『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』©2007 福田ますみ/新潮社 ©2025「でっちあげ」製作委員会綾野剛主演、三池崇史監督作『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』で、氷室律子を演じる柴咲コウのコメントと場面写真が到着した。
柴咲演じる律子は、息子が担任の薮下(綾野剛)から体罰を受けていると告発した保護者で、法廷で対立するという役柄。
柴咲は、三池崇史監督と3度目のタッグを組むことについて「怖い役のときにお声がけいただいている印象」と語る。今回の役については「すっと入り込んだ」とし、演じる上での苦労はなかったという。
オファーを受けたときの印象について「今回もやっぱりちょっとミステリアスで、特殊な”律子”という役に魅力を感じました。しかも三池さん独特のキュッと黒が引き締まるような、魅力を感じてしまうような、吸い込まれてしまうような映像になったらどうなるのかなと興味が湧きました」と明かしている。
メディアにも訴えかけたことで世論を味方につけ、550人もの大弁護団とともに民事訴訟を起こす律子だが、法廷で薮下は「すべて事実無根の“でっちあげ”」だと完全否認、律子のこれまでの供述とは真っ向から対立することとなる。
そこから描かれていく薮下の供述による律子は奇妙なほどに無表情で、その行動からも恐ろしさすら感じられる。息子を守る母の顔とのギャップに奇妙な違和感を禁じ得ない。
この度解禁された場面写真からも柴咲が演じる律子の、確固たる佇まいながら不気味な存在感を垣間見ることができる。
自身が訴えた体罰に関し学校側が開いた説明会での姿を切り取ったものだが、多数の保護者の前で謝罪する校長や教頭、そして薮下本人を見つめるその表情からは、納得感や安堵などは一切感じられない。それどころか、一体どんな感情を抱いているのか推し量ることすら難しい表情で、その目に宿る力は何かを訴えるように強いものになっている。
柴咲は、「役作りというよりも、もうそのままストンと律子の中に入るみたいな感じでした。私は私なりの、そしてそれは律子なりの、正義や常識の中で生きていて居心地が良かったです。自分の生き様みたいなものがあってそれを体現している役は、演じていてもストレスがなくて気持ちがいいんです。セリフを口にしても疑問や違和感がなく、薮下先生への態度も綾野さんと対峙する中で自然と出てきたものでした」と撮影をふり返る。
併せて解禁されたメイキングカットからも伝わってくるように、久しぶりとなる三池組への参加も充実した時間だったようで「リラックスしているけれども締めるところは締める、緊張感を持つ。そういうところは三池さん特有ですよね。合間で、例えば律子だと『怖〜い』って言いながら笑ってくれたりするんです。そうすると、『よし、怖がってもらえた!』と褒め言葉みたいに思っていました(笑)それぞれの役者さんのそういった部分を引き立てるのが本当に上手いなというのを感じていました」と、三池監督の抜群の雰囲気づくりを明かした。
まさに「怖い役のときにお声がけいただいている」と自負する柴咲と、そんな柴咲の持つ魅力を存分に知る三池監督との信頼感によって、今回の律子という役が奥深く、ミステリアスな人物として登場している。
さらに「個人的には、”あの作品で共演した人と、こっちの作品で共演した人が集合した”みたいな感じで、すごく不思議なところもあって。今回の世界ではこういう集まり方、こういう関係なんだなっていうのが奇妙であり、面白かったです」と日本を代表する骨太なキャストが集結している本作ならではの面白さについてもコメントしている。
『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』は6月27日(金)より全国にて公開。
(シネマカフェ編集部)