
今年は終戦80年の節目の年。古き良き日本映画をフィルムで上映している“本の街の名画座”神保町シアターは、日常の暮らしの中に“戦争の爪痕”があった頃を映画で振り返る特集上映『終戦80年 映画で振り返る――「戦後」を生きるということ』を7月19日(土)〜8月15日(金)に開催する。8月5日(火)は設備点検のため休館。
戦争が終わっても庶民の暮らしには多くの苦しみがあった。復員兵、戦災孤児、闇市、戦争未亡人・・・映画で描かれてきた「戦後」の物語をひもとくと、多くの人が戦争によって運命を狂わされ、悲しみと混乱の中で懸命に生きてきたことが分かる。そこで戦中・戦後に庶民の身に起きた日常的な出来事を描いた作品を集めて上映し、生活の身近な場所に潜む戦争の傷跡に目を向けてみようという企画だ。
例えば、小津安二郎監督の『長屋紳士録』(1947年)は、戦災孤児の世話をすることになった長屋の住人たちの戸惑いをユーモア交じりに描いた群像劇。沢島忠監督の『おかしな奴』(63年)は、戦時下の混乱の中で芸人として生き抜いた落語家・三代目三遊亭歌笑さんの半生記だ。ほかにも美空ひばりさんの初主演映画『悲しき口笛』(49年)、ベルリン国際映画祭国際平和賞に輝いた『煙突の見える場所』(53年)、成瀬巳喜男監督の名作『浮雲』(55年)、復員兵と戦災孤児たちの交流を描くロードムービー『蜂の巣の子供たち』(48年)、メロドラマの傑作『秋津温泉』(62年)など全16作品を上映。詳細はホームページで。入場料金は一般1400円、シニア1200円、学生1000円。戦争の記憶が薄れつつある80年目の夏に、映画を通して“戦後”を振り返ってみては?
|
|