
前田大然×林陵平対談 前編
今季スコットランドリーグMVPを獲得した前田大然と、解説者のトップランナーとして活躍し、スポルティーバYouTubeチャンネルでもお馴染みの林陵平氏が対談。ふたりは2017年に水戸ホーリーホックで2トップを組んでいた仲だという。林氏が前田のセルティックでのプレーのことを聞いた。
【動画】前田大然&林陵平対談 スコットランドリーグ総括&サッカー日本代表を語る↓↓↓
【無意識に体が動いている】
林 今シーズン、リーグ4連覇おめでとうございました。
前田 ありがとうございます。
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林 今季のセルティックを振り返ってみてどうでしたか?
前田 最後にスコテッィシュカップを3連覇するチャンスがあったんですけど、負けちゃってシーズンが終わったので、そこだけはすごく悔いが残るシーズンでした。
林 でもリーグとしては4連覇。そのなかで今季はゴール数がすごかったですよね。51試合33ゴール11アシスト。
前田 ゴールもそうですけど、アシストが増えたので、そこも個人的にはすごいよかったかなって思います。
林 何が変わったとかはありましたか?
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前田 いや、特に変わったとかないんですけど、今までやってきたことをずっとやってきて、それが実になったかなっていう。
林 今シーズンは4−3−3の3トップの真ん中でプレーすることもあったし、ウイングでプレーすることもありましたけど、自分としてはどっちがやりやすいんですか?
前田 まずは左(ウイング)でスタートして、ちょっと相手が疲れたぐらいでフォワードに移るのがいいかなって。やっぱり結構スペースができるので。監督に「フォワード(トップ)に変えてくれ」と思いながらやってました。
林 得点パターンとしては、いろんな形があったと思うんですけど、自分が一番得意なのはどんな形でした?
前田 まあ、もうゴール前に突っ込む。それが自分の持ち味かなと。
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林 特にこぼれ球の反応とかに関しては、すごく集中力が上がったかなと。常によりゴールに飢えてるなっていう感じがしたんですけど、そのあたりは意識的にやっているんですか?
前田 いや、もう無意識ですね。
林 無意識?
前田 はい。コーチと1対1でミーティングする時に、(自分の)ゴールシーンとかを見るんですけど、ひとりだけなんかもう動きが違っていて。試合をやってる時は別にそんな感覚はないんですけど、映像見るとなんかこいつすごいな! みたいな(笑)。
林 いや、すごいですね。じゃあ、ボックス内で空中に浮いたボールを反転してボレーを決めたシュートとかありましたけど、あそこはもう本能で?
前田 本能ですね。でもチームで決まりごとはあって、それができないとやっぱり試合には出れないですけど。まあ、それを無意識でできているのは僕の強みかなって。
林 日本代表とかでも守備の部分がすごく評価されていますが、セルティックでもそこはかなり意識していますか?
前田 いや。それも意識していなくて。ボールを取られたら、もう無意識に体が......。最終ラインでも戻るみたいな、そういうのはもう勝手に意識づいてるかなっていう。
【チャンピオンズリーグで強いと感じたのは......】
林 常に仲間のために走り続けると。さすがですね。
あとは、チャンピオンズリーグ。今シーズンはバイエルン相手にもゴール決めましたね。そこはどう思っていますか?
前田 もっとチャンスはあったんで、もっと点を取れたなっていうのはあります。
林 どの相手が強かったとかはありますか?
前田 個人的にはアタランタ。
林 おお、アタランタ。
前田 すごい強いチームやなって思いました。あまり隙がなかったなと。バイエルンとかドルトムントは、強いんですけどどこかで隙があるなって思ったんです。でも、アタランタはちょっと隙がない感じでした。
林 アタランタは、基本的に守備はマンツーマンですよね? 対峙した相手は誰だったんですか?
前田 でっかい選手です(笑)。まあ、スピードで勝てるシーンがあって、やれるなっていうのは正直ありましたけど。
林 マンツーマンで来る相手は、なんかちょっかいとか出してくるんですか? わざと体を当ててきたりとか。
前田 いや、チャンピオンズリーグとかでは逆になくて。スコットランドでは結構あります。
林 厳しく引っ張ってきたり?
前田 はい。
林 でも、そんなのも元々あまり気にしないというか。
前田 そうですね。まあ、でもちょっとムカつきます(笑)。
【ゴール後の"ヒザスラ"は息子の影響】
林 今シーズンのチャンピオンズリーグは新しい方式に変わりましたけど、そこに関してはなんか感じたことあります?
前田 試合数が単純に増えたんで、上に行くチャンスが増えたというのはあったかなと思いますね。
林 あとはいろんなチームとできる。
前田 そこはうれしさのほうが(大きい)。いろんなチームとできるようになったので、それはすごくよかったですね。いろんなところにも行けるし。
林 アウェーで対戦した国でイメージが残っているところはありますか?
前田 イタリアはハムがめっちゃ美味しかったですね。試合前日の夜にホテルで食べたものですが、グラスゴーで食べているのと全然違いましたね。
林 前日にいっぱい食べちゃったんですか? 大丈夫でした?
前田 全然大丈夫でした。まあ、次の日の試合は夜だったんで。
林 あと、今シーズン。レンジャーズとのオールドファーム(ダービー戦)では3点も取りました。あのダービーの雰囲気はどうですか?
前田 もう別格ですね。
林 で、得点を決めたあと、最近のゴールセレブレーションは結構ヒザ滑りしてない?
前田 はい、してます。よく見てますね。
林 いや、もちろん。
前田 あれは、息子が家でめっちゃヒザスラをしていて。その影響で俺もできるかなって。ちょっとやってみようと思ってやったら、意外に簡単だったので。それからやるようになりました。
林 海外の芝って結構濡れてるし、あれは結構滑る?
前田 滑ります。
林 気持ちいい?
前田 気持ちいいですね。
>>後編「サッカー日本代表で仲のいい選手は?」につづく
前田大然
まえだ・だいぜん/1997年10月20日生まれ。大阪府南河内郡太子町出身。2016年に松本山雅でプロデビュー。2017年は水戸ホーリーホックでプレー。2021年に横浜F・マリノスで得点王を獲得。2022年からスコットランドリーグのセルティックでプレーし、2024−25シーズンはリーグの年間最優秀選手となった。2022年には日本代表としてカタールワールドカップに出場している。