「在職老齢年金制度が見直されます。現在の基準額51万円から、2026年4月には62万円に大幅に引き上げられる見通しです」(全国紙記者)
ファイナンシャルプランナーの内山貴博さんはこう解説する。
「在職老齢年金とは、月にもらう厚生年金と、月給や1カ月分に換算した賞与の合計が基準額を超えた場合、その2分の1の金額が年金から減額される仕組みです」
現在の基準額51万円で計算すると、たとえば厚生年金が10万円、月給と1カ月換算した賞与が52万円ある人の場合、基準額との差額の2分の1に当たる5万5000円が減額される。だが、2026年度から62万円にまで基準額が上がれば、年金を減らされることはない。
「65歳以降も会社員として働くと、年金を受給し始めても、厚生年金の保険料を払い込み続けます。すると、在職定時改定といって、前年に納めた保険料に応じて、翌年に厚生年金が増額されるのです」
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■長生きする女性は“自分の年金”の繰り下げを
65歳以降も働く選択肢が広がったことで、年金の“繰り下げ受給”を検討する人も増えるだろう。
「受給を1カ月遅らせるごとに0.7%年金額が増えます。一方、気をつけたいのは厚生年金を繰り下げると、加給年金を受け取ることができないことです。厚生年金に20年以上加入すると、65歳になったときから、配偶者(昭和18年4月2日以降の生まれ)が65歳になるまで年間41万5900円の加給年金を受け取れるのです」
そこで、最新データをもとにベストな働き方と年金のもらい方を、内山さんに試算してもらった。
モデルとしたのは、厚労省が発表した2025年の年金支給の平均額をもとに、夫の厚生年金10万2800円・基礎年金6万7400円、妻の厚生年金8900円、基礎年金6万6500円の夫婦。また夫は65〜70歳まで給与20万円で働き、妻より5歳年上としている。
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夫婦ともに65歳で年金受給を開始する場合、妻が65歳になるまでの5年間は加給年金が受け取れる。65歳の平均余命をもとに、85歳で夫が亡くなったと仮定。遺族厚生年金も考慮すると、90歳までに夫婦の生涯の受給額が7836万円となった。
年金は種類によって別々に繰り下げられる。夫が厚生年金を65歳から受給し、基礎年金を70歳まで繰り下げれば、加給年金をもらいながら、受給額を増やせる。
おすすめの繰り下げの仕方は、夫が基礎年金のみを繰り下げ、妻は厚生年金と基礎年金の両方を繰り下げるパターン。65歳からの平均余命によれば、女性は男性よりも5歳ほど長生き。生前に夫が年金を繰り下げていても、遺族厚生年金は夫が65歳時点にもらう予定だった受給額をもとに計算されるので繰り下げ効果がなくなってしまう。自分の年金を繰り下げておけば、一生涯増額された年金を受給することができる。
一方、生涯受給額がもっとも多いのは、加給年金をあきらめ、夫婦ともに70歳まで繰り下げるケースだが、無年金期間が長くなるため、かなりの貯蓄や収入が必要だ。自身の貯蓄と収入を見極め、最適な年金のもらい方を熟慮しよう。
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