南海MERの麻酔科医・武美幸(宮澤エマ)=劇場版『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション』(C)2025 劇場版『TOKYO MER』製作委員会 近年、ドラマや映画でも目覚ましい活躍を見せている宮澤エマ。劇場版『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション』(公開中)では、南海MERの麻酔科医・武美幸(たけ・みゆき)役として新境地を切り開いた。
【動画】南海MERのメンバーからのメッセージ 本作への出演が決まったときは、心底驚いたという。
「『TOKYO MER』(21年、TBS)の最初のドラマを撮影していた頃、私は大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)の撮影中で、実は同じスタジオだったんです。コロナ禍の中、挑戦的なことをしているなという印象がありましたし、鈴木亮平さんのカリスマ性と役柄が重なって、“すごい作品だな”と完全に他人事として見ていたので、まさか自分が出演することになるとは夢にも思っていませんでした」
2013年、宮本亞門演出の舞台『メリリー・ウィー・ロール・アロング』で初舞台を踏んで以来、ミュージカルを中心に活動してきた。
「舞台は何年も前から予定が決まっていることが多い。映像の仕事をやりたくなかったわけではないけれど、なかなかタイミングが合わなかったんです。でも、『おちょやん』(20年、NHK)で朝ドラに初出演し、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(22年)の撮影期間中は舞台のお仕事を入れられなかったこともあって、映像作品に関わる機会が自然と増えていきました」
本作の撮影に入る直前には、フジテレビ系列ドラマ『マウンテンドクター』(24年)に看護師役でレギュラー出演。「山から海に来た感じでした」と笑顔を見せた。
武というキャラクターは、台本に明確なバックグラウンドが描かれていなかったため、宮澤自身が想像をふくらませながら役作りを行ったという。
「監督とも相談しつつ、“なぜMERに参加したのか”“これまでどんなキャリアを歩んできたのか”を自分なりに考え抜きました。麻酔科医として優秀で、看護師の常盤(高杉真宙)や知花(生見愛瑠)よりも経験はある。でも、MERの一員としてはまだ“ひよっこ”。サバサバしていて思ったことをそのまま言ってしまう一面もありつつ、『人を助けたい』という熱い気持ちも持っている。“冷静と情熱の間”という言葉を意識しながら演じていました」
今回の撮影現場では、火砕流や溶岩が迫るCG前提のシーンも多く、目の前に何もない状況でのリアクションが求められた。
「何もないところで噴火や溶岩を想像して演技するのは大変でした。現場で突然せりふが変わったり、動きの指示が入ったりする中で、全体を把握しながら対応していくのは新しい経験でした。私たち自身がテンパっている感じが、映像にもリアルに映っていると思います」
沖縄での約1ヶ月にわたるロケも、初めての体験だったという。
「体調を維持するために毎日ジムに通っていました。鈴木亮平さんとジムで偶然お会いしたこともありました」
主演の鈴木亮平については、こう語る。
「常に人工皮膚の模型や医学書を持ち歩き、現場でも学び続けている姿に本当に心を動かされました。あの背中を見ていると、“私ももっと頑張ろう”と自然に思わされます。まさにMERそのものの存在感です」
劇中では、南の離島で噴火が発生し、南海MERが島民全員の救出に挑む。作品を通して宮澤が強く感じたのは、「勇気の多様性」だった。
「喜多見先生(鈴木)や牧志先生(江口洋介)の行動は、ある人には暴走に見えるかもしれないし、知花さんの『死にたくない』という本音もまた勇気。島民一人ひとりが立ち上がって協力することにも、大きな勇気が必要です。突き進むことも、引くことも、誰かを思っての選択も、正解はない。自分なりの勇気を大切にしていいのではないか、と感じました」
最後に、宮澤はこう語る。
「この作品はフィクションですが、離島医療や災害医療の過酷さがリアルに描かれていると感じました。自然災害は避けられないからこそ、いざという時に自分が暮らす場所やコミュニティに関心を持っておくことが、思いもよらない大きな力になるのかもしれません。何気ない日常も、有事に備える時間だと思えば意味が変わってくる。今回の経験を通じて、小さな行動の積み重ねこそが、未来につながる“勇気”になるのだと強く実感しました」
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