【ワシントン時事】赤沢亮正経済再生担当相は13日、トランプ米政権の関税措置見直しに向け、ベセント財務長官らと大詰めの交渉を行った。日米は、カナダで16〜17日に開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせた首脳会談での合意を模索している。赤沢氏は交渉前、合意への道筋を「五里霧中」と説明。土壇場の調整で一致点を探ったが、「霧」はいまだ晴れない。
「非常に突っ込んだやりとりを行い、合意の可能性を探った」。赤沢氏は交渉後の記者会見で何度もこう繰り返し、交渉が最終局面に差しかかっていることを示唆した。
日米の閣僚級交渉は今回が6回目。サミットを控え、最近は4週連続で協議を重ねている。日本はこれまでの交渉で、自動車や鉄鋼の追加関税を含む一連の措置の撤廃を要請。これに対して米側は相互関税の上乗せ分を主な交渉対象とする姿勢を示し、一致点を見いだせていなかった。
だが、今回の交渉後に日本側が出した文書では、従来の発表文で明記していた「米国による一連の関税措置の見直しを改めて強く申し入れた」との文言が消滅した。赤沢氏は今回も撤廃を求めたかは明言せず、撤廃以外の選択肢を受け入れる余地が出てきたのかを問われると、「具体的なやりとりは差し控えたい」と口をつぐんだ。
赤沢氏は「日の出とともに霧が晴れることもあれば、晴れないこともある」とした上で、「全てが合意されるまでは何も合意はない」と強調。交渉の進展度に関しては「無用の期待や懸念を生む」と説明を避けた。
12日にはトランプ大統領が、鉄鋼に続き自動車の関税もさらに引き上げる可能性に言及。日本側には「全ての関税措置を撤廃するのは難しい」(政府関係者)として、どこかで妥協を迫られるとの見方が出ている。
赤沢氏は首脳会談を見据え、ぎりぎりまで米側との調整を続ける構え。閣僚交渉の成果を踏まえ、首脳間で一定の合意にこぎ着けることができるか。日米協議はクライマックスを迎える。