「ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング」で再認識するトム・クルーズのすごさ

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2025年05月26日 05:01  日刊スポーツ

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トム・クルーズ(2025年5月撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>



シリーズ新作の「ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング」が想像通りの大ヒットとなっている。


深海から空中まで、62歳になったトム・クルーズが今回も新味たっぷりのアクションに体を張っており、観客の満足度も高いのではないかと思う。


作品資料の中では、シリーズに6回出演したサイモン・ペッグが「トムとマッキュー(クリストファー・マッカリー監督)の口癖は『このシリーズは常に上を目指さないといけない』です」と明かしている。第1作から29年、8作を数えるシリーズで毎回「見たことのない世界」が繰り広げられるゆえんだ。


2部作になっている前作「デッドレコニング」の撮影中にはコロナ禍もあった。その後、全米俳優組合のストライキがあり、半年間の撮影中断となった。作品にひと区切りを付けるために7作と8作を2部作にすると発表したのは6年半前のことだから、完結までの道のりは「プロジェクトX」でも紹介しきれないような巨大事業であったことがうかがえる。


クルーズふんするイーサンが潜入した原潜が深海をころがる内部シーンのためにどれほどの巨大セットが組まれたのか。特殊効果を極力使わないクルーズ=マッカリー監督コンビは、複葉機間の空中飛び移りシーンをいったいどうやって撮ったのだろう。ハイライトシーンでは、想像するだけで背筋がゾクゾクした。


「ファイナル−」と銘打ったこの作品で、クルーズは「真にグローバルな作品」を目指したという。


北極圏にあるノルウェー領スヴァールバル諸島、英ミドルトン鉱山の50キロのトンネル、南ア・ドラケンスバーグ山脈の青空、米空母ジョージ・H・W・ブッシュ艦上…観光ルートにはのらない場所がロケ地に選ばれ、そういう意味でも「見たことのない光景」が展開するのもこのシリーズならではだ。


今回イーサンはIMFの仲間から切り離され、孤独な闘いを強いられる時間が長い。近年のシリーズでは珍しい展開で、このあたりには原点回帰の意識が感じられる。そして、回想シーンが適時挿入される中で、第1作のあの人物がキーマンとなって現れたり…しっかり「伏線回収」していくところにクルーズの律義さを感じる。


クルーズご指名の通訳として知られた映画字幕翻訳家の戸田奈津子さんも、今作のプロモーション来日を機に、彼の映画にかける情熱と人柄の素晴らしさを改めて語っていた。


他にもフランシス・フォード・コッポラ監督、リチャード・ギア、ブラッド・ピットら多くのハリウッドセレブと交流のある戸田さんだが、割とはっきりとものをいう人なので、クルーズの人柄の良さは本物なのだと思う。


「ファイナル−」とはいえ、ラストにはいろいろ含みを感じる。「トップガン」が「−マーヴェリック」となって36年ぶりによみがえったように、このシリーズにも次があることをひそかに期待している。【相原斎】

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