毎熊克哉(38)が12日、東京・新宿武蔵野館で行われた主演映画「桐島です」(高橋伴明監督、7月4日公開)完成披露上映会に登壇した。
連続企業爆破事件に関与したとして指名手配され、49年もの逃亡の末、24年1月29日に70歳で死亡した桐島聡容疑者(被疑者死亡で不起訴処分)の人生を演じた。「台本をいただいて、昨年の撮影に挑む時、完成して届く時に、一体、どんな反響があるのかな? というのを、他の作品より、強く持っていた」と吐露。3月の第20回大阪アジアン映画祭のクロージング作品として上映されたが、東京の映画館での初上映に、緊張感さえにじませた。
「『桐島です』」は、国内の映画賞を席巻した22年「夜明けまでバス停で」の高橋伴明監督(76)と脚本家・梶原阿貴氏(52)が同作同様、実際の事件に着想を受けて企画し、共同脚本を手がけた史実にフィクションを織り込んだ社会派エンターテインメント作品。当時の映像、新聞も出てくるが、桐島容疑者が工務店に住み込みで働き「内田洋」を名乗り生き続けた日常に力点を置いた。淡い恋愛模様など逃亡と表裏一体にあった1人の男の青春も描かれた。
毎熊は報道含め数少ない情報から、手配書に貼られた写真そのものの外見を完成させ、逃亡人生を1人で、しかも特殊メークなしで演じきった。高橋監督が「特殊メークで2回くらい、失敗しているんですよね。男性は若い。昔みたいに年を取らない。ちょうど良かったんじゃないか…狙い通りでした」と笑みを浮かべた。毎熊は「ヘアメークの佐藤さんの腕に助けられましたね。僕は何もしていないですね」と謙虚に答えた。
劇中で、桐島容疑者と相思相愛となるミュージシャンのキーナを演じた北香那(27)が「特殊メークじゃないって今、知りました」と言えば、バーの店主ケンタ役の原田喧太(55)は「歩き方もそうだし、さすがだなと」と絶賛した。そうした声を聞き、毎熊は「特殊メークは考えないと言われたので…言うても70歳。いけるかな? と心配があった。鏡で見たら70代、いけるなと」と撮影当時を振り返った。
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実は、毎熊は俳優を志したタイミングで、エキストラとして高橋監督作品に出演していた。「15、16年前に俳優をやってみようとなって、プロの現場に行ったのが、伴明さんの作品。エキストラで2、3日参加していました。それがあったので、やりますと」と、今作への出演のオファーを決めたと明かした。そこから、主演としてオファーを受けるところまでに成長した。「謎に包まれ、しかも同じ時間に生きていた人を演じるのは怖いことだなと。でも、高橋伴明監督作品で、今回の役をやる魅力の方が勝っていた。(俳優を)10何年やった、ご褒美だなと思ってやらせていただいて」と振り返った。高橋監督は、毎熊が監督作にエキストラで参加していたことを「(主演が決まった)後で知りました」と笑いながら即答した。
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