2025年版防衛白書の表紙(防衛省提供) 2025年版防衛白書は、自衛官の募集難を反映し、処遇改善の記述に重点が置かれた。防衛省は表紙の作画に、10〜20代の「Z世代」を中心に人気のイラストレーターを起用。白書を気軽に若者の手に取ってもらうことで、人材確保につなげたい考えだ。
24年版は4部構成だったが、25年版は自衛隊の人的基盤強化に関する記述を独立させ5部構成に。災害派遣手当の引き上げや、入隊後に隊舎などで集団生活する自衛官に支払われる6年間で120万円の給付金新設といった処遇改善の取り組み状況を詳述した。
巻頭では、自衛官の生活・勤務環境の見直しなどについて特集。米スペースX社の衛星通信サービス「スターリンク」が試験導入され、洋上でもSNSで家族と連絡が取れるようになったという海上自衛官の声も紹介した。
表紙には陸海空3自衛官のイラストを採用し、レトロポップな作風がZ世代を中心に人気のヨシフクホノカ氏が担当した。防衛省によると、「国民の平和な暮らしを守る自衛隊」をコンセプトに親近感や安心感、信頼感を表現したという。
自衛官の定員数に対する充足率は約9割にとどまり、成り手不足は深刻な状況だ。中途退職者も年間5000人を超える。
自衛官の処遇改善は石破茂首相の肝煎り政策の一つで、先の通常国会では手当新設などを盛り込んだ改正防衛省設置法が成立した。