家電が最大8万円安く──実質ポイント制ではなくなった「東京ゼロエミポイント」を使ってエアコン買い替えた

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2025年05月25日 14:50  ITmedia NEWS

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ゼロエミポイント対象商品には貼り紙などで訴求している

 最新の省エネ家電への買い替えを促進するため、東京都が購入費用の一部を補助する「東京ゼロエミポイント」をご存じだろうか。対象はエアコン、冷蔵庫、LED照明器具、給湯器の4種類。いくつか条件はあるものの、最大で8万円の値引きが受けられる。今回はこれを利用して自室のエアコンを買い替えてみた。


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●使いやすくなった新制度


 2019年に始まった東京ゼロエミポイントは、昨年秋に大きく変わった。以前は、その名の通りポイント制度で、家電を購入した後で消費者が申請すると、商品券などと交換できるポイントが付与される仕組みだった。


 しかし利便性向上などの観点から24年10月に刷新。購入者ではなく販売店が申請する形となり、しかもポイントではなく商品の値段から直接値引きしてくれるようになった。購入者の手間を減らすことで、利用を促進しようというわけだ。


 また、長期間使用した家電を買い替える場合には支援を手厚くする仕組みも加えた。具体的には、製造から15年以上が経過した製品から新しい省エネ家電に買い替える場合(以下、長期使用家電からの買い替え)、値引き額が上乗せされる。


 製品のグレードや省エネ性能による製品のランク分けもあり、値引き額の計算は少し複雑だ。例えばエアコンの冷房2.4kW(主に6畳用)を新規に購入する場合、店頭の値札にある「☆マーク」(省エネ性能の多段階評価点)が「2つ以上3つ未満」なら9000円、「3つ以上」なら1万5000円引きになる。


 そして長期使用家電の買い替えになると、「☆2つ以上3つ未満」のエアコン購入で2万円(通常の9000円+上乗せ額が1万1000円)、「☆3つ以上」なら5万円(1万5000円+上乗せ3万5000円)が値引きされる。☆3つ以上のエアコンは多機能な上位モデルが多く価格もそれなりに高価だが、5万円引きで購入できるというのはインパクトがある。


 なお、東京ゼロエミポイントの利用は、新規購入の場合で26年3月31日まで、買い替えの場合は27年3月31日までとなっている。まだ先と思うかもしれないが、こうした補助金は予算があらかじめ決まっていて、それがなくなると期日前でも終了することは頭の隅に置いておきたい。


●手続きが簡単なぶん事前の準備は必要


 今回は、自宅の6畳間にある2011年に購入したエアコンを買い替える。今年は2025年なので、使用した期間は14年だが、製造年を確認したところ2010年だった。これは「長期使用家電からの買い替え」に該当する。


 家電を買いに行く際は、以下の書類をそろえる。自分で申請する手間はなくなったぶん、事前の準備が必要になった。


・本人と住所の確認のため「免許証」あるいは「マイナンバーカード」


・買い替える家電の「製造年が分かる写真」と「全体写真」


 エアコンの場合、大抵は室内機の底面にあるプレートに製造年や型番が記されているので、これをスマホで撮影する。また全体写真は、室内機だけでいい。


 余談になるが、事前にいくつかの家電販売店を見て回ったところ、立地によってずいぶん展示機のラインアップに差があることに気付いた。例えば駅前の大手家電量販店は、6畳用でも20万円前後の値札がついた最新モデルばかり。東京ゼロエミポイントの値引きを当て込んで、高付加価値モデルを売る戦略なのだろう。一方、駅から少し離れた場所にある家電量販店は、6万円台から20万円以上の製品までバランス良く並べていた。


 そして駅から離れた場所にあったホームセンターは低価格を全面に打ち出していて、中には6畳用で6万円を切るゼロエミポイント対象商品もあった(☆2つ)。新規導入で9000円引きの約5万円ちょい、長期使用家電からの買い替えなら2万円引きの約4万円で購入できる(工賃やリサイクル費などは別途必要)。


 スタッフによると、店の周囲は一人暮らしのお年寄も多く住む地域で、手頃な値段の製品を使ってエアコンの導入や交換を勧めているという。東京ゼロエミポイントも高齢者の熱中症対策に一役買っているようだ。


●【悲報】省エネ、特価品には勝てなかった


 実際にエアコンを購入したのは、駅から少し離れた場所にある家電量販店だ。「☆3つ」以上の製品を購入する気で行ったものの、迷った末に特価品の「☆2つ」の製品を購入した。


 理由は、価格が比較した☆3製品との差額が意外と大きかったから。ゼロエミポイントによる値引きは当初考えていた5万円から2万円に減ってしまったが、一方で電気代の差は10年間で1万千円程度の計算。この先20年使っても☆2つの製品のほうが大分安いと判断した。しかも製造年や製品グレードの違いからか、☆2つの製品のほうが高機能だった。


 購入手続きは、東京ゼロエミポイントの処理が必要なぶん、少し手間が増えた。といっても、購入者は上記の身分証や写真がそろっていれば、申し込み書に名前や住所を記入する程度だ。


 増えたのは、主に店舗スタッフの手間。写真やエアコンの機種を確認したり、書類を作成したりと忙しく動いていた。なお、販売店には東京都からゼロエミポイント処理に関わる手数料なども出ているはずなので、遠慮する必要はない。


 少し驚いたのは、持参したエアコンの写真の扱いだった。てっきり電子メールか何かで店舗側に送信すると思っていたのだが、実際はスタッフが業務用タブレットのカメラでスマホの画面を撮影するという“力業”だった。製品と製造年が照会できれば良いので合理的なのだろう。


 今回は室外機を支える金具の交換など少し特殊な工事を追加したこともあり、出費はそれなりの金額になったが、本格的な暑さが到来する前に、不調だったエアコンを新品に交換できたので安心した。この先、暑くなってくるとエアコンの故障などが増え、工事が混み合うため、エアコンを交換するなら早めに動くのが吉。東京ゼロエミポイントも背中を押してくれるはずだ。



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