【クラブワールドカップ】浦和レッズ、完敗 「勝つためにやって来た」アルゼンチンの名門が見せた貫禄

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2025年06月18日 18:41  webスポルティーバ

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「クラブワールドカップには参加するためではなく、勝つために来た」

 リーベル・プレートのマルセロ・ガジャルド監督は試合後、そう言い切った。アルゼンチン屈指の名門クラブを率いる指揮官らしい、自信とプライドに満ちあふれた言葉である。

 今大会から大きく規模が拡大され、全32クラブ出場で初めて開かれたクラブワールドカップ。Jリーグ勢として唯一、この大会に出場している浦和レッズは、グループリーグ初戦でリーベルに1−3で敗れた。

 浦和のマチェイ・スコルジャ監督が、「望んだような試合の入り方ができなかった。特に前半は主導権を握ることができず、早い時間帯での失点でナーバスになった」と話していたように、前半の浦和はほとんど攻め手を見出せなかった。

 立ち上がりから、リーベルがボールを支配する展開で試合が進むなか、前半12分に許した先制点。さらには「後半はよくなったが、失点の仕方がよくなかった」というスコルジャ監督の言葉どおり、後半開始早々の48分にはミスから2点目を失った。

 後半に限れば、浦和のプレーは明らかに改善され、攻勢に立つ時間も少なくなかったのは確かだろう。

 後半58分に松尾佑介が決めたPKにしても、自陣ゴール前から相手のプレスを回避して前進し、最後はペナルティエリア内で金子拓郎が倒されて得たものだ。

「1点返せば全然わからない。前半のことは忘れて、後半すべてを出し切ろうと(ハーフタイムに)話していた」とは、金子の弁。事実、1点を返されたあとのリーベルにはバタつきが見られ、試合の流れは、浦和の同点ゴールを期待させる方向へと傾いているかに見えた。

 しかし、リーベルのベテランCB、ヘルマン・ペッセッラは「今日だけでなく、ここ数カ月、自分たちは常に改善を目指し、チームはゲームマネジメントにおける成熟を求めている」と語り、浦和戦をこう振り返る。

「試合には小さなサイクルがあり、10〜20分の有利な状況も、不利な状況も生まれることがある。だからこそ、我々はそうした状況をよりよくコントロールしなければならない」

 ガジャルド監督も、浦和が講じてきたリーベル対策に手を焼いたことは認め、「インサイドのプレーではボールを奪われることがわかっていたので、アウトサイドでプレーしようとした」。

 今夏のレアル・マドリード移籍が決まっている話題の17歳、フランコ・マスタントゥオーノについても、「相手(浦和)は、彼をどう囲むかわかっていた。中に入らせないようにしていた」と語る。

 実際、リーベルは浦和の守備をこじ開けられなくても、強引に中央から入っていくような無理はせず、サイドから、特に左サイドから放たれるマルコス・アクーニャの質の高いクロスを生かし、いくつものチャンスを作り出した。

 リーベルが後半73分に奪った3点目は、流れのなかでのサイド攻撃ではなかったが、アクーニャの正確なCKが、マクシミリアーノ・メサの頭をとらえたものである。

「いい流れのときに1点返せて、そこから追加点が取れればよかった」と敗戦を悔しがった金子も、しかし「後半は自分たちが押し込む時間が長かったが、一つひとつの質は相手のほうが高かった」と、敵を称えるしかなかった。

「初戦は緊張するもの。どうしても勝たなければいけない意識が強かったので、ベストなプレーはできなかった」

 そう語るガジャルド監督も、「重要なのは勝つこと。選手たちはやるべきことをやっていたので、それほど苦しかったわけではない」と、浦和の抵抗をいなしての勝利を余裕綽々に振り返った。

 アルゼンチンのクラブならではのしたたかな強さを発揮されたあととあっては、悔しいが、納得せざるを得ないコメントである。

 この試合の観衆は、およそ1万1000人。6万人以上を収容できる巨大スタジアムに見合わない、寂しい数字ではあったものの、それでも浦和サイドのゴール裏以外のスタンドは、リーベルのサポーターがほとんどだった。ペッセッラは言う。

「ピッチに出てみると、まるでブエノスアイレスにいるかのように、ここにいるファンみんなの熱意が感じられた。それは私にとって大きな励みとなり、このユニフォームのために戦う理由をさらに強めてくれる」

 結果は、前評判どおりの妥当なもの。そう認めるしかない試合だった。

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