女性特有の代謝メカニズム解明=脂肪組織、カロリー消費に性差―東京科学大など
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2025年07月15日 15:01 時事通信社

東京科学大学などは15日までに、女性が男性よりも多くカロリーを消費する仕組みを、脂肪組織の分子メカニズムから明らかにしたと発表した。エネルギーを熱として放出する褐色脂肪組織(BAT)に着目し、マウスを用いた実験で性差を確認した。研究成果は英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。
山田哲也・東京科学大教授らの研究チームによると、ヒトではBATの量が多いほど糖尿病などになるリスクが低く、女性の方がBATの動きが活発であることが知られていたが、詳細な仕組みは分かっていなかった。
研究では、雌マウスのBATで、PGC―1αと呼ばれるたんぱく質が多く作られ、脂肪合成に重要な因子を活性化させることを確認。BATに含まれるミトコンドリアの働きを高めることで、カロリー消費を促進させることが分かった。
PGC―1αを欠損させた場合、ミトコンドリアの機能低下などは雌マウスにのみ確認された。女性ホルモンのエストロゲンがPGC―1αと連携し、カロリー消費を支えていることも判明した。
女性が男性に比べて肥満や糖尿病になりにくい背景の一つには、こうした性差のある分子メカニズムが関わっている可能性がある。研究チームは「将来的にはカロリー消費を促進する新たな治療法や薬剤の開発につなげることを目指したい」としている。
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