2025スーパー耐久第4戦SUGO 2クラス制覇を喜ぶD'station Racingのメンバー 7月6日、宮城県のスポーツランドSUGOで行われたENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第4戦『SUGOスーパー耐久4時間レース』のグループ1決勝レースが行われたが、ST-XクラスはD’station Vantage GT3とTKRI松永建設AMG GT3の白熱のバトルが展開され、これを制したD'station Vantage GT3が今季初優勝。ST-1クラスを制したD’station Porsche 992とともにダブルウインを飾った。この勝利はD'station Racingにとって非常に意義深い勝利となった。
2025年、D’station RacingはST-Xクラスに星野敏/藤井誠暢/上村優太組D’station Vantage GT3、ST-1クラスに星野辰也/浜健二/田中哲也/樺木大河組D’station Porsche 992という2台体制でスーパー耐久に復帰したが、ファンを驚かせたのはそのカラーリング。グリーンの印象が強かったが、今季は斬新なメタリックレッドで登場した。これはチームの母体であるNEXUSグループの30周年を記念してのものだった。
新たなカラーとともに臨んだ今シーズン、D’station Vantage GT3は第1戦もてぎでは公式予選でのクラッシュもあり4位。第2戦鈴鹿では3位と今季初表彰台を獲得していたが、まだ優勝がなかった。迎えた第4戦SUGOは、マネージングディレクターを務める藤井が「今回は絶対にダブルウインが欲しかったレースだったんです」という一戦だった。
その意気込みどおり、公式予選ではD’station Vantage GT3がポールポジションを獲得。レース序盤から藤井が好ペースで逃げた。今回、D’station Vantage GT3は燃費を活かし2ストップの3スティントを組んでおり、藤井から交代した星野が58周のロングスティントをドライブ。最終スティントを上村が担当した。
一方、片岡龍也がスタートを担当し、中山友貴、DAISUKEと繋いでいたTKRI松永建設AMG GT3は、3ストップ4スティントの作戦を採った。好ペースで繋ぎ、最終スティントを担当したのは、前週のスーパーGT第3戦セパンでグッドスマイル 初音ミク AMGを駆り見せ場を作った奥本隼士だった。ただ、トラックポジションを優先し二輪交換で送り出され、エアロ破損などもある状態で走行していた奥本は、ややペースを掴むことに苦戦。後方からD’station Vantage GT3の上村の接近を許してしまった。
2台は終盤、延々と接近戦を展開する。トラフィックを使って奥本が差を広げる場面もあったが、レースも残り6分のタイミングでレインボーコーナー立ち上がりに差しかかった奥本が、ラップダウンの処理でわずかにロス。上村が好機を逃さず馬の背でアウトからオーバーテイクをみせると、SPインでは2台はわずかに接触しながらも上村が先行。最後は逃げ切ったD’station Vantage GT3が今季初優勝を飾った。
「コースのレイアウト上、抜くにはリスクが高くて、接触したりする危険性もありました。最終的に接触はしているのですが、ペナルティを受けずに抜くことができて良かったです」と上村。
「チームオーナーでもある星野選手、そして藤井選手がきっかけでこのチームに呼んでいただいて、鈴鹿こそ表彰台に乗れましたが、今季まだ勝てていなかったので、1勝することができて良かったです」
そしてこの勝利とともに、ST-1クラスを制することになったのがD’station Porsche 992。スタートドライバーを田中が務め、星野辰也に交代。途中、ライバルのシンティアム アップル KTMがクラッシュでリタイアしたこともあったが、最後は今季スピードをみせ評価を高める樺木がきっちりとフィニッシュ。藤井が望んだ2クラス優勝を成し遂げた。
今回のレースで、藤井がダブルウインを熱望したことには理由がある。それは、令和7年7月7日=決勝日翌日が、D’station Racingの母体であるNEXUSグループの創業30周年の記念日だからだ。平成7年7月7日が創業日で、カーナンバーの由来にもなっている。6月には『D’ステーション創業日』として一般社団法人日本記念日協会にも登録された。その前日に、30周年を記念したカラーリングでのダブルウインを飾ったのだ。
「D’station Vantage GT3は富士24時間は出場することができませんでしたが、今回優勝することができて良かったです。明日が会社の創業30周年ですので、良い前夜祭ができそうです」とチームオーナーである星野は喜びを語った。D’station Racingにとって、これ以上ない至上のレースとなった。
[オートスポーツweb 2025年07月06日]