長岡一也さん(フリーアナウンサー)【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆マイルのスペシャリスト・ダイシンヤマトも注目
サマーマイルシリーズの初戦の持つ意味は大きい。これまでのリステッド競走からGIIIの重賞競走に格上げされたことで、第1戦のしらさぎステークスの存在はさらに大きくなるだろう。
2012年からスタートしたこのシリーズは、米子Sとして第一戦が行われてきたが、この4年は、米子Sを制したものが夏の王者になってきた。ロータスランド、ウインカーネリアン、メイショウシンタケ、トゥードジボンの4頭で、ポイントを争い、12点以上かつ1勝以上という優勝馬の条件を満たすには、いち早く勝つのが有利と言っていいだろう。
この後の関屋記念、中京記念と7月、8月の厳しい季節の中の連戦は大変だし、9月の第4戦の京成杯AHになると、この先の秋競馬を見すえるものが出てくるので、シリーズチャンピオンをめざすなら第一戦からと思いたくなる。
そこで第1戦しらさぎSの展望になるのだが、あくまでも目標はマイルのシリーズチャンピオンであれば、それまでのマイル実績がものを言うし、米子S時代はこの10年で連対を果たした馬のうち18頭にマイルでの勝利があった。そして残りの2頭にもマイル2着の成績があり、この点は重く見ておきたい。
1番人気は、10年で4勝2着3回だから、かなり信頼度が高いが、6番人気以下の連対馬も5頭出ているので、伏兵馬も考えておきたい。この伏兵だが、実力や実績があるのに前走の重賞で掲示板を外していたものが判りやすい。
あと目安としては、前走のオープン競走で6着以下だったものの再検討もあっていいのではないか。勝ち馬から1秒以内で入っていれば、着順には関係ないと思いたい。また、阪神の芝で1〜3着の成績も、ここでは生きてくることも頭に入れておきたい。
まず気になるのが、昨年の牝馬二冠馬のチェルヴィニアだ。オークスと秋華賞の二冠で桜花賞13着以来のマイル戦というのがちょっと引っかかるが、アルテミスSで勝っており、近2走は不本意な成績でも立て直した今回は見直してみたい。
重賞初制覇を狙うデビットバローズは、前走のエプソムC9着などムラな成績が気になるが、オープン入りしてからは左回りでの戦績が良くないかわりに、3走前の洛陽S2着など右回りは合っている。阪神は6戦2勝2着1回と走り慣れており、流れに乗って巻き返しを期待したい。
前走4勝目を好位から抜け出してマイルで勝ったシヴァースは、オープン入りした勢いがある。3歳春、きさらぎ賞3着の力を見せたことがあり、なんと言っても母が、秋華賞やドバイターフのGI2勝のヴィブロスというのが光る。
そして、マイルだからこそここを目標にと見られるダイシンヤマトを加えたい。2勝級と3勝級を中山のマイルで勝って全4勝がマイルというスペシャリストだ。
「第一回 勝ってマイルの チャンピオン」