
※このコラムは『愛の、がっこう』10話までのネタバレを含んでいます。

■あの日の夢が現実に!? 同棲生活への第一歩
35歳にして初めて親の元を出て、一人暮らしを始めた愛実(木村佳乃)。その家に自然な様子で訪ねてくるカヲル(ラウール)。元婚約者・川原(中島歩)が自らを犠牲にして、2人を取り持ってくれたおかげでこの姿があるのだと思うと胸が熱くなります。
カヲルは働いていた店がなくなり、愛実のためにホストを辞めて昼職を始めるのかと思いきや、取り調べの時に文字を読むことに苦労したことから、やっぱり自分にはホストしかないと再実感したよう。

そんなカヲルに「よかったらここで暮らしませんか」と提案する愛実。それはあの日、三浦海岸で絵空事のように夢見た話。それがまさか現実になるかもしれない日が来るなんて。
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それは愛実にとって体裁がよくないと、カヲルは少し渋るのですが、「俺、ホスト以外の仕事探してみる。一緒に暮らすにしても、それからね」と、愛美が学校での立場を失わないよう、自分ができる最大限の配慮を考えて行動してくれるのです。愛!!
■自殺行為で学校をクビになる愛実

しかし、曲がったことが大嫌いな愛美。カヲルのそんな配慮も虚しく、装備0状態で学校へ突っ込んでいきます。「ちゃんと話せば分かってくれる」という性善説をもとに、カヲルと交際してることを馬鹿正直に学校に話してしまうのです。なんと立ち回りが下手くそなのでしょう。
それを聞いた上司は「ありえない!!! やめなさい!!! 今すぐに!!!」と大発狂。それを制するように教頭は「隠れて交際しようと思えばできる事なのに、小川先生はわざわざ前もって伝えてくださったのですよ。よほどの覚悟をされたのでしょうね。」と一瞬寄り添います。と、思いきや表情を変え、「ただ我々は保護者と約束を交わしました。聖職者は約束を守るのが何より大事ではありませんか? 当校を去っていただけますか?」とクビ宣告。
サイコパスみのある豹変なので、一見教頭が悪者のようにも見えるのですが、あれだけのトラブルを起こした原因であるカヲルと交際する、などと宣言されてしまっては、学校としては対応せざるをえません。
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カヲルと関わらないことを念書に交わした中で、この宣言を看過するとなれば保護者に示しがつかず、学校の信頼とブランドを大きく揺るがす事態です。言わずにいてくれればいいものの、愛実がピュアすぎるのか、幼すぎるのか……。カヲルが言っていたように嘘は悪ではないこともあるのです。
■問題の根源に切り込む、覚醒した川原
愛実の元婚約者・川原は、愛実の父・誠治(酒向芳)に、愛実とカヲルの関係を取り持ったことを告白します。
もちろん誠治は発狂。しかし覚醒した川原は黙っちゃいません。「愛実さんを失ったから分かるんです。なんであいつに惹かれたのか。それはお父さんの影響もあるんじゃないでしょうか。愛情押し付けすぎたんじゃないですか? 大きすぎる期待をして、転ぶ前に助けて。本当はずっと窮屈だったと思うんです」と、独裁主義者である暴君・誠治に誰も言えなかった正論をぶつけてくれるのです。
しかしこの考え方が正しいと信じて、ここまで何十年と生きてきたクソジジイですから、当然すぐには受け入れられません。
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川原は、カヲルは自由で縛られないからこそ、窮屈な世界で生きてきた愛実の世界を広げてくれる存在であり、愛実にとって必要なのだと説得をします。
「あんなクズと一緒になって転落したらどうするつもりだ!」と、ブチギレる誠治に川原が返した言葉が「愛実さんなら這い上がりますよ」という言葉。
本来なら、愛実の行動を信じ、失敗しようとそれも全部受け止めて、支えてあげるのが愛のはず。誠治は、愛実を信頼できていないから、自分のレールを歩かせ、失敗も受け入れられない。しかし、川原からこの言葉が出るということは、川原は愛実のことを信頼しているということ。この一言に川原の愛を感じました。
もうお前はクズじゃないよ! かっこいいぞ川原!
■ツンデレブチギレでカヲルとの関係を条件付きで認めた誠治

愛実とカヲルが、愛実の家で過ごしていると、突然の来客が……! それはなんと誠治。
2人が一緒にいるのを見て、「今すぐ出ていけ! 君のせいで我が家はめちゃくちゃになった」と、カヲルを突き飛ばします。本当はカヲルのおかげで愛実はしがらみから解かれ、あるべき姿になったのですが。
しかし、誠治はやり返さずに堪えるカヲルを見て「多少の我慢はできるようだな。夜の商売からは足を洗え。中卒でも受け入れてくれる専門学校だってあるはずだ。まずはそういうところに入って一生食っていける仕事を見つけろ。学歴が重要だって言ってるんじゃない。努力できるかどうかを見せてほしいと言ってるんだ。それが男としてのけじめだろ」と吐き捨て、家を出ていきます。
今までは、学歴や職など、スペックが揃った相手でないと愛美の結婚相手とは認めていなかった誠治ですが、これは将来を見据えて努力をし、手に職をつければ愛美との関係を認めるということなのでしょう。ツンデレのようなやり方でカヲルを焚き付けていきました。
実際カヲルはフリーペーパーの求人誌で、付け焼き刃のように仕事を見つけようとしていましたから、カヲルと愛実の未来の地盤が整う有用なアドバイスをしてくれました。
今までの誠治を思うと、本当に本当に苦渋の決断だったことと思います。その一歩を踏み出してくれてありがとう。からの、誠治のそれを理解した愛実の涙だったのではないでしょうか。
■カヲルの選ぶ専門学校に見える母への想い
ただのクズ母親かと思っていた奈央も、カヲルに対してこうせざるを得なかった事情を何か抱えていそうな様子でしたが果たして。というか、そうあってほしい。でないとカヲルに救いがなさすぎます。
社長(沢村一樹)の付けた源氏名カヲルにも、何か命名に秘密がありそうですが、明かされるでしょうか。カヲルの選ぶ専門学校も、美容師なのであれば、(おそらく美容師だった?)母・奈央への愛やリスペクトも感じてしまいますし、別の道を選ぶなら、母とは同じ道を歩まないという決意を感じます。この選択にもカヲルの想いが見えてきそうです。

次回の最終回全ての伏線回収を楽しみに待ちましょう。
(やまとなでし子)
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