
前田大然×林陵平対談 後編
2017年に水戸ホーリーホックで2トップを組んでいた、セルティックの前田大然と、解説者の林陵平氏の対談。後編では林氏が前田の日本代表でのプレーを聞いた。
>>前編「今季セルティックでのプレーとチャンピオンズリーグについて」
【動画】前田大然&林陵平対談 スコットランドリーグ総括&サッカー日本代表を語る↓↓↓
【スコットランドでの生活】
林 まあ、でも公式戦51試合33ゴール11アシストは、なかなか残せる数字ではないですよ。リーグ戦では16ゴール10アシスト。それでスコットランドリーグMVPですから。
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成長したな、大然!(笑)
前田 いや、もうチームメイトのおかげです。
林 チームメイトとの普段のコミュニケーションとかって、普通に英語ですか?
前田 そうですね。本当にもうコミュニケーションぐらいですけど。頑張ってやらせてもらってます。
林 英語は喋れるんですか?
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前田 いえ、もう全然ですけど、日常会話とかそういうのやったら、まだ大丈夫かなっていう感じです。
林 グラスゴーは住みやすいですか?
前田 もう3年半もいるので。周りは知ってくれてるし、すごく住みやすいかなって思います。
林 休みの日とかは何をしてるんですか?
前田 子どもとソフトプレイ(※小さな子どもが安全に遊べる遊具や施設)ですね。基本的に雨なので、あまり外で遊べないんです。そういう室内の遊べるところにいつも行ってますね。
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林 食事はどうしているんですか?
前田 奥さんが作ってくれますし、あとはもう行きつけのレストランとか。大体同じところでご飯を食べてますよ。
【ウイングバックも好きかな】
林 日本代表はワールドカップの最終予選を首位で突破しましたけど、振り返ってみていかがでした?
前田 チームは最速でワールドカップ行きを決めましたけど、個人的にはやっぱり試合にもそこまで絡んではいないし、ゴールも全然取れていないんで、まだまだかなって思います。
林 3−4−2−1のシステムが多かったですけど、ウイングバックのプレーもあったし、一番前もありました。やはり一番前でプレーしたいですか?
前田 うーん。まあ、もちろん前でもプレーしたいですけど、ウイングバックは上下動ができるし、走ってるのはもう好きなんで。だから今のフォーメーションやったら結構ウイングバックも好きかなと。
林 でも、少し守備の負担は増えるんじゃないですか? 相手に攻め込まれた時に、ウイングバックがボックス内で守備をする場面は出てきますよね。4−3−3のウイングとはまた違うじゃないですか。
前田 でも今は、アジアの相手としかやってないんで、あまり守備の場面がないですよね。上のチームとやるとそういう感じになってくるのかなと。
林 中国戦(2024年9月5日)でのゴールは、右のウイングバックの伊東純也選手からのクロスに左のウイングバックが入っていった形でしたね。
前田 代表でも「ウイングバックからウイングバック」っていうのはよく言ってることなんで。あそこはもう自分のよさかなって思います。
林 あれはね。外から見たらめちゃくちゃ速く見えるんですよ。
前田 あ、そうなんですか?
林 でも大然からしたら、あんまりわからないですよね。
前田 はい。
林 サウジアラビア戦(3月25日)では1トップのスタメンで出て、1回相手の背後に斜めに抜け出してシュート、ポストに当てたのがありました。
前田 あれは、最初はファーに打とうとしたんですけど、でも感覚的に「なんかこれニアかな」と思って、変えたんです。
林 大然と一緒にやってたのでわかりますが、ああいうのを外したら絶対悔しがるし。結構そのあととかも(頭に)残ってたんじゃないですか?
前田 残ってました(笑)。ポストで惜しかったというのが余計に。なんか枠を思いっきり外れたのならまた違ったんでしょうけど。
【鎌田大地選手の弟子です】
林 日本代表で仲のいい選手は誰なんですか?
前田 浅野拓磨選手とか鎌田大地選手ですね。
鎌田選手はめちゃくちゃ仲いいですね。ご飯食べる時も隣だし、大地くんは甘いものが好きなので、デザートとかも僕が取りに行くついでに持ってきたりとか。
林 そういうのは大然から寄っていってるの? それとも鎌田選手が「お前、来い」みたいな感じなのかな。
前田 俺から行ってるところはもちろんありますけど、「来い」とも言われますし、それはもちろん嬉しいです。まあ、いい関係かなと。
林 じゃあ、普段からふたりでいるんだ。
前田 練習前とかも、大地くんは結構寂しがりというか。「大然行くぞ」みたいな感じで一緒にグラウンドに出ていって、ボールを蹴ったりはしますね。
林 もう本当に舎弟というか、弟子として。
前田 はい。俺も全然嫌じゃなくて、逆にそういうほうが好きなんで。
林 日本代表はワールドカップ出場を決めましたけど、やっぱり自分が出場してないという意味では、これから日本代表でどういうことをしていきたいですか?
前田 やっぱりこれから強いチームになってくると思うんで、その時にまた自分のよさも出てくるかなって思います。いい準備するだけかなと。
今はすごいメンバーが揃っているので、試合に出るのはすごく大変なこと。簡単ではない。だから自分が与えられた場所でしっかりやるしかないって思います。
林 やっぱり日本の人は、どちらかというと大然って、まだスピードと守備ってイメージがあると思う。でも、今季はゴール数、アシスト数も増えてるし、それもできる選手なんだよっていうのをもっと日本の人に見せてほしい。
前田 日本の人が見てるのって、やっぱり代表の試合が多いと思うんで、そういったところで結果を出さないといけないと思うんですね。
林 出せるだけの実力はもうできてると思うし、あとはその場をどれだけ自分で作りだすか。
前田 その場を作るのはやっぱりチームで結果を出すのが一番だと思うので、まずは自分のチームでしっかり結果を残すことかなっていうのもあります。
林 では、最後にファン、サポーターのみなさんにメッセージをお願いします。
前田 個人としてはもっともっと結果を残していかないといけないし、特に日本代表ではまず試合に出て活躍するというのが一番の目標なので、しっかりそこで試合に出て、ワールドカップに出て、結果を残せたらと思います。引き続き応援お願いします。
前田大然
まえだ・だいぜん/1997年10月20日生まれ。大阪府南河内郡太子町出身。2016年に松本山雅でプロデビュー。2017年は水戸ホーリーホックでプレー。2021年に横浜F・マリノスで得点王を獲得。2022年からスコットランドリーグのセルティックでプレーし、2024−25シーズンはリーグの年間最優秀選手となった。2022年には日本代表としてカタールワールドカップに出場している。