前澤友作がSROジャパンカップ富士で殊勲の3位。「これに驕らず、今後も上位陣と戦っていけるよう頑張り続けたい」

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2025年07月14日 16:00  AUTOSPORT web

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2025 SROジャパンカップ第2ラウンド富士 レース2で3位となった前澤友作/横溝直輝組
 7月13日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたSROジャパンカップ第2ラウンドのレース2は、2周目にK-tunes Racingの97号車トヨタGRスープラGT4の激しいクラッシュがあり赤旗中断になるなど荒れた序盤戦となったが、レース後半はジェントルマンドライバーたちの熱いバトルがサーキットを盛り上げることになった。その中でも、MAEZAWA RACINGの555号車フェラーリ296 GT3をドライブした前澤友作が、関係者も唸らせる白熱の攻防を制し、3位表彰台を獲得した。

 2024年第4ラウンドの岡山から前澤と横溝直輝のコンビでSROジャパンカップに参戦を開始したMAEZAWA RACING。岡山のレース2では2位表彰台を獲得し、迎えた2シーズン目の2025年だが、ジャパンカップ自体のエントリー台数も増え、レベルも大きく上がっていた。オフには充実したテストもこなし、6月13日〜15日にスポーツランドSUGOで行われた第1ラウンドに臨んだが、レース1では前澤が上位争いに食らいつくもコースアウトを喫しストップ。レース2でもスタート直後のアクシデントでリタイアと、悔しい開幕ラウンドとなっていた。

 迎えた第2ラウンドの富士では、プラクティスから速さはみせており、7月12日のレース1では上位争いのなかでスピンを喫し遅れたものの、レースペースの良さを活かし横溝が怒涛の追い上げ。4位に食い込み、まずはシーズン初の完走を果たした。その勢いのまま臨んだ13日のレース2は、チームの雰囲気をさらに盛り上げる一戦となった。

 SROジャパンカップはGTワールドチャレンジ・アジア同様、プロがレース2のスタートを担当する。MAEZAWA RACINGは横溝が8番手からスタートすると、1周目の混戦のなかで6番手にポジションアップ。2周目のアクシデントの影響で長い赤旗中断となったが、再開後も4番手を走っていたMax Racingの24号車メルセデスAMG GT3の元嶋佑弥、K-tunes Racingの96号車レクサスRC F GT3の福住仁嶺を追いながらレースを戦っていった。ただ「ストレートスピードが伸びず「なかなか前をオーバーテイクすることができないまま、しっかりバトンを繋ぐことに集中しました」と横溝が語るとおりなかなか順位を上げるには至らず。前澤にバトンを繋ぐことになった。

 交代した前澤は、一時は内田優大の24号車メルセデス、都筑晶裕のHitotsuyama with Cornes Racingの296号車フェラーリに先行を許したものの、5番手につける。トップを走っていたBINGO RACING with LM corsaの9号車フェラーリがストップ・アンド・ゴーペナルティで後退すると、前澤は4番手に浮上した。


●『チャンスがあるかもしれない』強者たちとのバトルを制す

 ただ、チームレポートの中で「自分のペースで走っていた」と語った前澤だが、一時は先行していた内田のメルセデスはレース1でリタイアした影響もあったか、ペースに苦しみはじめてしまう。前澤は「大先輩の走りをうしろで勉強しながら」3番手の内田を追い、「だんだん近づいてきたので『チャンスがあるかもしれない』と思った」とバトルを仕掛けていくことになる。

 前澤はストレートではやはりやや離されるものの、何周にも渡ってクレバーにチャンスをうかがい続けた。この間に、アマクラストップだったTeam DAISHIN with GTNETの81号車ニッサンGT-RニスモGT3を駆る大八木龍一郎、レース1のウイナーであるBANKCYが駆るseven x seven Racingの666号車ポルシェ911 GT3 Rが接近。バトルは緊迫していった。

 フィニッシュまで残り3分というタイミングで、前澤はついに再三に渡ってインをうかがっていたGRスープラコーナーで内田がアウトにはらんだ隙をつきオーバーテイクに成功した。ただ翌周、ストレートに優る内田のメルセデスと大八木のGT-Rが前澤に迫った。TGRコーナーで3台はやや交錯したものの、続くコカ・コーラ・コーナーを冷静にクリアした前澤は3番手をしっかりキープ。そのままついにチェッカーフラッグを受けた。

 ペースに苦しんだとはいえ、内田はスーパー耐久で4回のチャンピオンを獲得している日本を代表するジェントルマンドライバーのひとり。大八木も進境著しいドライバーだ。BANKCYも今季はスーパー耐久で開幕2連勝を飾っている。そんな顔ぶれを抑えての3位にチームは喜びを爆発させ、関係者は驚きを交えて称賛を送った。

「今日は本当に前澤選手の素晴らしい走りに尽きますね。白熱のバトルでレースを沸かせる、観客を沸かせるというところは『さすがは前澤友作』だと思いました(笑)。こうして表彰台という結果を残すことができて本当に良かったです」と横溝は笑顔をみせた。

 そして前澤は「第1ラウンドでは2連続リタイア、レース1でも少しトラブルがあったので、今日はキレイに最後まで走り切ることができたのが何より良かったです」としっかりレースを戦いきったことを喜んだ。

「また今回はジェントルマンドライバーの皆さんの走りのレベルがすごすぎて、皆さんからすごく勉強させていただきました。出場して良かったと思っていますし、これに驕らず、今後も上位陣と戦っていけるように一生懸命頑張り続けたいです」と前澤。

 今回の第2ラウンドでは、自身が所有するハイパーカーを展示したりとシリーズを盛り上げながら、あくまでドライバーとしては謙虚に成長を続けている前澤。今回の3位は、その成長ぶりがまずはひとつの結果に繋がった。「また勉強しながら全力を尽くしたいと思っています」という次戦岡山以降のレースを大いに楽しみにしたいところだ。

[オートスポーツweb 2025年07月14日]

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