12号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA) 6月11日、フランスのサルト・サーキットで2025年WEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レースの予選のセッションが行われ、12日の『ハイパーポール』へ進出する各クラス上位車両が決定した。
2025年、ル・マンの予選方式は改められ、『予選』『ハイパーポール1(H1)』『ハイパーポール2(H2)』という3セッションのノックダウン方式に。11日に予選を行い、12日にハイパーポールの2セッションを行ってスターティンググリッドを決することとなった。なお、H2へ進出した場合、H1とは異なるドライバーがアタックを担当しなければならない。
18時45分、まだ空高く太陽が残るなか、LMP2およびLMGT3クラスの30分間の予選セッションが始まる。この予選第1ステージでの各クラス上位12台が、木曜日の『H1』へと進出する。
LMGT3クラスはこのファーストステージを、ブロンズ(アマ)ドライバーが担当する決まり。したがって、ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ296 GT3では、木村武史がステアリングを握った。佐藤万璃音組の95号車マクラーレン720S GT3 Evoでは、ダレン・ラーンが予選を担当している。
2クラス計41台が走行するコース上は、各所でトラフィックが発生する状況のなか、LMGT3クラスの序盤のアタックでは、81号車シボレー・コルベットGT3.Rのトム・ファン・ロンパウが3分58秒044で暫定首位に立ち、これを27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3(ハート・オブ・レーシングチーム)のイアン・ジェームスが上回り首位へ。
さらにその直後、テストデーから好調を維持する78号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)のアーノルド・ロバンが3分57秒321と全体ベストを更新した。
ここで60号車メルセデスAMG GT3 Evo(アイアン・リンクス)がダンロップシケイン脇に停車し、赤旗が導入。計時は残り15分15秒でストップする。
マシン撤去のための10分ほどの中断ののち、セッションは再開。すると、46号車BMW M4 GT3(チームWRT)のアハマド・アル・ハーティ、92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・ファーストフォーム)のライアン・ハードウィックらがレクサスのタイムを上回っていく。
残り3分51秒というところで、150号車フェラーリ(リシャール・ミル・AFコルセ)がコース脇にストップ、2度目の赤旗が導入されると、すぐにセッションの再開はなしとのアナウンス。この時点での上位12台が、ハイパーポール進出を決めた。
LMGT3クラスは46号車BMWが最速。2番手以下は、27号車アストンマーティン、92号車ポルシェ、78号車レクサス、81号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)、88号車フォード・マスタングGT3(プロトン・コンペティション)、193号車フェラーリ(ジッゴ・スポーツ・テンペスタ)、59号車マクラーレン、21号車フェラーリ(ビスタAFコルセ)、54号車フェラーリ、61号車メルセデス、そして佐藤組の95号車マクラーレンまでが、ハイパーポールへと駒を進めた。
57号車フェラーリの木村は3分59秒092というタイムを残したものの15番手となり、予選敗退となっている。
17台がエントリーしているLMP2クラスでは、赤旗中断の際にはルイ・デレトラズがドライブするAO・バイ・TFの199号車オレカ07・ギブソンが3分36秒020で暫定首位、僅差でユナイテッド・オートスポーツ23号車のベン・ヘンリーがつける形となっていた。
再開後は各車が続々とタイムアップを果たすが、デレトラズも3分35秒472まで全体ベストを縮めて応戦、首位を守る。ここで2度目の赤旗からセッション終了となり、13番手以下のプロトン・コンペティション11号車、アンドレ・ロッテラーのIDECスポール18号車、アイアン・リンクス・プロトンの9号車、インターユーロポル・コンペティションの34号車、そしてニールセン・レーシングの24号車が敗退を喫することとなった。
■トヨタのデ・フリースは首位から2.2秒差の17番手
ハイパーカークラスの30分間の予選セッションは、予定どおり19時30分から。このクラスでは、21台中15台が翌日のハイパーポールへと進出する。陽は徐々に傾きつつあるものの、気温30度、路面温度は42度と、暑さのなかでのセッション開始となった。
7号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタGAZOO Racing)ではニック・デ・フリース、8号車ではブレンドン・ハートレーがステアリングを握った。
アウトラップ翌周のファーストアタックでは、83号車フェラーリ499P(AFコルセ)のイェ・イーフェイが、3分23秒994で暫定首位に立つ。6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)のケビン・エストーレ、51号車フェラーリ(フェラーリAFコルセ)のアレッサンドロ・ピエール・グイディと続き、翌周含め各車が1回目のアタックを終えた段階で、トヨタは8号車が10番手、7号車が11番手となる。
多くのマシンが一度ピットへと戻り、タイヤを履き替えて再びコースへ戻るなか、51号車フェラーリのピエール・グイディは3分23秒933という全体ベストを叩き出す。12号車、38号車のキャデラックVシリーズ.R勢(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA)も4番手、5番手へと順位を押し上げてくる。101号車キャデラック(キャデラックWTR)も7番手に続いた。
残り10分の時点でノックアウトゾーンには2台のポルシェ、2台のプジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)、アストンマーティンとBMW Mハイブリッド V8(BMW Mチーム WRT)が1台ずつという状況に。
残り6分、311号車キャデラック(キャデラック・ウェーレン)のジャック・エイトケン、6号車ポルシェのエストーレが相次いで全体ベストを更新。36号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)のミック・シューマッハーも5番手へとポジションを上げて来る。50号車フェラーリのアントニオ・フォコが僅差の2番手に飛び込み、8号車トヨタのハートレーは5番手へとポジションアップを果たした。
ここで15号車BMWのドリス・ファントールが3分22秒887と、ひとり3分22秒台へと入れる快走を見せて全体最速に。さらに12号車キャデラックのアレックス・リンも3分22秒847とベストを塗り替えた。
7号車トヨタのデ・フリースは予選通過圏外の16番手までポジションを落とし、ラストアタックでも自己ベストにわずかに届かず、ここでの敗退が決定してしまう。対照的にチェッカーラップで4号車ポルシェのフェリペ・ナッセは自己ベストを更新、14番手に飛び込んでハイパーポール進出を決め、デ・フリースの順位は17番手となった。
予選第1ステージ最速は、12号車キャデラックのリン。以下15号車BMW、51号車フェラーリ、6号車ポルシェ、38号車キャデラック、50号車フェラーリ、5号車ポルシェ、20号車BMW、311号車キャデラック、36号車アルピーヌ、8号車トヨタ、83号車フェラーリ、101号車キャデラック、4号車ポルシェ、35号車アルピーヌまでがハイパーポール進出。
このセッションで敗退となったのは009号車と007号車という2台のアストンマーティン・ヴァルキリー、7号車トヨタ、94号車と93号車のプジョー勢、99号車ポルシェ(プロトン・コンペティション)となった。
現地ではこのあと22時からフリープラクティス2が2時間にわたって行われ、各車は今年初めて、サルト・サーキットでのナイトセッションに臨む。
[オートスポーツweb 2025年06月12日]