「初孫なのに」と言う62歳女性に「妻が母親なんだから」と息子。孫を巡る「嫁と姑」の闘い

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2025年07月18日 22:10  All About

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初孫の誕生に“スイッチオン”した62歳女性。だが、生まれた子との面会はできず、面倒を見ようとすれば、夫、息子、娘から総出で諫められる始末。「孫がかわいいだけなのに」と泣けて仕方がない女性だったが……。※サムネイル画像:PIXTA
孫は子どもよりかわいいとよく言う。ある意味で、無責任にかわいがることができるからかもしれない。だが、そのかわいい初孫をめぐって、母である息子の妻との間に大きな軋轢(あつれき)が生じる危険性もある。

ずっと楽しみにしていた初孫なのに

「息子が結婚してから、彼ら夫婦の家にはほとんど行ったこともないし、日常的に連絡を取り合うわけでもありませんでした。年に数回、二人がうちにごはんを食べに来るくらい。

どうせ姑なんてうっとうしいだけだろうと思っていたから、息子の妻の誕生日には商品券を渡して『好きなもの買ってね』と言ってた。彼女は『お義母さんみたいなさっぱりした女性、私の憧れです』なんて言ってくれて。いい関係だったと思う」

ユキエさん(62歳)はそう言った。息子は29歳のときに2歳年下の女性と結婚。そして2年後、妊娠したことを知らされた。それがユキエさんのスイッチをオンにした。

「初孫ですよ。私が入っている地元のサークルや学生時代の友人たちも、そろそろ孫が生まれていて、いつもお孫ちゃん自慢で盛り上がっていたけど、私はずっと蚊帳の外。息子の上に長女がいるんですが、長女は結婚なんてしない派で、私に孫を期待しないでと言われていたから、息子に子どもができると聞いて本当にうれしかった」

どんなことでも言って、何でも手助けするからと息子に電話で伝えると、「お母さんの子じゃないんだから、そんなにはしゃがないで」と淡々と言われた。しかも、知らせてきたときはすでに安定期に入っていたのだという。

「他人にはそうでも、私には妊娠が分かった時点で知らせてくれてもいいのにと思いました。でも夫が『夫婦で決めたことなんだろうから、きみがいきり立つことはないじゃないか』って。みんな冷たいわと思いつつも、生まれてくる日を待っていました」

面会はできないと言われて

予定日の数日前から、ユキエさんは心ここにあらずで、日に何度も息子のLINEや電話に痕跡を残した。息子からは「生まれたら知らせるから」と一言あっただけ。「生まれる前に知らせなさい」と返信したが何も言ってこなかった。

「そして生まれたその日、ようやく連絡が来たので病院に飛んで行こうとしたら、『病院の方針で、感染症の問題があるから面会はできない。退院まで待って』と息子から連絡がありました。写真が添えられていたので、我慢するしかないかと思っていた」

退院の日は、早くから病院に詰めかけた。周りを見ていると、生まれた子どもに面会している祖父母らしき人々がいる。病院スタッフに聞くと「1日に二人まで、15分なら面会可能です」と言われた。

「あちらの親御さんが毎日のように来ていたみたい。私たちは排除された。それがショックで……」

息子の顔を見るなり、ひそひそと文句を言ったが、「もういいじゃないか、退院するんだから」とあっさり言われてしまった。

2週間も面倒を見たのに

息子の妻の実家は地方だが、入院中は実母が毎日見舞っていたそうだ。退院後は私の出番だとユキエさんは張り切った。

「息子は妻を連れて自宅に戻るというので、じゃあ、今日から私が面倒を見ると言ったら、息子自身が1週間の休暇をとったからいいと言うんです。でも二人だけじゃどうにもならないでしょと翌日、行ってみたら、案の定、テンパっていた。

手早く赤ちゃんの面倒を見ながら、家事もこなしてあげたんです。さすがに息子も感謝しきり。だから息子の休暇が明けてからも通ったんですよ」

子どもが生まれて2週間がたったころ、息子から「お母さん、ありがとう。もういいよ」と電話があった。まだまだこれから、頼っていいんだからと言うと、「妻が子どもを抱けなくて寂しがってる。お母さんが抱かせないんだろ」と言われた。

「だって初孫ですからね。すると息子は『妻が母親なんだよ。母親を尊重してくれよ』って。妻にすっかり洗脳されているみたいで、なんだか嫌な気分でした。あたしはあんたの母親だよと言って電話を切りました」

それきり、息子から連絡は来なくなった。1週間我慢したが、耐えられずに息子に連絡したが、電話に出てくれない。息子の妻にも電話したが出ない。家族LINEでいろいろ言うと、夫から諫められるので、ユキエさんは息子だけにLINEをし続けた。

長女には「存在がうっとうしい」と言われ

ある日、夫から「いいかげんにしろよ。孫は孫、子どもじゃないんだから、きみがあれこれ言う権利はないんだよ。息子が困ってオレに相談してきたぞ」と言った。

「私を排除しないでよ、私は孫がかわいいだけなのに……と言いながら泣けて仕方がなかった。世の中の祖父母はもっと孫と密着しているじゃないですか。なのに私に孫をかわいがる権利はないのかと息子にも夫にも不信感が募りました」

夫はどうやら長女にも相談したらしい。長女から電話がかかってきて、「お母さん、いいかげんにしなさいよ。お母さんだって姑はうっとうしかったでしょう。彼女にとってお母さんは他人なんだから、孫を産んでくれてありがとうって、後は求められたときだけ助けてあげれば感謝されるのよ」と。

「忘れていたけど、確かに夫の母親と一緒にいるのは避けたかったなと思い出しました。でも私はもっと優しいし、姑風を吹かすつもりはない。でも長女に『存在がうっとうしいのよ』と言われてへこみました」

それでも長女の言葉は身に染みた。孫が生まれて半年ほどたつが、息子夫婦は二人きりで頑張っているようだ。連絡をしないでいたら、息子から頻繁に写真が送られてくるようになった。

「写真より、遊びに来てと言われる方がうれしいけど……。釈然としないけど、こちらから連絡をとらない方がいいんでしょうね」

不満そうな表情だが、おそらく息子の妻はホッとして子育てに専念していることだろう。息子夫婦の家庭に祖父母が頻繁に出入りするのは、今の時代、やはり避けた方が賢明だ。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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