長岡一也さん(フリーアナウンサー)【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆大阪杯上位組にも期待
宝塚記念は、今年から開催時期が安田記念の翌週となり、今までより2週間前倒しされた。これにより新たなローテーションが生まれていくことになりそうだ。これまでは、目黒記念や鳴尾記念を経由して出走してくるものが何頭かはいたが、中一週になったことや暮れに移動したことにより、今年は3月下旬の日経賞が新たなステップとして登場した。
その2、3、4着馬の3頭だが、これらはクビ、クビの大接戦を演じており、稍重で前半1000米が62秒8のスローペースだったことを思えば、立回り次第でどうなったか分からないレースで、とても着順どおりには考えられない。ここで一番人気だったのが、昨年の菊花賞馬アーバンシックで、このペースの後方で仕掛けが遅れ、勝ち馬から0秒1差の3着に終わったが、今度は巻き返すチャンスがあるかもしれない。
宝塚記念は、京都で行われた昨年を含めて1番人気のGIウィナーが、この10年で4連対にとどまっている。そのうち勝ったのは2頭のみ、あとは2、3番人気が2勝と3勝で、残りは6番人気以下の馬だった。2着馬に限ると、1番人気馬が2頭いる他は、あとは全て5番人気以下の馬で、これらが8頭を占めていた。伏兵の活躍が多いということで、どこに焦点を当てるか、ムズカシイところだ。
昨年の2着には7番人気のソールオリエンスが、後方で脚をためて3ハロン最速の34秒0で入っていた。前走の大阪杯7着で人気を下げていたが、元々皐月賞馬で菊花賞3着の実力があり、古馬相手に結果を出せないでいたのだった。
2年前の2着には10番人気の牝馬のスルーセブンシーズ。前走の中山牝馬Sで初重賞制覇を達成して3ヶ月半ぶりのレースだった。これも最後方から最速の34秒6の末脚で喰い込んでいた。そして3年前は、5着人気のヒシイグアスで、大阪杯4着から3ヶ月ぶりのレース。D.レーン騎手の手綱で、いいスタートを切って6番手に構え、直線は満を持して追い出され、これも最速の上がりで上位に入っていた。6歳馬で地味な存在だったが、それまでGIでも僅差で走っており力差はないという評価だった。
こうして振り返ってみると、伏兵には末脚のいいものということになる。
今年の顔ぶれを見ると、大阪杯の1〜3着馬が、やはり上位に来るだろう。ペースが速く息の入らない流れを、好位から力強く抜け出して史上初の連覇をレコードタイムで達成したべラジオオペラは、スタートが武器で、阪神コース4戦負けなしが心強い。
大阪杯3着のヨーホーレイクは後方からいい脚を見せており、母の父フレンチデピュティがパワータイプ。馬場が重くなりそうなので、逆転があってもと思える。同じく2着のロードデルレイは初めてのGIで0秒2差なら上々。日経新春杯2200米を勝っている実績は、ここでは強調できる。
「満を持し 譲れぬ主役 グランプリ」