
(左から)パーソナリティの小山薫堂、谷和樹さん、宇賀なつみ
◆日本最大規模の民間教育研究団体を運営
谷和樹さんは民間教育研究団体「TOSS」の代表を務めるなか、玉川大学教職大学院の教授として教鞭をとっています。谷さんによると、「教職大学院」とは専門職大学院の一種で、全国すべての都道府県に設置されている制度です。「現職の先生方のキャリアアップを狙い、もう一度学び直してもらうことを目的に作られました。なかには先生を目指す学生もいて、そこで教えています」と説明します。
続いて話題は、谷さんが代表を務めるTOSSについて。TOSSは「Teachers' Organization of Skill Sharing」の略で、教員同士が教育技術を共有しながら、子どもたちの成長を支え合う民間教育研究団体です。団体では「どの子も大切にされなければならない、一人の例外もなく」という理念のもと、勉強が苦手な子どもや困難な環境にある子どもにも焦点を当て、教材開発や授業づくりを重ねているといいます。
谷さん自身も、22年間にわたって兵庫県で小学校教員を務めた経験を持ち、「担任の先生をずっと続けていました。仕事がわかるようになった後半10年は、本当に楽しかったです。もちろん、大変なこともたくさんありました」と振り返ります。
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◆子どもたちに“手紙の書き方”を教える理由
TOSSでは、特定のマニュアルに沿うというよりも、「教育技術は多様であるべき」「教師が主体的に取捨選択をするべき」という考えを大切にしています。谷さんは「教育技術は、そもそも子どもたちの役に立つものでなければいけません。そういった考えを大切にしようということは若い先生に共有しています」と話します。
具体的な活動の1つとして、サークルが挙げられます。全国に700ほどあるTOSSのサークルでは、定期的に勉強会が開かれているそうです。他にもTOSSでは、教育法を集めたウェブサイト「TOSSランド」、教員向けSNS「TOSS SNS」など、さまざまな方法で知識を共有。「教師の春フェス」と呼ばれるご当地セミナーや、企業と連携した教材開発セミナーなども活発におこなわれているそうです。
TOSSの教材の1つに、「手紙の書き方」があります。谷さんは「今はメールでやりとりする時代ですから、相手の住所を書く、自分の住所を覚えるといった習慣がなくなりつつある」とし、「今では自宅の郵便番号もわからない子どもたちも増えている」と話します。
「学習指導要領という国が定めている教育の基準があるんですね。そこに手紙の書き方を教える項目はあるのですが、郵便という文字と、住所という文字が学習指導要領に入っていないんです。これを入れていただくことができれば、もう少し学校の先生方も意識すると思います。せめて、自分の家の郵便番号や住所は自分で言えるといいねという思いから(作った)」と谷さんは説明します。
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TOSSの教材の1つ「手紙の書き方」
◆離職が多い若手教員に励ましの言葉
長く教育現場に携わる谷さんに、「今年度から先生になった方たちも全国にたくさんいらっしゃると思います。アドバイスやメッセージはありますか?」と質問すると、若手教員が次々と学校現場から離職している現状に触れ、「小学校、中学校、高校の現場に来られた方にお伝えしたいことは、先生という仕事は本当に素敵な仕事だということです。5年、10年と真剣に向き合っていくなかで、“教員の本当の楽しさ”がわかってきます」と力を込めます。
谷さんは若手教員に向けて、「楽しさがわかるようになるまでに少し時間がかかります。今は大変だと思うけど、素晴らしい仕事なので諦めず努力して続けてほしいです」とエールを送ります。「本当につらくなったら、僕たちTOSSのサークルにぜひ来ていただきたいです。悩みを共有できる仲間がいますので、頑張ってほしいと思います」と呼びかけました。
番組では、谷さんが全国の小学生に向けて手紙を読む場面もありました。
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<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY'S POST
放送日時:毎週日曜 15:00〜15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/post/
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