一時は廃線の噂も…元小田急車両が走る西武国分寺線はどんな路線なのか 今までの西武車両とは全く違う8000系

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2025年07月19日 09:40  まいどなニュース

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国分寺駅には西武多摩湖線も乗り入れるが、国分寺線・多摩湖線の直通運転はない

西武鉄道では5月31日に、国分寺線(国分寺〜東村山)で8000系がデビューしました。この西武8000系は元小田急電鉄の8000形です。大手会社の間での車両授受は大変珍しく、鉄道ファンからの注目を集めています。そこで、私も上京に合わせて西武国分寺線を走る8000系に乗車してみました。

【写真】元小田急8000形の西武8000系

今までの西武車両とは全く違う8000系

2025年7月現在、西武8000系は国分寺線で活躍しています。国分寺線は国分寺〜東村山間7.8kmの路線です。国分寺駅でJR中央線と西武多摩湖線、小川駅で西武拝島線、東村山駅で西武新宿線・西武園線に接続します。

国分寺駅から国分寺線に乗ります。JR中央線ホームから西武国分寺線ホームへと移動すると、8000系ではなく従来車の新2000系が止まっていました。7月現在、8000系は1編成しか導入されていません。

そこで、東村山駅まで行き、同駅で8000系を待つことに。数本待つと、8000系が入線しました。一見すると、小田急時代とそれほど変わらないように見えます。それでも、社内公募で選ばれた市松模様のデザインは小田急でもなく、従来の西武でもない、新車の雰囲気を感じました。

車内は小田急時代と同じく、赤色のロングシートが並びます。東村山駅を発車すると、VVVFインバータ制御の変調音が聞こえてきました。8000系導入の決め手となったのが、運行時の消費電力が少ないVVVFインバータ制御の存在です。

VVVFインバータ制御は今日の新型車両の標準装備ですが、新2000系にはありません。8000系も1982年の登場時、VVVFインバータ制御を備えていませんでした。後のリニューアルにより、取り付けられました。

西武鉄道では8000系を「サステナ車両」と名付け、今後の活躍に期待を寄せています。また、2025年度以降、東急9000系も「サステナ車両」という位置づけで、順次導入します。

一時は廃線のうわさもあった国分寺線

ところで、8000系が導入された国分寺線は関西の人間からすると、馴染みの薄い路線といえます。国分寺線のダイヤは線内を往復する各停のみ。西武新宿駅への直通列車は存在しません。池袋線や新宿線と比較すると、国分寺線は「支線」という扱いです。

また、同線は「廃線」が噂された路線でもあります。2010年代、アメリカの投資会社が西武に「不採算路線」の廃止を提案。その「不採算路線」に国分寺線が含まれていたのです。もちろん、西武側は廃線の提案を拒否しました。

国分寺線に乗ると、平日の日中でも、東村山駅から国分寺駅まで乗り通す客が多いことに気づきました。国分寺駅には大型商業施設「セレオ国分寺」があり、お買い物感覚で同線を利用することが考えられます。

また、西武新宿駅はJR新宿駅から少し離れた位置にあるため、新宿線沿線から国分寺線・JR中央線国分寺駅を経由して新宿駅に出向く流れも存在します。また、沿線周辺には津田塾大学や武蔵野美術大学などの教育施設が多く、学生の姿も多く見かけます。

このように見ていくと、国分寺線は短いながらも、利用価値の高い路線といえます。「サステナ車両」8000系の導入により、国分寺線の価値がよりアップするのではないでしょうか。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)

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