オダギリジョー「結婚とは思いやりと忍耐」松たか子と語り合った!?『夏の砂の上』上海でプレミア

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2025年06月21日 10:01  cinemacafe.net

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『夏の砂の上』上海ワールドプレミア © 2025映画『夏の砂の上』製作委員会
オダギリジョーが主演・共同プロデューサーを務めた映画『夏の砂の上』が開催中の第27回上海国際映画祭のコンペティション部門に日本作品で唯一招待され、現地時間6月20日(金)、ワールドプレミアの上映が行われた。

松田正隆による読売文学賞 戯曲・シナリオ賞受賞の傑作戯曲を気鋭の演出家・玉田真也の監督・脚本で映画化した本作は、共同プロデューサーも務める主演のオダギリを筆頭に、高石あかり、満島ひかり、高橋文哉、森山直太朗、光石研ら豪華キャストで贈る極上の人間ドラマ。

この日、ワールドプレミアとして公式上映が行われ、上映後のQ&Aと、その後行われた現地記者会見に、主演・共同プロデューサーをつとめるオダギリと玉田監督が登壇した。

1,000人を収容する大スクリーンで上映された本作は、上映中は笑いがおこったり、どよめきがあったり、息を静めて見守ったり、会場内の観客が楽しみながらも集中していた様子。

上映終了後には拍手が起こるなか、会場で観客と映画を鑑賞していた玉田監督が呼び込まれ、その後にオダギリジョーが登場、大きな拍手と声援で迎えられた。玉田監督は「尊敬している先輩監督たちの作品が上映されている映画祭に参加できて嬉しいです」とコメント。

MCからの質問の後、観客からのQ&Aでは多くの観客が手をあげ、オダギリの人気の高さをうかがわせた。

質問で「治(オダギリ)と妻・恵子(松たか子)が終盤にやりとりするセリフ」について問われた玉田監督は「原作にもあるセリフですが、治は息子を亡くしたまま、時が止まっている人。去ってしまう妻に対して、自分の痕跡を残したいと思ったのではと思っています。暴力的な言葉であるからこそ相手の中に自分を残したい、恵子に対して執着しているシーンだと解釈しました」と回答。

そして「治というキャラクターをどのように演じたか」と問われたオダギリは「最初から監督は、悲しい出来事がつまっている映画だからこそ、あまり暗く見せたくない、暗くなりすぎない芝居をしてほしいと言われました。人生は楽しいこともあればつらいこともある。治には、環境的にマイナスなことが増えたように見えるが、姪と過ごしたひと夏の経験が治を大人にして、少しだけ前を見て新しく自分の生活を始めていくんじゃないかと感じて、演じていました」と本作から垣間みえる希望について語った。

さらに、会場を移動し行われた記者会見も大勢の現地メディアがかけつけ多くの質問が飛び交った。上海の印象について問われたオダギリは「ロウ・イエ監督の作品の撮影で3か月くらい上海で生活してとても楽しかった思い出がある。古い町並み、西洋的なニュアンスが入っていて美しい街という印象です」と回答。

つづいて共演者・松たか子の印象を問われると「大きな括りで同世代、映画やドラマで一緒に戦ってきた大切な仲間だと思っています」とオダギリ。「結婚したのもほぼ同じ時期で、会うたびに『(結婚が)お互いよく続いてますね』とやりとりをしている。結婚っていうのは、思いやりと忍耐なんでしょうね」と語り記者たちを笑わせた。

そして、玉田監督は「本作は『水』が映画の重要な要素になっていると思いますが」と問われると、「ご指摘のとおり、水はとても重要な要素で、本作は、水害で息子を亡くした主人公が、水によって前向きになるという話」と明かす。

「本来、水は人を生かすもの。でも人を殺すものでもあります。また、長崎の雨を飲むということには意味があり、原爆が落ち、放射能を含んだ雨を『死の雨』といって、生命にとってなくてはならない水が、人を殺してしまうものにもなる。水には2つの意味が含まれています」と語り、この映画が長崎を舞台にしている意味にも触れた。

公式上映から記者会見までを終え、オダギリは「観客、現地メディアの方々が、しっかりと映画を観てくれていることが分かる質問ばかりでうれしかった」と話し、玉田も「芯をくった質問をしてもらって、ここではじめてお話しできたことも多く、すごくいい場でした」と括った。

1993年からはじまった上海国際映画祭は、中国で唯一、国際映画製作者連盟公認の映画祭として、映画文化の普及と映画産業の発展とを目的に、毎年10日間の会期中に国内外の約500作品が上映される。今回、映画『夏の砂の上』は、映画の質や芸術的な価値を競う場として注目を集め、今年15本の作品が選出されたコンペティション部門で日本作品唯一の上映となる。

なお、メインコンペティション部門の審査員長を『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレが務め、本作は、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀男優賞、最優秀女優賞などの賞の対象となり、クロージングセレモニーと授賞式は現地時間6月21日(土)に開催。

レッドカーペットと授賞式には、オダギリ、玉田監督に加え、2025年度後期NHK連続テレビ小説「ばけばけ」のヒロインに抜擢され、撮影中の高石が、大阪から現地に駆けつける予定。

『夏の砂の上』は7月4日(金)より全国にて公開。





(シネマカフェ編集部)

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