優勝を喜ぶトム・ブロンクビスト/コリン・ブラウン組(60号車アキュラARX-06)とメイヤー・シャンク・レーシングのチームメンバー 6月22日、アメリカ・ニューヨーク州に位置するワトンキンス・グレン・インターナショネルでIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第6戦の決勝レースが行われ、メイヤー・シャンク・レーシングw/カーブ・アガジャニアンの60号車アキュラARX-06(トム・ブロンクビスト/コリン・ブラウン組)が総合優勝を飾った。
2025年シーズンの第6戦にして、シリーズ内の5つの耐久レースからなる“ミシュラン・エンデュランス・カップ”ではデイトナ24時間、セブリング12時間に続く3戦目として開催された『サーレンズ・グレン6時間レース』には、全4クラスから55台がエントリー。トップカテゴリーのGTPには日本人ドライバーの太田格之進が出場した。
その太田を擁する93号車アキュラARX-06とメイヤー・シャンク・レーシングの姉妹車である60号車がフロントロウを独占するなかで迎えた決勝のスタートは、レンガー・バン・デル・ザンデ駆る93号車がトップの座を守った一方、60号車は序盤から順位を下げる展開に。代わって31号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ウェーレン)が2番手、24号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームRLL)が3番手に浮上した。
小雨の影響でコース前半部分はドライ、後半はセミウエットという難しいコンディションのなか、一時はフェリペ・ナッセの7号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)がトップに立ったが、スタートから30分後のFCY(フルコース・イエロー・コーション=SC)導入前に31号車が再逆転に成功する。しかしキャデラックは直後に降り出した大雨のなかでのピットストップで後れを取りクラス最後尾に後退する。これで93号車アキュラがトップに返り咲いた。
レース再開後に起きたLMP2カー同士のクラッシュによる2度目のFCY後は、サーキットに日差しが降り注ぎコースコンディションが急速に回復。各車はデブリ回収のため2時間目の前半に出された3度目のFCY中にウエットタイヤからスリックタイヤに履き替えている。
レース中盤の3時間目は、4度目のFCYが出る直前にピットに飛び込みレースリーダーとなった63号車ランボルギーニSC63を、バン・デル・ザンデから交代した太田の93号車アキュラが追いかける展開に。その後は5度目のFCY中のピットストップでポルシェ・ペンスキー6号車がトップに浮上するも、ポルシェはリスタートで2台にかわされ3番手にドロップ。太田からニック・イェロリーに交代した93号車は10号車キャデラック(ウェイン・テイラー・レーシング)に次ぐ2番手となっている。
アクシデントが相次いだこのレースでは、湿度が80%前後と高いなか気温が華氏111度(摂氏43.8度)に達した4時間目にチャンピオンシップリーダーである7号車ポルシェ963も、ニック・タンディがターン1でクラッシュを喫し戦列を離れた。直後に導入された9度目のFCYからのリスタートでは31号車キャデラックが隊列の先頭に立ち、93号車アキュラ、10号車キャデラックが続くトップ3オーダーで最後の1時間に突入した。
リスタート後まもなく、ブロンクビスト駆る60号車アキュラが10号車をパスしアキュラ勢が2番手と3番手に並ぶ。トップを走る31号車キャデラックが後続とのギャップを10秒弱に拡げていた最終盤、チェッカーまで残り10分でFCYが入り、レースは残り2周のスプリントに。
再開と同時に2番手の93号車アキュラを含む3台が燃料補給のためピットへ向かう。さらにファイナルラップでは首位の31号車もピットイン。この結果、最後の最後にトップに立った60号車が逆転で勝利を収め、アキュラが前戦のデトロイトに続く2連勝を飾った。
2位はラストピットを早めに行っていた40号車キャデラック(ウェイン・テイラー・レーシング)で、最後のFCYが出る直前にスプラッシュに入っていた10号車キャデラックと6号車ポルシェが3位と4位。優勝目前だった31号車は5位、太田組93号車は6位でチェッカーフラッグを受けている。
■最終ラップで無念のストップ
序盤から目まぐるしく順位が変わっていったLMP2クラスは、最後の1時間でトップに立った22号車オレカ07・ギブソン(ユナイテッド・オートスポーツ)が、99号車オレカ(AOレーシング)を僅差で下して優勝。2台のギャップはわずか0.627秒だった。クラウドストライク・レーシング・バイ・APRの04号車オレカは大雨のなかでのスピンから立ち直り3位表彰台を獲得した。
GTDプロクラスでは、2番手スタートから一時トップ5圏外に落ちるも、首位に立った終盤はその座を守り抜いた48号車BMW M4 GT3エボ(ポール・ミラー・レーシング)がクラスウイナーに。
同2位は3号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(コルベット・レーシング・バイ・プラット・ミラー・モータースポーツ)、3位には65号車フォード・マスタングGT3が続いたが、フォード・マルチマチック・モータースポーツのマシンはレース後の再車検でタイヤの空気圧とキャンバーが許容範囲を超えていたとしてクラス最下位に回された。この結果、4番手でチェッカーを受けた81号車フェラーリ296 GT3(ドラゴンスピード)が3位に繰り上がっている。
GTDクラスはGTPと同じくファイナルラップにドラマが待ち受けていた。レース中盤からトップに立っていた12号車レクサスRC F GT3が、最後の最後で燃料不足に陥りコース上で止まってしまったのだ。
これにより2番手につけていた27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボ(ハート・オブ・レーシング・チーム)が逆転優勝を飾った。2位は70号車フェラーリ296 GT3(インセプション・レーシング)となり、3位には32号車メルセデスAMG GT3エボ(コルトフ・コンペティション・モーターズ)が入っている。
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦は、シリーズ唯一のアメリカ国外ラウンド『シボレー・グランプリ』だ。LMP2、GTDプロ、GTDの3クラスが参加する同イベントは、7月11〜13日にカナダ・オンタリオ州の“モスポート”ことカナディアンタイヤ・モータースポーツ・パークで開催される。
[オートスポーツweb 2025年06月23日]