幸福感などの社会的価値は52億円 Bリーグオールスターゲームの効果を金額換算

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2025年06月10日 13:00  OVO [オーヴォ]

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Bリーグ試合の社会的価値分析レポート表紙

 千葉県船橋市で1月18〜19日に開かれたバスケットボールBリーグオールスターゲームの社会的価値は約52億円――。Bリーグ(東京都文京区)とEY Japan(東京都千代田区)はこのほど、オールスターゲームの社会的価値をこう弾き出した。

 この金額換算の算出過程をレポートにまとめたEY Japanの公共・社会インフラセクターパートナー・岡田明さん(52)は「当初の予想額を上回る分析結果となった。特にオールスターゲームの観戦者や関連イベント参加者のウエルビーイング(幸福感など)の換算額が大きく、全体額を押し上げる要因となった」と話す。

 日本ではスポーツの社会的価値を金額換算する試みはまだ少ないが、岡田さんは「社会的価値の可視化(金額換算)の試みは、共感力やシビックプライド(地域に誇りを持ち地域を良くしようとする思い)を醸成して多様な人々を包含する地域コミュニティーを形成する力がスポーツにあることを明らかにする効果があり、地元市民も含めた多様な関係者のスポーツに対する理解を高めることができる」と金額換算の意義を強調する。


 レポートでは、オールスターゲームの社会的価値を、ウェルビーイング(幸福感、楽しさ)▽集団的アイデンティティ(シビックプライド)▽ソーシャルキャピタル(コミュニティーでのつながり)▽ヒューマンキャピタル(自己成長)▽ヘルスリテラシー(健康意識)▽船橋市のブランドバリュー向上―の6項目に分けて算出。

 6項目の社会的価値の金額は、ウェルビーイング6億1330万円、集団的アイデンティティ5億1240万円、ソーシャルキャピタル4億3410万円、ヒューマンキャピタル4億2270万円、ヘルスリテラシー3億7490万円、船橋市のブランドバリュー向上28億4220万円。

 船橋市のブランドバリュー向上は広告換算値を使い、それ以外の5項目は、オールスターゲームの観戦者、関連イベント参加者、オールスターゲーム運営に携わる関係者らを対象に実施したアンケート(1月18〜19日、計約4700人回答)の分析結果と、社会的価値を金額換算する方法の一つである、観戦者・参加者の支払い意思「ウィリングネス・トゥ・ペイ(willingness to pay、WTP)=消費者が製品・サービスに対して払ってもよいと考える金額」の手法を用いて算出した、という。

 岡田さんは「アンケートから、観戦者の92.2%、関連イベント参加者の92.7%がウェルビーイングを感じていることが分かった。この部分が大きな価値を生み出していることを可視化できた。今回のオールスターゲームの投下コストは約10億9千万円で、約52億円の社会的価値を生み出したので、社会的価値金額を投下コストで割って出す、いわゆる社会的価値収益率(ソーシャル・リターン・オン・インベストメント、SROI)は約4.79だ。100円分の投資で479円の社会的価値を創出したことになる」と説明した。

 観戦者や関連イベント参加者、地元船橋市民ら関係者別に分析すると、集団的アイデンティティ(シビックプライド)の金銭換算額は、船橋市民が最も大きかったという。この結果から、岡田さんは、オールスターゲームの地元開催の認知度を船橋市民の間で高める工夫が、船橋市民のシビックプライドを醸成することにつながるとリポートで提言。さらに関係者ごとに社会的価値を高めるための向上策もいくつかリポートに盛り込んだ。


 岡田さんは「今回、Bリーグやオールスターゲームの社会的価値をさらに高めるには地域住民の認知度・関心度をどのように高めていくかが課題となることが分かった。今後もBリーグに対する関係者の関心、理解を高める取り組みをBリーグと共に進めていきたい」と語っている。

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