ラッセルかフェルスタッペンか。選択をめぐり報道が過熱、対応に苦慮したメルセデスのウォルフ/F1チーム代表の現場事情

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2025年07月15日 08:40  AUTOSPORT web

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2025年F1第10戦カナダGP 決勝後のヒアリングを終えたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とジョージ・ラッセル(メルセデス)
 大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、オーストリアGPとイギリスGPでのメルセデス代表トト・ウォルフに注目した。

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 トト・ウォルフは、ふたつのホームレースを連続して過ごした。最初のレースは彼の生まれ故郷オーストリアのレッドブルリンクで行われ、次のレースはメルセデスの本拠地に最も近いシルバーストンで開催された。ブラックリーのファクトリーは10マイル以内の場所に位置している。

 2025年は、チームが2010年にF1に復帰して以来、ワールドチャンピオンを擁していない初めての年だ。最初はミハエル・シューマッハー、そしてその後にはルイス・ハミルトンがラインナップに名を連ねていた。2026年に再びチームにワールドチャンピオンが加わる可能性はあるのだろうか?

 昨シーズンの開始以来、マックス・フェルスタッペンとの交渉のうわさが報じられてきた。レッドブルのパフォーマンスが低下してきているなかで、フェルスタッペンが移籍を考える可能性があるのかどうか、ウォルフは確かめようとしているようだ。

 この件についての報道が、最近さらに勢いを増した主な原因は、現在メルセデスで走るジョージ・ラッセルの発言だ。

 現時点でラッセルは2026年の契約を持っておらず、他チームへ移籍する自由がある。しかし、ラッセルは明らかにメルセデスに残留したがっている。カナダGPの際には、チームがフェルスタッペンに関心を持っている理由は理解していると述べ、この状況を冷静に受け止めている様子を示していた。

 その2週間後のオーストリアで、ラッセルは我慢の限界に達しつつあるように見えた。彼はテレビインタビューで、メルセデスとフェルスタッペンが交渉を行っていると発言し、その発言は関係者への注目を一気に高める結果となった。このタイミングも偶然ではなかった。なぜなら、ラッセルのインタビューはウォルフがFIA公式記者会見に登場する前日に行われており、ウォルフが多くの質問に直面することが確実になったからだ。

 ウォルフはフェルスタッペンに関する多くの質問をうまくかわした。ラッセルへの対応については非常に慎重で、彼の発言には何の問題もないと語った。しかし、ラッセルの言葉が彼とチームを注目の的に押し上げることとなったのは間違いなく、ウォルフの回答は憶測を沈静化させるのにほとんど効果がなかった。

 チームが翌週、シルバーストンに到着する前から、イタリアのメディアは、すでに具体的な交渉が行われており、フェルスタッペンは移籍に前向きであると報じ始めていた。しかし、それらの報道においても、フェルスタッペンの移籍は確実であるとは書かれておらず、メルセデスの経営陣内で意見がまとまっていないとの見方だった。

 そうであれば、フェルスタッペン獲得に反対する勢力があるということになる。それもまた、ラッセルが現在の状況を明らかにしたがった理由のひとつなのかもしれない。

 イギリスGPの週末の初めには、フェルスタッペンのもとにメディアが集まり、レッドブルに残留するのかどうかについて質問攻めにした。しかし彼は、レッドブルでの将来について明言しようとしなかった。

 こうした状況のなかで、ウォルフは極力メディアを避け、話題を他のところに持っていこうとしたが、それはうまくいっていなかった。週末の大半で彼は取材対応に出てこず、日曜の夜には、自らがメディアの前に立つ代わりにチームの広報担当者を立たせることまでした。

 最終的に、厳しいレースの後に、ウォルフは公の場で発言することを決断したが、メルセデスのパフォーマンスがあまりに悪かったために、フェルスタッペンに関する質問を避けられたため、それは彼にとってささやかな慰めだったかもしれない。

 イギリスの後には2週間インターバルがあるため、その間にウォルフはスポットライトから外れて、ドライバーに関する話し合いを舞台裏で進めることができる。とはいえ、ラッセル残留か、フェルスタッペン加入のどちらかの契約が発表されない限り、ウォルフは注目を浴び続けるだろう。

[オートスポーツweb 2025年07月15日]

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