写真はイメージです最低限の仕事しかしない「静かな退職」が若者を中心に急増している。しかし、リストラの危機を孕み、40歳以上ともなればリスクはさらに膨らむ……。そんな中、戦略的に窓際ポジションを獲得し、リストラ対象にもならない人たちがいる。あえて“働かないおじさん”という選択に踏み切った会社員の「新・勝ち組」の手法に迫る!
◆窓際社員に発言はご法度
石原聡二さん(仮名・50歳)
職業:エネルギー関連
窓際歴:6年
年収:850万円
「部署を異動してからは、妻との関係も良好になりました」とほくそ笑む石原さん
戦略的にステルス窓際社員になるには、努力が必要だ。エネルギー関連の会社に勤める石原聡二さんもその努力のもと、勝利の椅子を勝ち取った一人。40代半ばまでは第一線の部署で働くも、会社への失望から窓際社員を志した。
「いわゆるJTCと呼ばれる日本型の企業で、出世争いが激しい。土日返上で働く激務の課長に、社内政治といかに失点なく過ごすかしか考えない部長。彼らを見てると、なりたい自分はそこになかった」
30代の頃はがむしゃらに働き、大きなプロジェクトも任されていた石原さんだが、失望から徐々に仕事をセーブ。まず実行したのは「発言を控える」ことだった。
「会議での発言をやめました。『いい案がある』『それは効率が悪い』などと一度意見を述べたら最後、『じゃあキミが担当で』と仕事が増える。窓際社員に発言はご法度です」
◆自分にとって都合のいい部長に引き抜いてもらう“画策”が成功
真面目に出社し、会議も常に参加。行儀の良い社員に見せる努力も怠らなかった。そして、自分にとって都合のいい部長に引き抜いてもらう画策を巡らせた。
「ウチの会社の部長はミスなしを目指す人ばかり。さらに、自分に取って代わる優秀な人材を蹴落とそうとする人もいる。当初は失望しましたが、窓際を目指すと決めてからはそういう上司こそ逆に狙い目だと考え、仲良くするようにしました」
TVドラマなら間違いなく悪役の部長も窓際社員にとっては神様でしかない。石原さんは、この部長が管理する、若手育成を手がける内勤部署に晴れて異動。定時で帰社の上、有休も好きなときに取得できる。今も心がけているのは「言われたこと以外は絶対にしない」だ。
「おかげで子どもの夏休みの間、有休を取得してオーストラリアへの短期留学に2週間付き添えました。妻も子どもも喜んで、自分も最高の体験ができた。これも窓際戦略の賜物ですよ」
努力で得た対価は、会社の給料では補えない。
取材・文/週刊SPA!編集部
―[40歳OVER[静かな退職]生存戦略]―