「予約少ないから、バイト休んでくれる?」 当日朝にメールで連絡 理不尽なキャンセル……休業手当を請求できますか?【社労士が解説】

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2025年09月16日 07:30  まいどなニュース

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アルバイトに行くつもりが突然のシフトキャンセル… ※画像はイメージです(buritora/stock.adobe.com)

都内のカフェでアルバイトに励む大学生のAさんは、学業を頑張りながら生活費のために真面目に働いていました。このカフェは1ヶ月前にシフト希望を提出し、店長がそれを元に1ヶ月分のシフトを組んでいます。Aさんはこのシフトをきっちりと守りながら、学業やプライベートの予定を立て、充実した毎日を送っていました。

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しかし最近、Aさんを悩ませる出来事が頻繁に起こるようになりました。それはシフト当日の朝に店長から届くメールです。メールの内容は「今日は雨で予約も少ないから、悪いけど休んでくれる?」という、突然のシフト変更指示でした。

事前に組まれていたはずの予定が白紙になって困るだけでなく、収入が減ってしまうことでAさんの学生生活に暗い影を落とし始めています。この理不尽なシフトキャンセルに、アルバイトはどう対応すべきなのでしょうか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに聞きました。

当日のシフトキャンセルは休業手当が請求できる場合アリ

ーアルバイトのシフトを、店側の都合で当日にキャンセルすることは問題ありますか

例えアルバイトであっても、店側と労働者の間で「この日に働きます」「お願いします」というシフトの合意がなされた時点で、法的には「労働契約」が成立しています。

労働契約が成立すると、労働者(Aさん)は指定された日時に労働力を提供する義務を負いますが、同時に使用者(店側)はその労働に対して賃金を支払う義務を負います。また、労働者はその時間を働くために拘束されることになります。

したがって、店側が経営上の都合で一方的にシフトをキャンセルし、労働の機会を奪うことは、契約違反にあたる可能性があります。

ー休業手当を請求する権利はありますか

労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合には、使用者は休業期間中の休業手当(平均賃金の60%以上)を支払わなければならないと定められています。

したがってAさんはキャンセルされたシフトに対して、本来得られるはずだった賃金の6割以上の休業手当を請求する正当な権利を持っています。これは、たとえ数日前の連絡であったとしても、店側の都合によるキャンセルであれば同様に適用されます。

ー「天候不順」は、正当なシフトカットの理由になりますか

常に正当な理由になるわけではありません。重要なのは「不可抗力」かどうかです。

例えば大型の台風が直撃し、交通機関が完全に麻痺して従業員が出勤できない、あるいは行政から避難勧告が出ており、店を開けること自体が危険であるといった状況です。このような場合は、店の責任(過失)とは言えず、「不可抗力」と判断され、休業手当の支払い義務は発生しない可能性が高いです。

Aさんのケースのように「雨が降っているから客足が鈍るだろう」という経営的な判断でシフトをカットするのは、不可抗力ではありません。したがって、この理由で休業を命じられた場合、労働者は休業手当を請求することができます。

◆香川昌彦(かがわ・まさひこ)社会保険労務士/こころ社労士事務所代表 

大阪府茨木市を拠点に、就業規則の整備や評価制度の構築、障害者雇用や同一労働同一賃金への対応などを通じて、労使がともに豊かになる職場づくりを力強くサポート。ネットニュース監修や講演実績も豊富でありながら、SNSでは「#ラーメン社労士」として情報発信を行い、親しみやすさも兼ね備えた専門家として信頼を得ている。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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  • その日の休業補償は請求出来るかもしれんが、雇用契約切られるんじゃねえの?('〜`;)
    • イイネ!2
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