JR東日本が発表した「東日本のんびり旅パス」は買いか? 料金・期間・使い倒し方を徹底調査

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2025年06月21日 20:20  All About

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JR東日本は、このほど「東日本のんびり旅パス」というおトクなきっぷを発表した。どんなパスなのか、「青春18きっぷ」とどこが違うのか、料金・利用期間・どんな鉄道旅が可能なのかなどを調べてみた。※画像:筆者撮影
JR東日本は、このほど「東日本のんびり旅パス」というおトクなきっぷを発表した。どんなパスなのか? 「青春18きっぷ」とどこが違うのか? 調べてみた。

「東日本のんびり旅パス」は青春18きっぷのJR東日本限定バージョン?

「東日本のんびり旅パス」は、普通列車と快速列車の自由席が乗り放題のフリーきっぷだ。東日本とあるように、JR東日本の在来線全路線の普通列車および快速列車が対象で、気仙沼線と大船渡線のBRT(バス高速輸送システム)も利用できる。
JR釜石線を走る快速「はまゆり」には指定席車が連結されている

新幹線、特急列車、急行列車は不可。普通列車と快速列車のグリーン車指定席も不可。普通列車&快速列車の普通車指定席(「リゾートしらかみ」などの観光列車、釜石線を走る快速「はまゆり」など)は別途指定券を購入すれば乗車できる。

普通列車&快速列車のグリーン車は、指定席(快速「SLばんえつ物語」などに連結)に関しては指定券のほか、乗車区間の乗車券も必要になる(つまりこのパスでは乗れない)。一方、首都圏を中心に運行している普通列車&快速列車の2階建てグリーン車は自由席なので、グリーン券を別途購入すれば利用できる。
SLばんえつ物語は普通車指定席には乗れるが、グリーン車指定席は不可

また特例区間についての規定もあり、大湊線と八戸線を利用するための青い森鉄道通過特例、新青森〜青森の相互発着に限り全車指定席の普通・快速列車の空席が利用できるといった規定は、青春18きっぷに準じている。

こうしてみると、JR東日本エリア限定の「青春18きっぷ」であるといった見方もできるが違いはどこにあるのか?

「東日本のんびり旅パス」の料金および購入方法

「東日本のんびり旅パス」は3日間連続利用となっている。これも、新たな青春18きっぷの3日間用に準じている。

自動改札機に投入でき、かつての青春18きっぷのような特定の期間内で好きな日に使えるといったフレキシブルな使い方はできない。

料金は3日間で9000円。大人用のみで子ども用はない。新・青春18きっぷ3日間用の1万円よりは安いけれど、エリアが全国ではないので当然と言えば当然だ。考えようによっては割高とも言える。8000円くらいが適正かもしれない。

駅の窓口では扱わず、Webの「えきねっと」のみでの取り扱いだ。ただし、チケットレスではなく、指定券券売機での発券が必要となる。

「東日本のんびり旅パス」のメリットは長い利用期間

JR中央東線を走る普通列車

「青春18きっぷ」との最大の違いは、その利用期間だ。2025年7月1日から12月26日までと長期にわたる(ただし、8月10日〜19日の「いわゆるお盆期間」は除外される)。

JR東日本エリアでも利用可能な普通列車&快速列車限定のフリーきっぷと言えば、「青春18きっぷ」「北海道&東日本パス」があるが、いずれもお盆期間でも利用可能だった。両者がいわゆる学校の長期休業期間を中心とした利用を前提としていたのに対し、「東日本のんびり旅パス」はその枠を取り払い、これまで格安きっぷの適用外だったシーズンにまで利用期間が広げられていることが最大のメリットとなる。

学生を中心とした若者向けのみならず、通年で自由時間がたっぷりあるシニアもターゲットにしているようでもある。これまで11月あたりは格安フリーきっぷの適用期間外であっただけに、鉄道旅行愛好家には歓迎されるだろう。

「東日本のんびり旅パス」でどのような鉄道旅が可能か?

普通列車をメインとした鉄道旅は確かに格安ではあるけれど、優等列車ばかりで普通列車の本数が極めて少ない区間がある(奥羽本線・庭瀬〜米沢、田沢湖線・赤渕〜田沢湖など)。決して使い勝手がよいとは言えず、新幹線も自在に利用できる「大人の休日俱楽部パス」に慣れたシニア層にとって魅力的と言えるのだろうか?

さらに東北の主要幹線の普通列車はオールロングシートの701系電車が幅を利かせていて、通勤通学には重宝するけれど、旅情に乏しいのも事実だ。
普通(快速)列車に連結された2階建てグリーン車

しかし、関東圏をメインとした日帰り鉄道旅に限ってみると、意外におトクなきっぷに思えてくる。

それは、自由席のグリーン券を別途購入すれば2階建てグリーン車にも乗れるからだ。

鉄道旅を頻繁に行っているヘビーユーザーならJRE POINTを潤沢にため込んでいる人も少なくないので、ポイント利用で経済的な負担なく、グリーン車が利用できる。2階建てグリーン車に乗って優雅に、都心から熱海・伊東へ、大月へ、房総方面、宇都宮、水戸、高崎方面へといくらでも足を延ばせる。

片道2000円程度の場所が多いので、軽く9000円のモトは取れるし、場合によっては、中1日休んで、2日でモトを取ることも可能だ。体力のある若者は別として、優雅に鉄道旅がしたい大人であれば、早朝から深夜まで乗りつぶすことなくおトクにゆったりした鉄道旅を楽しめるのではないだろうか。
(文:野田 隆(鉄道ガイド))

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