赤旗中断を呼んだ停電の原因/ファーフスが15年ぶりに/第3戦は今週末etc.【ニュル24時間決勝後Topics】

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2025年06月24日 12:30  AUTOSPORT web

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スタート直前のノルドシュライフェ 2025年IGTC第2戦ニュルブルクリンク24時間
 6月21〜22日にドイツ、ニュルブルクリンクのグランプリコースと北コース(ノルドシュライフェ)で開催されたIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ第2戦『ADAC・ラベノール24時間・ニュルブルクリンク』は、ローヴェ・レーシングの98号車BMW M4 GT3エボの勝利で幕を閉じた。ここでは第53回大会のパドックから決勝後コメントなどの各種トピックスをお届けする。

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 第53回ニュルブルクリンク24時間レースにおけるローヴェ・レーシングの勝利により、BMWはこのレースでもっとも成功を収めたメーカーとしてのリードをさらに広げることとなった。ミュンヘンを拠点とするブランドはこれまでに21勝を挙げており、2位のポルシェに8勝差をつけている。

 一方、ハンス=ペーター・ナウンドルフ率いるローヴェチームは、ニッキー・キャツバーグ、ニック・イェロリー、アレクサンダー・シムズ組による2020年の勝利に続く2度目の総合優勝を果たした。

 今回優勝した98号車BMW M4 GT3エボのドライバーラインアップのうち、ジェシー・クローンとラファエル・マルチェッロは、ともに初勝利を飾った。「とても嬉しいよ」とマルチェッロはSportscar365に語った。「このレースで勝つことをずっと夢見ていた。これでスパとニュルブルクリンクを制したので、今後はル・マンとデイトナでの優勝に集中する必要がある」

 アウグスト・ファーフスは、このイベントで15年間遠ざかっていた表彰台の頂点に戻ってきた。このブラジル人ドライバーが最後に優勝したのは2010年で、BMW M3 GT2をウーヴェ・アルツェン、ヨルグ・ミューラー、ペドロ・ラミーとシェアしていた。

 一方、ケルビン・ファン・デル・リンデは、ニュル24時間で3度の総合優勝を果たしたわずか7人のドライバーの仲間入りを果たした。この記録を達成した過去のドライバーは、ハーバート・ヘヒラー、クラウス・ルートヴィヒ、ハンス=ヨアヒム・シュトゥック、マーカス・ウィンケルホック、クリストファー・ミース、フランク・スティップラーという面々だ。


■BMWが開幕2連勝

 ファーフスとファン・デル・リンデは、今年2月にオーストラリアで行われた『バサースト12時間レース』でもともに優勝し、それぞれ50ポイントを獲得してIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジのドライバーズランキングで首位を維持した。マルチェッロが43ポイントで2位、アイハンカン・グヴェンが26ポイントで続く。バサーストでも優勝したもののニュルブルクリンクには出場しなかったシェルドン・ファン・デル・リンデは、25ポイントで4位に後退した。

 陣営内でポイント獲得資格のあるクルマは1台だけだったが、BMWはローヴェの勝利により累計ポイントを68点とし、マニュファクチャラーズランキングで首位の座を維持した。マンタイEMAとダイナミックGTのダブル表彰台のおかげで、ポルシェはメルセデスAMGともに2位で並んだ。両ブランドとBMWのポイント差は23ポイントだ。インディペンデントカップのランキングにはポイントが加算されなかった。

 優勝したBMWが走行した141周は、霧の影響でレースが短縮された昨季2024年のレースより大幅に長いものだったものの、2023年にフリカデッリ・レーシング・チーム(フェラーリ296 GT3)が記録した162周という記録にはおよばなかった。好天に恵まれ新記録樹立への期待は高まっていたが、ピットでの停電により2時間目に赤旗が提示され、その期待は打ち砕かれた。


■万が一の発電機が活躍

 ピット周辺を襲った停電は、空調システムが電力網に過負荷をかけたことが原因とみられている。その後、停電によってピット内の給油ポンプが停止し、これが赤旗が提示された主な理由のひとつとなった。

 ローヴェチーム代表のナウンドルフは、この停電についてSportscar365に次のように語った。「すべてが真っ暗になり、自分たちのデバイスだけの問題なのか、ピットの問題なのか、ピットエリア全体の問題なのか、まったく分からなくなっていた。バックアップを用意していたので、ディーゼル発電機を稼働させて電源を復旧させ、少なくともラジオとモニター、そしてノートパソコンが使えるようにした。ところが、他のデバイスも電源が入っていないことに気づいた。さらに、コース上のマーシャル、あるいは少なくともレースコントロールにも電源がない可能性が高いことも分かった。そこで、『これらの問題を解決するには、赤旗が必要』と考えた」

 BMWは総合優勝に加え、2026年仕様のニューマシン『M2レーシング』で初のニュル24時間を成功裏に終えている。イェンス・クリングマン、ウーゴ・デ・ワイルド、シャルル・ウィーツ、ミハエル・ブラウティガムの4人が、クラス2位に9周差をつけてSP3Tカテゴリーで優勝したのだ。「クルマのパフォーマンスは非常に良かった」とウィーツは語った。「僕たちの最大の目標はレースを完走すること、そして可能な限り成功を収めることだった。そして、それを達成することができた。ミハエル、ウーゴ、イェンス、そしてチーム全員が素晴らしい仕事をしたおかげだ。プロジェクトがこれほどうまくいったことをうれしく思う。ニュルブルクリンク24時間レースを完走したことは、このクルマにとって非常に成功したテストと言えるだろう」


■「表彰台獲得は確実だと思っていた」

 メルセデスAMGのファクトリーサポートを受けた、ゲットスピード・パフォーマンスの2台は、今年のニュルブルクリンク24時間レースで残念な結果に終わった。3番手からスタートした14号車メルセデスAMG GT3エボは、9時間目に駆動系トラブルでリタイア。さらに17号車は日曜日の朝にサスペンションのトラブルに見舞われ、それがアンダーボディのさらなるトラブルにつながった。このクルマはピットで作業後、最終ラップを完走するためにコースに戻り、総合75位でフィニッシュしている。

 メルセデスAMGのカスタマーレーシング責任者であるステファン・ウェンドルは次のように述べた。「表彰台獲得は確実だと思っていただけに、それを見ないままニュルブルクリンクを去るのは残念な気持ちだ。チーム・ゲットスピードとともに行ってきた24時間レースに向けて準備は素晴らしいものだった。2台ともトップを走るだけの力を見せ、リタイアするまでそのパフォーマンスを発揮していた。応援してくれていたファンに感謝するとともに、BMWとローヴェ・レーシングの勝利を心から祝福する」

 ランボルギーニは、マルコ・マペッリ、ルカ・エングストラー、ジョーダン・ペッパー組のABTスポーツライン28号車ウラカンGT3エボ2が、昨年記録したベストリザルトの5位に並ぶ好成績を収めた。このマシンは3番手争いを繰り広げていたが、最終ピットストップでドライブシャフトの交換を余儀なくされ、5位に後退した。その後マペッリは65号車フォード・マスタングGT3をパスし4番手に順位を上げたものの、最終ラップでマスタングと接触したため、32秒のタイムペナルティを受けた。ペッパー、ミルコ・ボルトロッティ、ダニエル・ジュンカデラ組の27号車ランボルギーニも日曜日の午後にドライブシャフトのトラブルに見舞われ、これが致命傷となった。


■ル・マンの最多動員に続く

 SP9カテゴリーのリタイア率の高さは、カップ2を制したロッシュ・モータースポーツ・バイ・ブラックファルコンの948号車ポルシェ992 GT3カップ総合トップ10入りまであと2分というところまで迫ったという事実にも表れている。このクルマは、総合10位/SP9アマクラス優勝の786号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(レナッツォ・モータースポーツ・チーム)から1分59秒727の遅れでフィニッシュしている。

 ノルドシュライフェの常連であるフォルカー・ストリチェクは、ベン・ドーア、フィル・ドーア、マイク・デビッド・オルトマンともに59号車マクラーレン・アルトゥーラ・トロフィー・エボ(ドーア・モータースポーツ)をシェアしSP8Tクラスで優勝。この24時間レースで15回目のクラス優勝を果たした。

 ヒョンデのTCRカテゴリーにおける無敗記録は、マーク・バッセン、クリステル・ジョーンズ、マヌエル・ラウク組の830号車エラントラN TCRがクラス優勝を飾った後、5年連続で更新された。3名は、ロバート・ウィケンス/メイソン・フィリッピ/ブライソン・モリス/マイケル・ルイス組の姉妹車よりも3周多い130周をラップした。

 ADACノルトラインの関係者は日曜日、観客動員数が28万人という新記録を樹立したと発表しました。この数字は、昨年の24万人から大幅に増加している。

 ニュルブルクリンクで今季第2戦を終えたインターコンチネンタルGTチャレンジは今週末、ル・マン、ニュル、スパの“24時間レース3連戦”の最終戦となる『クラウドストライク・スパ24時間レース』でダブルヘッダーの2戦目、シーズン3戦目をベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで開催する。

[オートスポーツweb 2025年06月24日]

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