《低気圧の対処法》自律神経が乱れる梅雨に注意「1番多いのが頭痛」医師が教える“気象病”の対策

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2025年06月25日 06:00  週刊女性PRIME

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※写真はイメージです

梅雨の季節を迎えるにあたって、体調不良を訴える女性が増えてきます。雨や台風の日に身体がつらくなるのは、低気圧による不調です

 そう話すのは、自律神経研究の第一人者である医師の小林弘幸先生だ。

自律神経が乱れ痛みを伴う「天気痛」も

 気圧や気温、湿度など天候の変化によって起こる心身のさまざまな不調は「気象病」と呼ばれている。頭痛、関節痛などの痛みを伴う症状は「天気痛」と言い、最近は広く知られるようになってきた。

 これは平衡感覚などを司(つかさど)る内耳という器官が気圧の変化に過剰反応し、自律神経のバランスが乱れることで引き起こされる。

「普段われわれの身体は圧力に耐えようと、受けている気圧と同じ力で押し返していますが、低気圧になると身体にかかる圧が弱まり、バランスが一気に崩れてしまう。その影響を一番受けるのが自律神経なんです。

 なかでも交感神経の働きが鈍るので、血管が拡張し血圧が下がり、さまざまな症状が現れます。寒暖差や高湿度による不快感でも調子が崩れるので、梅雨の時季は特に注意が必要ですね」(小林先生、以下同)

5月の連休明けあたりからが要注意

 低気圧は生きる上で重要な呼吸にも関わっている。

低気圧のある場所では上昇気流が発生するので、地上付近の空気中の酸素濃度が薄くなり、若干息苦しくなることもあるんです。

 さらに自律神経が乱れると血流が悪くなるので、胸郭の開きも悪くなり、空気を吸い込む力も衰えます。この自律神経が乱れやすいのは、梅雨だけでなく季節の変わり目です。

 冬から春になると気温差だけでなく、異動や転勤などで生活パターンや環境の変化がありますよね。その影響が一番出るのが5月の連休明け。ここで体調不良を訴える方が多くなるので、そのまま放置して梅雨を迎えるとさらにつらくなるでしょう」

 小林先生がまとめた「低気圧不調チェックリスト」に1つでも当てはまれば、気象病の可能性があるそうだ。

診察を行っていて一番多いのが頭痛。それからめまい、耳鳴り、憂鬱(ゆううつ)感、倦怠(けんたい)感、イライラ、関節痛、むくみ、便秘、腰痛、首こりや肩こり、アレルギー症状などが典型的です。

 そういわれてみると、1つは何かしら心当たりがあると思います。いつもの症状とやり過ごさず、対処することが大切

“なんとなく不調”に普段できる対処法

 不調対策には、規則正しい日常生活を送ることがポイント。

「低気圧が来ても大丈夫なときもあれば、強く不調を感じることもある。これはその日の自律神経のバランスによって変わるからです。

 例えば前日に徹夜をしたとか、深酒をした、暴飲暴食をした、ストレスがあって眠れなかったという場合は、すでに自律神経が乱れているので、少しの気圧の変化でも影響を受けてしまいます」

 気候と自律神経の関係性で、一番良くないのが急激な変化。

「ものすごく暑い場所から冷房が効いた部屋に移動すると、自律神経がその変化に対応できず、血流が悪化し免疫力も落ちて風邪をひきやすくなってしまいます。だからエアコンや暖房器具に頼りすぎるのではなく、まずは服装の脱ぎ着でコントロールするのがいいでしょう」

 気象病に負けない対策はすぐにできることも多いので、日常的に意識したい。

最も簡単な対処法が深呼吸。低気圧で酸素濃度が低くなっているので、深い呼吸を心がけましょう。そして適度な運動をすること。激しい運動をするのではなく、エスカレーターに乗るのをやめて階段を使う程度で大丈夫です。

 それから、腰とお尻の間にある仙骨という部分に温かいシャワーを当てるというのも効果が期待できます。これは、血行を良くして自律神経を整えてくれるので、体調不良を改善するのにとても良い方法です」

 このほかにも、濡れタオルを電子レンジで温めて首に巻くというのも血行がよくなるので良いという。

「低気圧不調は自律神経の失調であることが多いのです。なので、自律神経を安定させることが大切。例えば、よく噛むことを意識すると脳の血流が回復してストレスが軽減するのでおすすめです。食事はもちろんですが、ガムやグミを噛むのもいいかもしれません」

 さらに、バナナを食べるのも自律神経を整える効果が期待できるそう。

バナナにはレジスタントスターチという難消化性デンプンが多く含まれており、食物繊維と同じように、小腸で消化されず大腸まで届くことで、腸内環境や自律神経を整えてくれます。

 黄色いバナナよりは茎が青っぽく、少し歯ごたえのあるものを選ぶとより効果的です」

ホルモンバランスの崩れも関係する

「40代以降の女性はそもそも卵巣機能の低下によりホルモンバランスが崩れやすく、さらに体調が悪くなってしまう人も。さまざまな症状がありますが、特に頭痛と倦怠感と冷えを訴える患者さんが多いです。

 ホルモンバランスをコントロールするのも自律神経の役割なので、これらの症状を整えるには食事や睡眠、運動の見直しを心がけて」

 気軽に生活に取り入れる具体的な対処法として、ジンジャーミルクティーを飲むのも効果的なんだそう。

ホルモンバランスや自律神経が不調に陥ると、血流が悪くなるのが特徴です。つまり血行が改善することを行えばよいので、ジンジャーミルクティーを飲むことから始めてみてください。

 消化を良くするカルダモン、身体を温めるシナモンやしょうが、そして漢方薬の原材料として古くから用いられてきたクローブは胃腸の働きを高めます。身体を温めることで血行が良くなり、頭痛や肩こり、冷えを改善する作用も期待できます。スパイスの効果は温度で変わらないので、暑い日は常温や冷やして飲んでもいいでしょう」

 さらにミルクには不安や緊張を軽減し、睡眠の質を高めることが期待できる成分も含まれる。このほか、漢方薬を服用することも選択肢のひとつ。

肩こりや頭痛、めまいには桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、不眠や疲労感には加味逍遥散(かみしょうようさん)、頭痛などには五苓散(ごれいさん)を服用するなど、それぞれの症状に合わせて服用するのもいいでしょう。

 今はドラッグストアやオンラインなど、どこでも漢方を手に入れられますが、使い方によっては逆効果になることもあるので、医師に相談してから服用しましょう」

<ジンジャーミルクティーのレシピ>

 血行促進、自律神経を整える!

材料
・紅茶の葉……小さじ2
・牛乳……250ml
・水……200ml
・砂糖……大さじ1
・カルダモン……4粒
・シナモンスティック……1本
・クローブ……2粒
・しょうが薄切り……2枚

【作り方】

(1)鍋に水、スパイス、しょうがを入れ、沸騰したら1分煮る

(2)紅茶の葉を加え、茶葉が開くまで2分ほど弱火にかける

(3)最後に砂糖、牛乳を加え、茶こしを使ってカップに注ぐ

教えてくれたのは……小林弘幸先生●順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者であり、多数の著書はベストセラーに。YouTubeチャンネル「ドクター小林弘幸の健康のカルテ」で健康に関する知識を広めている。

取材・文/植田沙羅

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