検察、不服申し立て禁止に難色=再審制度「改悪」の懸念も―法制審部会、議論越年へ

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2025年07月19日 07:34  時事通信社

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 再審制度については、法務省の法制審議会部会で改正を視野に入れた議論が始まっている。ただ、検察側は再審開始決定に対する不服申し立てを禁止する案に難色を示している。議論は越年する見通しで、関係者からは制度の「改悪」を懸念する声も出始めた。

 静岡一家4人殺害事件で昨年、無罪が確定した袴田巌さん(89)を巡っては、2014年に静岡地裁が再審開始を決めたのを不服として、検察が即時抗告した。審理が長引き、再審開始の確定までに約9年を要した。

 前川彰司さん(60)のケースでも、第1次再審請求審で再審開始決定が出たが、検察による異議申し立てでいったんは取り消された。第2次請求審で確定するまでには約13年の歳月が流れた。

 こうした検察の不服申し立てに対する批判が高まり、法制審部会で議論の対象となったが、今年4月の第1回会議では、委員の検察官が「十分かつ慎重な検討を行って対応している」と主張。不服申し立ての禁止について「違法・不当な再審開始決定を是正する手段がなくなり、慎重であるべきだ」と述べた。

 もう一つの焦点となっている捜査機関の証拠開示についても、委員の研究者から「範囲を限定すべきだ」とする意見が出された。袴田さんの再審開始決定を出した元裁判官で委員の村山浩昭弁護士は「今よりも悪くなる。何のための改正なのか」と懸念。議論の出発点となった捜査機関による証拠の隠蔽(いんぺい)、審理の長期化などが本当に改善されるのか疑問の声が上がっている。

 一方、法制審とは別に超党派の議員連盟による改正法案が先の通常国会に提出されたが、継続審議となった。検察の不服申し立て禁止などが盛り込まれているが、自民党や公明党は提出に加わっておらず、成立するかどうかは20日投開票の参院選の結果にも影響されそうだ。 

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  • ちゃんとお仕事すれば無問題。痛くもある腹を探られるって?ちゃんと仕事してないからこうなるの。
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