
そんな朝顔が「縁起のよくない花というのは本当か?」という質問にお答えします。
Q.「朝顔は縁起がよくない花」と聞きましたが、本当ですか?
【回答】朝顔は、古くから「縁起がよい」といわれてきた花です。一方、1日しか咲かない儚(はかな)さや、ツル植物の絡みつく性質から「縁起がよくない」と考える人もいます。受け止め方は人それぞれなので、朝顔が「縁起がよい」理由と、「縁起がよくない」理由を解説します。
朝顔は「縁起がよい」といわれる理由
ここからは、朝顔が縁起物といわれる2つの理由について解説します。
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【1. 七夕との深い関係】
朝顔は、別名「牽牛花(けんぎゅうか)」といいます。牽牛は彦星のことです。朝顔が日本に伝来したのは奈良時代末期で、遣唐使が中国から種子を持ち帰り、貴重な生薬として使われました。大事な牛を牽(ひ)いて行き、牛と朝顔の種子とを交換したという中国の故事から、朝顔のことを漢名で「牽牛花」、朝顔の種子を「牽牛子(けんごし)」といいます。
七夕の彦星は「牽牛星(けんぎゅうせい)」と呼ばれることから、織姫の「織女星(しょくじょせい)」には「朝顔姫(あさがおひめ)」という異称があります。
そして、朝顔はちょうど七夕の頃に開花することから、朝顔の花は織姫と彦星の逢瀬がかなう七夕の縁起物とされ、七夕の頃に各地で「朝顔市」が開かれるようになりました。東京・入谷の朝顔まつり(例年7月6〜8日開催)が特に有名ですが、江戸時代に品種改良が盛んに行われて朝顔ブームが起き、江戸っ子を夢中にさせたのもこの地です。
【2. 花言葉】
朝顔の花言葉は「愛情」「固い絆」「明日も爽やかに」。ツル性の植物であること、1日を清々しく始める象徴であることに由来します。
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・白:あふれる喜び、固い絆
・青:儚い恋、短い愛
・紫:冷静、平静
・赤:儚くも情熱的な愛
・ピンク:安らぎに満ちた気分
朝顔は「縁起がよくない」といわれる理由
それでは、縁起がよくない理由などんなものでしょう。【1. 儚さの象徴】
朝顔は、朝咲いて夕方にはしぼんでしまうため、儚い恋や短い愛、報われない思いを連想させ、縁起がよくないとする説があります。【2. 絡みつくから怖い】
ツルがしっかりと巻きつく様子から、「あなたに絡みつく」「離れられない」「執着」「束縛」といったイメージを連想させることもあります。朝顔は夏の風物詩
早朝に咲く朝顔は、すがすがしい一日の始まりを告げ、涼し気な姿で夏を彩ってくれます。
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<参考>
「入谷朝顔まつり」(下谷観光連盟・入谷朝顔実行委員会)
(文:三浦 康子(暮らしの歳時記ガイド))