「波うららかに、めおと日和」©フジテレビ2025年の春ドラマも間もなく放送を終了。今期は、さまざまな“愛”の形を描いた作品が多かったように思われる。
そこで本日は、ドラマニアな筆者が選ぶ「春のベスト3」作品をまとめてご紹介。
“愛”に溢れた春らしいドラマ3選を一緒に振り返っていこう。
第1位
現代に想い合う大切さを教えてくれた
「波うららかに、めおと日和」
原作は、漫画アプリ「コミックDAYS」で連載中の西香はちさんによる同名コミック。主演に芳根京子さん、共演に本田響矢さんを迎え、昭和の時代を舞台に、恋愛に不慣れでピュアな男女が戸惑いながらも“夫婦”という絆を通じて、想い合い、歩み寄り、少しずつ愛を育んでいく心温まる新婚ラブコメディ「波うららかに、めおと日和」。
ドラマニアな筆者が考えるに、この作品が令和に実写化されたことに、とても大きな意味があったと思う。なぜなら、さまざまな情報を得ることが容易になった現代と比較して、明らかに色んなものが足りていない状態で結婚した2人の幸せ過ぎる日常がズシンと胸に響くからである。
かつてはこの作品のような、いわゆる交際0日婚がオーソドックスだったのかと思うと、いまは何に対しても事前情報があり過ぎてしまっていることに気がつく。例え携帯電話が無くても、新幹線が無くても、お互いを想い合う空白の時間が愛を育むこともあるのだ。
大みそかに除夜の鐘を聞きながら、「これからもずっと一緒にいよう」と幸せそうに微笑み合う瀧昌×なつ美夫婦の姿は、きっと尊く視聴者の目に映ったに違いない。本作は、まさにこの春一番のトキメキと癒し与えてくれた心に残る一作だった。
第2位
切ない展開に感涙必至
「ダメマネ!―ダメなタレント、マネジメントします―」
ワケアリ芸能人たちの巣窟と呼ばれる、TOYOプロダクションの芸能4部――そこを舞台に、川栄李奈さん演じる元・人気子役の神田川美和が、冷徹な上司・犀川(安田顕)の書くシナリオを読み上げることで、毎話、クセの強い崖っぷちタレントたちのピンチをマネージャーとして救っていく人生リベンジコメディー。「ダメマネ!」は、どん底にいても夢をあきらめない登場人物たちのパワフルな背中に勇気をもらうことできる、笑いあり涙ありの秀作だった。
中でも視聴者の話題をさらったのが、主人公・美和と、事務所のトップスター・サナディーンこと真田(山田涼介)の純粋過ぎる恋模様だ。幼い頃から芸能界にいた2人だからこそ、パッと見はめちゃくちゃ華やかなのに、恋にめっぽう疎いというギャップ。
それがどんなに純愛だとしても、「ファンを笑顔にする」という真田の夢を貫くためには、関係を継続するわけにはいかない…。美和が「叶えない恋をしよう」と笑顔で提案するシーンには、切なさで心が張り裂けそうになってしまった。しかもその背後には、犀川の想像の斜め上をいく策略が潜んでいて――。
芸能界という特殊な環境で描かれるちょっぴり不思議な“愛”の物語は、今期強く記憶に残ったドラマだ。
第3位
イチオシの人生応援ドラマ
「対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜」
本作は、朱野帰子さんの原作を基に、専業主婦になることを選んだ主人公・村上詩穂(多部未華子)が、これまでの人生で出会うことのなかったタイプの人たちと関わり合いながら、共に成長していく人生応援ドラマである。
タイトルの通り、本来ならば、つい自然な流れで「働くママは働くママ同士」「育休パパはパパ同士」共通の価値観で集まってしまいそうなところ、本作では専業主婦の詩穂がハブとなって、“対岸にいるはずの親たち”が集い、血気盛んに意見を交換していく点が面白い。
最初のうちは、心のどこかで「どうせこちらの悩みなんて、理解してくれっこない」と境界線を引いていた彼らだったが、ぶつかり合ううちに、お互いの欠点だけでなく良い所も見えてきて…。やがて、一人で向き合うには難題過ぎた家庭や仕事、子育て、介護などの悩みを、共に解決していく真の同志となっていく。
大人になってからできた新しい友達――今回のドラマではそれが“家族”というくくりで描かれていたが、価値観が凝り固まってしまう大人世代だからこそ、時に、愛のある喧嘩が必要なのかもしれないなとハッとさせられた。きっと誰かしらのキャラクターに共感の種が潜んでいるはずなので、まだ見ていないという人はぜひチェックしてみてはいかがろうか。
ドラマニアのコラム、次回は「夏のおすすめ作品」をご紹介予定。お楽しみに!
(YUKI)