで……。そんなとき、当時の店主だった祖父が倒れてしまい、私は店を手伝うために加一で働きたいと両親に伝えたんです」

◆両親が店で働くことに猛反対したワケ

 ペペさんは当時21歳。高校卒業後はタトゥーやネイルなどがOKな洋服屋さん、タピオカ屋さんなどで働いていた。こういった仕事をしているなかで「これでいいのかな?と思うことが多く、生きている感じが全くしなかった」という。

 他の仕事を探すにも、高校生の頃に入れたタトゥーの影響が大きく、条件に合う仕事はごくわずか。そんなとき、実家の飲食店に訪れた非常事態の助けとなるため、家族と共に働くことを決意した。

 しかし、祖父と共に加一で働いていた両親は猛反対したという。

「両親からは『飲食店、しかも自営業は特に大変だから他で働いた方がいい』と言われました。『髪型・タトゥーが自由だからと言って気軽に来てできるようなことではない』と……。今は木曜日が定休日ですけど、当時は休みなしで一年中やっていたんですよね。だから本当にその辛さがわかっているからこそ、『そんな辛い仕事を子供にさせたくない』という想いだったのかなと思います」

 両親と話し合い、しっかりと考え抜いた結果、改めて加一で働くことを決意したペペさん。そんな彼女が、この店に大きな改革をもたらすことになる。

◆初のタトゥーは高校時代に

 そもそも、どういった経緯でタトゥーを入れることになったのだろうか。タトゥーに興味を持ったきっかけについての話を聞くと、それは中学生時代に遡るという。

「中学3年生の頃、いろいろあってクラブにハマっていた時期がありました。そのとき知ったアーティスト『ゆるふわギャング』のNENEちゃんという人がすごくおしゃれなタトゥーを入れていて、衝撃を受けてしまったんです。それまでのタトゥーのイメージは『なんだかヤンキー臭いな……』というくらいでしたが、NENEちゃんを見て『超カッコいい!』と思って、こっちの世界に入りましたね(笑)」

◆タトゥーを見た父親からの言葉

 ペペさんは、そこからタトゥーというカルチャーに惹かれていった。そして高校生のとき、ついに初めてのタトゥーを入れる。

「高校時代に、両親には言わずにタトゥーを入れました。バレたくなかったわけではないので普通にしていたら、お風呂上がりに父から『あれ?タトゥー入ってる?』って言われまして(笑)。もともと寛容な両親なので、『なんで入れたんだ!』みたいに怒られることは一切なかったです。ただ、一言だけ『それが歳とったあと辛いことにならないといいね』と笑いながら言われましたね。ウチは自由を尊重する空気で、門限もなく、なにをするうえでも理解のある両親でした。制限がないからこそ、自分で判断する力が育った気がします」

◆タトゥーが“自分らしさの象徴”に

 また、タトゥーを掘るのにかかった金額についても聞いてみた。

「未成年に入れるような人にお願いしたので……。金額はそんなに高くなかったです。ただその分、デザインもそれなりで(笑)。当時の私は“タトゥーを入れた”ってだけで喜んでいたんですよね。だから今思うとダサい仕上がりですよ(笑)。でも、それからタトゥーが“自分らしさの象徴”になっていきました」

 その“自分らしさ”こそが、結果的にSNSでバズる大きな要素にもなっている。

◆クリスマス動画が「875万回再生」の大バズり

 のどかな街にある飲食店の名前が一気に全国に広まったのは、今年に入ってからのこと。年末に店の公式Instagramアカウントで投稿されたリール動画が話題を呼び、公開から現時点で約695万回再生を記録している。

 また、同じ動画がTikTokでも181万回再生を記録しているため、トータル約875万回以上再生されていることになる。
 この動画については、どういった経緯で投稿したのだろうか。

「最初は本当に、ただ日常を映してるだけでした。このバズった動画に関しても、クリスマスにサンタの帽子をかぶっている祖父が歩いてる日常を撮って、そこから料理を作っている映像を組み合わせただけです。それがバズったことで、食レポ系のTikTokerさんやYouTuberさんからのコラボ依頼がくるようになり、どんどん店の名前が広がっていきました。でも正直、私自身も家族もバズっているという実感はないんです。たしかに店は忙しくなりましたが、コラボしたYouTubeとかも恥ずかしくて見ないので(笑)。『よくわかっていない』という状況ですね」

◆バズった影響で過去最長の待ち時間に

 SNSで有名YouTuberとのコラボや、さまざまなメディア出演などを経て、客足が爆発的に増えた『まぐろ加一』。特に今年のゴールデンウィーク中は、店の近辺に衝撃の光景が見られたという。

「給料日前とかは外食を控える人が多いので、お客さんがそんなに来なかったんですけど……。そういったことを全く感じなくなりました。1月くらいからお客さんが増え始めて、『あれ?2月は毎年そんなにお客さんいないのに、今年は全然減らないな?』みたいな状況になり……。特にゴールデンウィークは待ち時間を『2時間くらい』とお伝えしたタイミングもありましたし、あとから聞いたのですが、店の近辺は渋滞ができていたみたいです」

 ただ、一躍有名になったことで、アンチコメントも多数届いたという……。インタビュー後編は、誹謗中傷コメントに対して想うことなど、タトゥーに対する世間の声の話を中心にお届けする。

取材・文/セールス森田

【セールス森田】
Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント

このニュースに関するつぶやき

  • この人はタトゥーのインクの発癌性を知ってるのだろうか?インクを身体の中に入れ続けるのだから、身体に良いわけが無い。
    • イイネ!1
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