今季限りで所属先のトラックハウス・レーシングを離れることを表明したダニエル・スアレス 国際進出の足掛かりとして、今季初開催となるメキシコシティでのイベントを大盛況のうちに終えたNASCARカップシリーズだが、グリッドで唯一のメキシコ出身ドライバーとして活躍してきたダニエル・スアレスが、現地7月1日付の公式ソーシャルメディアアカウントにて、今季限りで所属先のトラックハウス・レーシングを離れることを表明した。
ジャスティン・マークスが2021年に創設した新興チームは、その立ち上げからスアレスを主力ドライバーとして起用。ジョー・ギブス・レーシングでキャリアをスタートさせ、その後スチュワート・ハース・レーシングに移籍し、ゴーント・ブラザーズ・レーシングなどから参戦したスアレスにとっては、都合4チーム目のカップ所属先となっていた。
「トラックハウスでは、カップシリーズでのキャリアのなかでも最高の時期を過ごすことができた」と綴ったスアレス。
「チームとして大きな成功を収め、素晴らしい友人にも恵まれた。2021年には誰も聞いたことのないようなチームを率いていたが、わずか数年でレースに勝利し、毎週のように上位を走れるようになった。一年のなかで季節が巡るように、状況は変化し、ここで僕たちはそれぞれ自分の道を進むことに同意した」
スアレスは移籍以来同チームで活躍し、カップシリーズで2勝を挙げ、2022年と2024年の両シーズンでポストシーズン進出を果たす。そして2022年は、自己最高となるランキング10位でシーズンを終えていた。
「トラックハウスの成功を心から願っている。この99号車のチームとクルーは、僕にとっていつまでも特別な存在だ。そして、いつも言っているように最高のときがこれからやって来るはずさ!」
今季2025年シーズンに向けて、トラックハウス・レーシングと1年間の延長契約を締結していたスアレスだが、マークスも声明のなかで「ダニエルがトラックハウスの創業から最初の5年間で果たした役割は、組織の歴史において永遠に忘れられないものとなるだろう」と感謝の意を示した。
「彼の献身的な姿勢、仕事への情熱は、彼の輝かしい功績のひとつだ」と続けたマークス。「彼のアティテュードは、これまでのキャリアで見てきたなかでもっとも印象的な出来事だ。ダニエルが我々とともに素晴らしい年月を過ごすことを選んでくれたことに永遠に感謝し、光栄に思っている。彼の勝利、成功、ブランドの成長、そしてアメリカ最高峰のモータースポーツにおける貴重なアスリートとしての活躍を誇りに思っている」
そんなマークスは、近年のカップシリーズで国際ゲスト招聘枠となる『プロジェクト91』を創設し、元F1王者キミ・ライコネンを筆頭に、エリオ・カストロネベスらにNASCARデビューの機会を提供。そして南半球のオーストラリアからは衝撃的なデビューウインを飾った“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンを発掘している。
「しかし、何よりも彼を友人として誇りに思う。彼の素晴らしいキャリアの次の章で何が待ち受けているのか、本当に楽しみだよ。彼が我々の組織にもたらしてくれたプロ意識、努力、そして情熱に改めて感謝する」
現在、トラックハウス・レーシングが所有するチャーター枠(参戦権)は3台となっており、スアレスの99号車に加えて1号車はロス・チャスティン、そして今季より88号車をSVGがドライブしている。
そんなスアレスの後任候補筆頭と目されているのが、現在JRモータースポーツからエクスフィニティ・シリーズに参戦しているチーム配下の育成ドライバーであるコナー・ジリッシュで、すでに今季は複数のカップ戦で散発的な挑戦プログラムを実施している。
[オートスポーツweb 2025年07月04日]