
9日に発表されたコメの販売価格。5キロあたり4223円と2週連続の値下がりになりました。そんな中、小泉大臣が選択肢として触れた「コメの緊急輸入」が物議を醸しています。今後、実際に輸入される可能性はあるのでしょうか。
店頭価格が下がる予兆?スポット取引の価格が急落6月9日、北海道で初めて販売された「随意契約の備蓄米」。
その米を求めて、札幌市のコメ販売業者の前には、車の長い列ができました。
約1000袋を販売しました。
Q.どのくらい前から並んでる?
車で来た客
「そうでもない。30分くらい前から」
9日の夜に、農水省が公表した「全国のスーパーでの米の平均販売価格」。
5月26日〜6月1日までは5キロ4223円と、2週連続で値下がりしましたが、2024年と比べると2倍の価格で高止まりしています。
※(株)KSP-SPが提供するPOSデータに基づき農林水産省にて作成
高値が続く要因について、小泉農水大臣は5日、こう話していました。
小泉進次郎 農水大臣
「(スポット取引が増え)スポット価格が上がっている。そのことが結果として、スーパーなどでの店頭価格が上がる要素になっている」
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小泉大臣が言う「スポット取引」とは、コメは一般的には、JAなどの集荷業者から卸売業者を経て、スーパーなどの小売店へ流れていきます。
一方で、コメが足りなくなった卸売業者が他の卸売業者からコメを買う、卸売業者間で行う取引が「スポット取引」です。
創業335年、群馬県高崎市のコメ卸売店「金沢米殻販売」。備蓄米の放出によって、スポット取引の価格が急落していると話します。
金沢米殻販売 金澤富夫さん
「価格がドーンと一気に1割以上下がった。1割以上も下がったというのは、米殻業者にとって、ある意味ショッキングな数字」
スポット取引の価格(新潟県産一般コシヒカリ/玄米60キロあたり)は、5月23日に5万円。それが6月5日には4万3500円に下落。
関東のコシヒカリも、4万8500円→4万2000円と、6000円以上安くなっています。
スーパーの“店頭価格”にも影響はあるのでしょうか。
流通経済研究所 折笠俊輔 主席研究員
「(スポット取引は)全体の量でいくと4%か5%。ただ余ってるコメがあるかどうかを見極める意味合いもある。
スポット相場の価格が下がってくるということは、小売りの店頭価格が下がってくる予兆と見ることができる」
また、小泉大臣は6月6日に会見でこう話してもいました。
小泉進次郎 農水大臣
「(コメの)緊急輸入も含めて、あらゆる選択肢を私は持って向かいたい」
緊急輸入は30年ほど前、実際に行われたことがあります。
記録的な冷夏による不作で、コメ不足に陥った1993年。タイ米やカリフォルニア米が続々と日本にやってきました。
緊急輸入の可能性について、コメ生産者の間では不安が広がっています。
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夢田ファーム 海老澤信之 社長
「必ずコメは国内にある。報道されてるように、“備蓄米2000円で卸します”となってから、各スーパーにいろんな全国的な銘柄米が棚に並んでいる。足りているのに、なぜ外米を輸入するのかなと」
9日午後2時ごろ、国会ではコメの輸入について、こんなやり取りがありました。
立憲民主党 横沢高徳 参院議員
「小泉大臣は、コメの輸入へと舵を切ると発言をされました」
小泉進次郎 農水大臣
「舵を切ったという発言を、訂正をしていただきたい」
立憲民主党の横沢議員は質疑を続けますが…
小泉進次郎 農水大臣
「舵を切るという発言をしたことは全くありません。ぜひ、そこは訂正を」
「ぜひ訂正を」
3回にわたって訂正を求めた小泉大臣。実際、コメの緊急輸入はあるのでしょうか。
流通経済研究所 折笠俊輔 主席研究員
「備蓄米が尽きたとしても、“緊急輸入をする”という話をすることにより、在庫を抱えている人に吐き出させるという、一つのブラフ的な話とみている」
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