【EXILE CUP 2025 レポート】篠ノ井ジュニアサッカークラブが2連覇! 障がいの垣根を超えたエキシビジョンマッチも初開催…『EXILE CUP 2025』北信越大会

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2025年06月18日 13:02  サッカーキング

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EXILE CUP 2025 北信越大会を制した篠ノ井ジュニアサッカークラブ [写真]=千葉 格
 2025年6月8日、小学4年生から6年生を対象としたフットサル大会『EXILE CUP 2025』の北信越大会が長野オリンピックスタジアム 野球場(長野県長野市)で行われた。今大会は、2025年9月14日にアシックス里山スタジアム(愛媛県今治市)で開催される決勝大会に向けた予選のひとつ。優勝チームに与えられる今治行きの切符を懸け、北信越地方の52チームが参加した。

 開会式では株式会社LDH JAPANでSocial Innovation Officerを務める橘ケンチさん(EXILE / EXILE THE SECOND)が「指導者や家族に感謝の気持ちを持って、仲間と切磋琢磨して最高の1日にしてほしい」とあいさつ。ゲストとして登場したEXILE MAKIDAIさんは「全力のプレーを期待しています。最高の日にしましょう!」、中務裕太さん(GENERATIONS)は「仲間と一緒に、目標に向かって頑張る姿が人を感動させると思います。最後まであきらめずに頑張ってください」と、子どもたちにエールを送った。





 試合開始に先立ち、選手たちはEXILE TETSUYAさん監修のもと日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」でウォーミングアップ。リズムに合わせて身体をほぐすと、いよいよ予選リーグがスタートした。予選リーグは4チームずつ13ブロックにわかれて対戦し、各ブロック首位の13チームと、2位のうち成績上位の3チームが決勝トーナメントに進む。

 予選リーグでは前回大会を制し、2024年決勝大会で準優勝を果たした篠ノ井ジュニアサッカークラブA(長野市)が実力を示し、3連勝で決勝トーナメントに進んだ。一方、前回大会準優勝、2023年決勝大会では全国制覇を成し遂げた長野アンビシャスFC BLUE(長野市)が予選リーグで敗退するという予想外の展開もあった。長野アンビシャスFC BLUEを勝点で2ポイント上回り、激戦のブロックを突破したのはAwara Hanks Football Club(あわら市)。複数のサインプレーを巧みに使いこなして戦う好チームだった。



 そのAwara Hanks Football Clubは、決勝トーナメント1回戦で篠ノ井ジュニアサッカークラブAと対決。篠ノ井ジュニアサッカークラブAは統率の取れた守備と鋭いトランジションを見せ、2−0でこの試合に競り勝つ。前回大会王者はその勢いのままに準々決勝、準決勝も無失点で突破し、明善サッカースポーツ少年団(松本市)との決勝に駒を進めた。

 決勝は開始15秒で試合が動く波乱の幕開けとなった。先制したのは篠ノ井ジュニアサッカークラブA。キックオフの流れから相手陣内に押し込み、キャプテンの宮澤和樹くんのヒールキックがネットを揺らした。対する明善サッカースポーツ少年団はキックインを起点にフリーの選手を作り、強烈なシュートで同点を狙う。しかし、このシュートがバーにはじかれると、試合の流れは篠ノ井ジュニアサッカークラブAに傾くこととなった。



 篠ノ井ジュニアサッカークラブAはピヴォへのロングボールを起点に追加点を狙いつつ、ボールを失うと素早い切り替えでカウンターを許さず、ボールを奪回して次の攻撃につなげるという理想的な展開で試合を進めた。前半のうちに2点目を奪うと、後半も宮澤くんのミドルなどで2ゴール。守備の強度、集中力も最後まで落ちることなく、4−0で決勝戦を制した。

 2連覇を果たした篠ノ井ジュニアサッカークラブAは、予選リーグから全7試合で完封勝利。個々の高い技術をベースに、組織としての守備意識の高さ、トランジションでの強度の高さが光った。石井良監督は「サッカーでもフットサルでも守備をサボらないことをテーマとしている。それを発揮できた」と目を細めた。



 決勝戦で2得点を挙げた宮澤くんは「去年はスタンドから見ていて、僕らも優勝したいと思っていました」と喜びを語り、決勝大会に向けて「このチームの特徴は個の強さ。去年準優勝した先輩を超えて、僕らが決勝大会で優勝したい」と意気込みを表した。

 また、北信越大会では「EXILE CUP×インクルーシブ エキシビジョンマッチ」も開催された。このイベントは障がいのある子どもと北信越大会の参加選手、そしてゲストアーティストでチームを作り、フットサルを行うというもの。障がいのあるなしにかかわらず、子どもたちが一緒に楽しむ場を作り、次世代を担う子どもたちのインクルーシブ(すべての人々が尊重し合い、共生できる社会を目指す考え方)意識を向上させることが目的だという。



『EXILE CUP』として初の試みとなるエキシビジョンマッチには、長野市の放課後等デイサービスを利用する小学1年生から高校生3年生までの男女16人が参加。選手たちは積極的に障がいのある子どもへパスを回し、得点を決めればアーティストたちと一緒にハイタッチをかわす。この試合に参加した中務さんが「このゲームは一緒に楽しむことが目的。大人がハンデのある子どもたちにボールを渡すのは当然のことだと思いますが、それを選手たちが率先してやっている姿に感動しました」と語ったとおり、笑顔と優しさがあふれる1時間となった。

 積極的なプレーでゴールを決めた原山陽愛(はらやま・ひな)さんは「みんなとボールを蹴るのが楽しかったです。またやりたい」と笑顔を見せ、ゴールパフォーマンスで会場を盛り上げた竹内光一朗くんは「みんながパスしてくれて、3点も取れてうれしかった」と振り返った。EXILE MAKIDAIさんは彼らとの交流を振り返り、「障がいのある子どもやそうでない子ども、保護者の方々、彼らを支えるみんながすごく笑顔だったのが印象的です。心と心で触れ合えた、素晴らしい時間になりました」と充実した表情を浮かべた。



 このイベントは「児童発達支援センター にじいろキッズらいふ」の所長を務める丸山志野さんが企画。息子が『EXILE CUP』に出場したことがきっかけとなり、長野県サッカー協会を通じて株式会社LDH JAPANに提案したことで実現したという。「日本でインクルーシブを進めていく機運は高まっていますが、まだまだ一般の学校と、支援学級や支援学校とで分かれてしまっているのが実情。こうした場をきっかけにインクルーシブが少しでも進めばうれしいです」と今後の発展に期待を寄せた。

 閉会式を終えた橘さんは「天候も良く素晴らしい大会になりました。篠ノ井は僕も注目していたポテンシャルのあるチームで、決勝大会も楽しみです。(エキシビジョンマッチについては)障がいのあるなしにかかわらず、僕らは子どもたちの夢を応援しています。今日が夢を叶えるきっかけになったらうれしいですし、『EXILE CUP』にとっても新たな意義を見いだせた大会になりました」と大会を総括した。

 2010年にスタートしてから、子どもたちの夢を応援し続けてきた『EXILE CUP』。2025年の北信越大会で、その歴史にまた大切な1ページが加わった。
取材・文=小杉 正貴 写真=千葉 格

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